兵庫県明石市の泉房穂(ふさほ)市長は12日、2023年4月の任期満了に伴う市長選に立候補せず、3期目の今期限りで政治家を引退すると表明した。市議会本会議で議会運営を巡る威圧的発言について謝罪し、「政治家を引退する」と述べた。市議会本会議後、記者会見を開き、退任後について「プレーヤーとしてではなく、応援団として心ある政治家を育てたい。政治を良くしたい気持ちは変わらない」と述べた。明石市で展開した施策を全国に広めたいといい、「首長が良くなれば世の中が良くなる。選挙の応援もする」と意欲を語った。
兵庫・明石市長、政治家引退を表明 問責決議案巡り威圧的発言 威圧的発言については「(以前にも市幹部への暴言があり)またやってしまった。責任の取り方として政治家を辞めるしかないと判断した」と述べ、政治家復帰についても「責任の取り方が大事だ」として否定した。一方で「市民への責任もある。残り半年の任期をしっかり務め、政策を引き継いでくれる人にバトンタッチしたい」と話した。 泉市長は、NHK勤務や衆院議員、弁護士を経て、2011年に初当選。高校生までの医療費や第2子以降の保育料を無料化するなど子育てに手厚い施策を推進した。市外から子育て世帯などを引きつけ、市の人口は21年まで9年連続で増加した。旧優生保護法下で不妊・中絶手術を強いられた障害者と配偶者に支援金を支給する条例など全国初の事業を次々と手がけた「人権派」の側面もある。 公約実現を強力に進める一方で、市議会の多数派が推した候補を僅差で破って初当選した経緯もあり当初から市議会と対立する場面も目立った。市役所内でも19年には市幹部への暴言が発覚して辞職。出直し選で3選を果たしたものの、22年3月には両副市長が任期途中で退任した。6月には特定企業の法人税額を無許可でツイートしたことが地方税法の秘密漏えいの疑いが強いとする市議会百条委員会の報告書案が可決されていた。 泉市長の表明に、明石市内で精神障害や知的障害を持つ人の就労支援をするNPO法人「明石ともしび会」の南部和幸理事長は「支援者の意見に耳を傾けてくれていた。行動力があり、今後の取り組みにも期待していたので残念だ。熱意があって、そんな発言をしてしまったのだろう」と話した。 明石市の80代の女性は「驚いたが、暴言が目立っていたので当然だと思う。市のリーダーとして、感情的になって自分の意見を押し通すのではなく、じっくりと話し合いができる人であってほしかった」と話した。【井上元宏、大川泰弘、村田愛】
威圧的発言については「(以前にも市幹部への暴言があり)またやってしまった。責任の取り方として政治家を辞めるしかないと判断した」と述べ、政治家復帰についても「責任の取り方が大事だ」として否定した。一方で「市民への責任もある。残り半年の任期をしっかり務め、政策を引き継いでくれる人にバトンタッチしたい」と話した。
泉市長は、NHK勤務や衆院議員、弁護士を経て、2011年に初当選。高校生までの医療費や第2子以降の保育料を無料化するなど子育てに手厚い施策を推進した。市外から子育て世帯などを引きつけ、市の人口は21年まで9年連続で増加した。旧優生保護法下で不妊・中絶手術を強いられた障害者と配偶者に支援金を支給する条例など全国初の事業を次々と手がけた「人権派」の側面もある。
公約実現を強力に進める一方で、市議会の多数派が推した候補を僅差で破って初当選した経緯もあり当初から市議会と対立する場面も目立った。市役所内でも19年には市幹部への暴言が発覚して辞職。出直し選で3選を果たしたものの、22年3月には両副市長が任期途中で退任した。6月には特定企業の法人税額を無許可でツイートしたことが地方税法の秘密漏えいの疑いが強いとする市議会百条委員会の報告書案が可決されていた。
泉市長の表明に、明石市内で精神障害や知的障害を持つ人の就労支援をするNPO法人「明石ともしび会」の南部和幸理事長は「支援者の意見に耳を傾けてくれていた。行動力があり、今後の取り組みにも期待していたので残念だ。熱意があって、そんな発言をしてしまったのだろう」と話した。
明石市の80代の女性は「驚いたが、暴言が目立っていたので当然だと思う。市のリーダーとして、感情的になって自分の意見を押し通すのではなく、じっくりと話し合いができる人であってほしかった」と話した。【井上元宏、大川泰弘、村田愛】