道路をふさぎ、仲間とマスツーリングに出かけようとする「バイク乗り集団」の動画が話題になっている。
拡散されている動画には、1台のバイクがガソリンスタンドから車道に出て、そのまま停止。道路を走っていたバスや車が足止めを食らっている様子が映っている。
このバイクは、ほかのバイク仲間を先に行かせたあとに最後尾につき、ようやく走り始めた。そもそも車の進行を妨害することは違法ではないのか。西村裕一弁護士に聞いた。
ーー車道に出て、ほかの車の進行を止めたバイク乗りの行為は、道路交通法などに違反するのでしょうか。
今回の動画で問題になっている行為は、道路外の施設から出て行く際に、1つの車線を1台のバイクが塞ぐような形で停車し、後続の車の進行を妨害しつつ、マスツーリング仲間がスムーズに同じ車線を走ることができるようにしているものであり、大変危険な行為であるといわざるをえません。
こうした行為は、「他の車両等の正常な交通を妨害するおそれ」がありながら、道路外の施設から出て行くに際して「左折」もしくは「横断」をおこなっているといえますから、横断方法について規定している道路交通法25条の2第1項などに違反する可能性があります。
この規定に違反した場合、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金(同法119条1項2号の2)に処せられる可能性があります。
ーーほかの車の進行を止めたバイク乗りだけではなく、ほかのツーリング仲間の行為も違法行為とみなされるのでしょうか。
他のツーリング仲間についても、すでに仲間のバイクが道路を塞いでいることで、ほかの車両等の正常な交通を妨害するおそれがあることを認識しながら、次々に道路外の施設から左折して進入しており、同様の罪が成立する可能性があります。
罰金刑だけではなく、懲役刑が定められていることからも、こうした行為が真に危険な行為として重くとらえられていることがおわかりいただけるかと思います。
ーー安全にマスツーリングをするうえで、どのような点に気をつけるべきでしょうか。
マスツーリングは行く先々での感動を仲間同士で共有し合える点で、単独でのツーリングとはまた違った魅力があると思われます。
ですが、人間の心理として、多くの人数が集まったときに普段より気が大きくなり、1人だとやらないようなことに手を出してしまうこともあるかもしれません。暴走運転もその1つでしょう。
事故が起こった場合はもちろんですが、事故に至らなかったとしても、こうした危険行為が原因で他のドライバーとの間でトラブルになってしまうと、楽しい思い出も台無しになってしまうでしょう。
マスツーリングをおこなう際も、単独でのツーリングと同様、あくまで冷静に、譲り合いの精神を持って運転することを心がけていただければと思います。
【取材協力弁護士】西村 裕一(にしむら・ゆういち)弁護士福岡県内2カ所(福岡市博多区、北九州市小倉北区)にオフィスをもつ弁護士法人デイライト法律事務所の北九州オフィス所長弁護士。自転車事故も含め、年間100件以上の交通事故に関する依頼を受けており、交通事故問題を専門的に取り扱っている。事務所名:弁護士法人デイライト法律事務所北九州オフィス事務所URL:https://koutsujiko.daylight-kitakyushu.jp/