ライフジャケットが絶対に必要です。川を甘く見ると重大な事故につながります――岐阜県庁公式サイト上に公開されている「水難事故等に関するQ&A(よくある質問)」が、「絶対に川を舐めるなという強い意志を感じる」などとツイッターで大きな注目を集めている。
60もの一問一答で川に潜む危険を説明し、たとえ「多くの人がライフジャケットを着用せずに泳いでいる場所」や「歴代の先輩から受け継がれてきた川の遊び場」であっても、ライフジャケットは必要だと警鐘を鳴らす。
J-CASTニュースは2022年8月25日、作成に携わった河川課の内田俊之さんに取材した。
Q&A では、1問目から川の危険性を強く訴える。
続く質問では、川に近づく場合は最低限の装備としてライフジャケットを着用することを勧めている。そのうえで、具体的なシーンを想定した質問への回答も記している。
例えばお盆の帰省に家族と河川敷でキャンプをする際、川遊びをする予定はないがライフジャケットは必要なのか。連休に彼女と河川敷でキャンプをする際、少しだけ川遊びをするかもしれないが泳ぐ予定はないのに、ライフジャケットは必要なのか。高校の仲間とバーベーキューのため河川敷に行く際、泳ぐつもりはなくてもライフジャケットは必要なのか。
岐阜県は全てに「ライフジャケットが絶対に必要です。川を甘く見ると重大な事故につながります」と回答する。川で遊んだり泳いだりするつもりがなくとも、川底の藻によって滑り落ちたり、岩や流木で転んだりして、川に流されてしまうかもしれない。楽しかったはずのイベントが最悪の結果につながる可能性があるという。
さらに「父はアユ釣りが趣味です。父の日に何をプレゼントすればいいですか?」という問いに対しては、次のように答える。
Q&Aは25日、あるツイッターユーザーが「担当者さんの日頃の苦労が文章全体から伝わってくる超力作なので読んでない人は読んでみて欲しい」と紹介し、大きな注目を集めた。
SNSで話題になるのは今回が初めてではない。20年8月にもツイッターで拡散され、複数のウェブメディアで報じられた。当時の質問数は20~30ほどだった。
岐阜県はその後もサイトを更新し続け、21年11月9日までに計60のQ&Aを公開した。職員たちが日常的に接する質問や、実際に起きた水難事故を参考に創作した質問もある。たとえば「今、体ごと流されています。どうすればいいですか?」といったものだ。これに対しては「背浮きをして呼吸を確保してください」などと回答している。
担当の内田さんは、このような質問を並べた狙いを次のように話す。
事故が多い現場には危険を知らせる看板を掲示している。しかし特に危険とされる長良川や板取川は、風光明媚でアクセスが良いことから訪れる人が後を絶たない。県外から遊びに来る人も多いため、SNSやインターネットでの情報発信にも力を入れている。
内田さんは、SNSでQ&Aが注目を集めたことを嬉しく受け止めているという。現在はコロナ対応などで手が回っていないものの、今後も更新を続けたいと意気込む。
最後に、次のように訴えた。