27日投開票の日本維新の会代表選では、ルール違反が相次いでいる。
国会議員票を重視する他党の党首選と違い、議員ら特別党員と一般党員を同じ「1人1票」としたのが特徴だが、一般党員の投票用紙をまとめて郵便ポストに投函(とうかん)したとSNSで発信する国会議員には「投票の秘密を定めた規則に反する」と批判があり、党が「行きすぎた選挙運動が散見される」と注意喚起する異例の事態になった。
初の代表選に立候補したのは、いずれも大阪選出の足立康史衆院議員(56)、馬場伸幸衆院議員(57)、梅村みずほ参院議員(43)の3人。
「1人1票」制は、首相公選制の導入を目指す党の基本政策に沿って導入した。投票資格者は国会議員や地方議員ら特別党員586人と2020年から党費(年2000円)を納める一般党員1万9293人で、全体の97%を占める一般党員が勝敗のカギを握っている。
こうした中、空本誠喜衆院議員(比例中国)は18日、ツイッターに「支援者に投票用紙の書き方を説明。まとめて投函」と記し、自身が支持する候補者名が記された一般党員向け投票用紙6枚を郵便ポスト前で広げた画像を投稿した。
外部から「圧力をかけて書かせたのでは」と指摘され、投稿を削除した空本氏は「親族に自由意思で書いてもらった」と釈明したが、党選挙管理委員会は、投票の秘密を定めた規則に反したとして、厳重注意した。
また、党県組織で管理する一般党員の名簿の一部を国会議員が特定の陣営に提供し、郵便物が発送された事案も問題になっている。
党は「大阪府議・大阪市議は50人」「国会議員は200人」といった一般党員の獲得ノルマを課すが、代表選では県組織が管理する名簿の活用は禁止されている。しかし、ある陣営は提供を受けた名簿を使って一般党員に政策チラシを郵送し、支持を訴えた。
この陣営は「名簿がルールに反したものであることは把握できなかった」とコメントした。ある一般党員は「『1人1票』を売りにするなら、候補者全員の訴えを平等に扱うべきだ」として、全候補に党員名簿を公表するよう求めた。
不正投票の対策も課題となっている。以前、国会議員が代表選を有利に戦おうと、後援会員らを短期間にまとめて党員にしたとされる事案があり、当時は「資金力のある政治家が党費を肩代わりして党員を集めている」との見方があった。
このときは選挙にならなかったが、党は今回、一般党員向けの資料が宛先不明で送り返されるなどした場合、実在しない党員の可能性があるとして、投票資格者から外した。
一方、「18歳以上の日本国民」と定める党員資格は全員に確認しておらず、ある議員は「不正があれば選挙の正当性が揺らぎかねない」と党の対応を批判した。