「ハーックション!」「くちゅん」くしゃみの大きさ、なぜ違う?専門家が語るくしゃみをコントロールできない、これだけの理由

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寒い時、風邪をひいた時、花粉症の時期・・・突発的に出る「くしゃみ」。誰しも反射的に出るものだが、「ハーックション!」という大きいくしゃみの人もいれば、「くちゅん」と小さい人もいる。なぜ、人によってくしゃみの大きさに違いがあるのだろうか。くしゃみの大きさをコントロールすることは可能なのだろうか。
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くしゃみは瞬発的に出てしまう反射行為であり、誰しも出てしまうことは仕方のないことだと思う。しかし、静かな場所でくしゃみをすることにためらいがある人もいるのではないだろうか。大きなくしゃみで注目を集めるのは恥ずかしいし、特に映画館などでは「邪魔したら申し訳ない」と忍びない気持ちになる。逆に、誰かの「ハーックション!」という大きなくしゃみが聞こえると、思わず驚いて振り向いてしまう。
一方で、くしゃみが大きい人もいれば、「それ、くしゃみ?」と聞いてしまうような「くちゅん」という可愛らしいくしゃみをする人もいて、羨ましい。その違いは一体なんなのだろうか。
どうにかして、悪目立ちしない“静かなくしゃみ”を出せるよう、コントロールできないものか・・・。
スギ花粉はピークを終えようとしているが、東京ではヒノキ花粉が4月中旬まではピークになるという(※1)。花粉症のくしゃみとはあと少しお付き合いが必要になりそうな今、アレルギーを専門とする、日本医科大学耳鼻科の大久保公裕教授に話を聞いた。
――くしゃみの大きさは人によって違いがあると思うのですが、なぜ、これほどの違いがあるのでしょうか?
日本医科大学耳鼻科 大久保教授「くしゃみの大きさは、肺活量が関係しています。肺活量が比較的大きいおじさんたちは空気が一瞬で出るため、大きくなりやすい。それに比べれば、女性の方が小さくなると思います。ほかにも、呼気・吸う空気、口の形、そして空気を一気に出す力でコントロールされています」
――「口の形」というのは、開く口の大きさのことですか?
「口の形というのは、鼻腔のことです。鼻腔は鼻の後ろから口腔内にかけてのことで、そこに刺激を受けるためにくしゃみが出ます。喉から口の形がどうなっているかによって大きさは変わってきます」
赤ちゃんの時はほぼ同じ姿形で、体重もほぼ変わらない。しかし、成長するにつれて肺活量も違えば、顔の大きさも異なり、鼻腔の容積も変わってくるため、人によってくしゃみの大きさが変わってくるという。
体格の違いと言われれば仕方ないが、大きなくしゃみをしてしまうのは、やっぱり少しためらいがある。突発的に出るくしゃみは仕方ないとしても、「ムズムズ出そうで出ない・・・」と、くしゃみが出るまでに少し時間がある時くらいは、小さな“静かなくしゃみ”にコントロールすることはできないのだろうか。
――くしゃみを我慢したり、コントロールしたりすることは可能ですか?
「できません」
――では・・・控え目にすることは?
「できないと思います」
――・・・何もできないですか?
「できないと思いますよ。ムズムズ程度の刺激であればムズムズが自然と治まる可能性はあっても、くしゃみを我慢して抑える方法はありません」
大久保教授によると、そもそもくしゃみは『反射』を引き起こすことだと言う。脳の三叉神経に、外から入ってきたものが刺激して、脳幹のくしゃみ中枢が『反射』を引き起こす。一気に呼気が高まり、一気に出るのが「くしゃみ」である。簡潔に言うと、花粉やウイルスなどが鼻から入ってきて、それを防衛反応で外へ出すということなので、抑えることができないという。
――コントロールができなくても、せめて映画館など静かな場所でムズムズした時は、極力控えめにしたいと思うんです。
「手やハンカチで抑えるしかないですね。あとは、少し口を閉じることくらいかな」
ただし、鼻も口も完全に塞いでしまうと、吸い込んだ空気によって耳に圧力がかかるので、よくないという。
「マスクをしていても、マスクの外側を抑えて少しでも音を小さくするということがエチケットです」
『反射』をコントロールしようと考えるのは無謀なことか・・・。大きさは体格で変わってしまうのなら仕方ない。飛沫対策になることも含め、ハンカチなどで抑えて「音を小さくすることがマナー」なのだということを心に留めれば、恥ずかしいと思わず、くしゃみができそうだ。
(※1)日本気象協会 春の花粉飛散予測(第5報)3/28より

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