“真の富裕層”はタワマンではなく低層マンションを選ぶ?「年収6億円」45歳男性が実際に両方住んで分かった“意外な結果”

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セレブな成功者の象徴とされるタワーマンション(以下、タワマン)。だが、「本当の金持ちはタワマンより低層マンションを選ぶ」というのもよく聞く話。
【画像】月300万円の低層マンションの部屋
そこで、「港区・六本木のタワマン」から「日本一家賃が高い低層マンション」へ引っ越した男性に話を聞いた。実際に住んでみて、最終的にタワマンと低層マンションのどちらを選んだのか?
タワマンと低層マンションの両方に住んだ結果、選ばれたのは? ※写真はイメージ AFLO
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5年前、港区のタワマンから渋谷区の低層マンションへ越した福田真司さん(仮名、45歳)。本業は弁護士だが不動産投資などの収入もあり、30代半ばで年収6億円以上を稼ぐという正真正銘の富裕層だ。
「23区のタワマン、特に港区と聞くと、それだけで『セレブ』のように感じる人もいますが、実際タワマンは思ったより高額じゃない物件も多いんです。僕が20代後半に住んでいた六本木のタワマンは、単身者用で1DKの狭い部屋だったので、家賃は月26万円程。『六本木のタワマン』にしては意外とコスパが良いなと感じました。
オフィスから歩いて帰れる距離という理由で部屋を決めたのですが、業務を終えて深夜に自宅へ帰ると、窓の向こうに夜景が広がっていて癒されていましたね」

福田さんが相場より安く部屋を借りられたのは、地道な「値下げ交渉」の成果でもあった。
「タワマンは世帯数の多さゆえにタイミングによっては空室が目立つこともあります。また、すべてを不動産業者が所有しているわけではなく、建設地の地権者だった人を含めて区分所有者が持っている部屋もあるので、その場合は横並びの相場を気にせずに直で条件交渉ができる。表向きは正規料金のみしか表示されていませんが、値下げ交渉が可能なケースもあるんです」
3LDKから単身者向けの1Kまで幅広い部屋タイプが存在したそのタワマンでは、さまざまな住民と出会えることが福田さんにとっての大きな利点だったという。
「マンション内のパーティールームに集まって、定期的に住民同士の交流会があるのが面白かったですね。サッカーW杯をみんなで観戦したり、仲良くなった人同士でホームパーティーを開いたりと住民の距離は近かった。男女問わず異業種や幅広い世代の人と交流できて、港区界隈の友人が一気に増えました」

さらにタワマンの居住者であれば入会しやすくなる会員制クラブの“特権”もあったという。
「入会時に130万円、年会費で20万円ほど必要でしたが、タワマン住民やクラブメンバーで交流できるクラブに入会していたことで、出会いの機会はさらに増えました。入会すると、メンバーとその同伴者しか入れない上層階のレストランフロアを利用できるんです。
一番安いメニューならランチは2500円前後で食べられて、個室も無料。当日予約で使えるので、会食の店が決まらない時などは、便利でしたね。さらに上階にある美術館や展望台も無料で利用できる特典がついていました」
その後、順調にキャリアを積んでいった福田さんは34歳にして年収6億円を突破。35歳で同じ六本木の月々家賃75万円、2LDKのタワマンに引っ越した。
「手頃なお店から高級店まで揃っている六本木の住みやすさを知ってしまうと、便利すぎて港区から離れられなくなっていました」
2つのタワマンに共通していたのは、いずれも近隣住民との交流が盛んだったという点だ。
「ホームパーティーでも仕事のことを熱く語り合うことが多かったですね。著名人やスタートアップ系企業の社長だけでなく、ベンチャー企業やIT系で働く20代も結構住んでいましたね。お金持ちと、将来の成功を夢見る若者が混在している感じでした」

タワマンらしいギラギラとした交流会を楽しむ一方で、実際に住んでみて不便さを痛感する場面もあったという。
「よく言われることですが、タワマンは部屋にたどり着くまで時間がかかるのが面倒。忘れ物に気づいた時やトイレに行きたい時は、エレベーターを待つ時間が地獄でした。
高層階は空が近いので部屋から外を見ると晴れていたのに、地上に降りたら雨が降っていた……ということもよくあり、傘を取りに戻るのもしんどかった。窓から見える東京タワーや夜景も見慣れてしまえば感動も何もなかったですね」
そんな福田さんが「日本一家賃が高い」とも言われる都内の低層マンションへ引っ越しを決めたのは、2019年のこと。
「使わないお金を持ち続けていても仕方がないなと。固定費を上げることで資産が減っていくプレッシャーをかけて、新しいことに挑戦するためのモチベーションになれば思ったのが、引越しの一番の理由です。僕が選んだ渋谷区の低層マンションは、『日本一家賃が高い』とも言われている場所でした」
“固定費を上げたい”というにわかには考えられない理由で、タワマンより高い家賃の低層マンションへ引っ越した福田さん。とはいえ、ここでもしっかり値引き交渉を行ったという。
「19年の秋頃から住み始めた低層マンションの家賃は330万円。実際には、この正規料金から若干値引きしてもらいましたが、さらに保証料も月10万円程度加算され、毎月300万ちょっと支払っていました。部屋の広さは260平米で、床は大理石。バルコニースペースだけでも、ちょっとしたパーティーができるくらい十分な広さがありました」

1人で住むには広すぎる豪邸だが、受付には24時間コンシェルジュが常駐し、セキュリティ対策はバッチリ。その心強さから、うっかり部屋の鍵をかけ忘れて外出してしまうことも珍しくなかったという。
「部屋が広くなったことで、いろいろな人に遊びに来てもらえました。SNSで声を掛けて知らない人を何十人も自宅に招いたこともあれば、トップ女優やアーティストなどの著名人が来たこともあります。
結果的に家賃をちょっと上げたくらいではそこまでモチベーションに影響がなかったのですが、引っ越した意味は十分にあったと思います」
とはいえ低階マンションは世帯数が限られているため、派手な行動をすると悪目立ちしてしまうという面も。
「私が入居していたタワマンは入居時の審査から『結構緩いな』と感じたのですが、低層マンションはYouTubeの撮影禁止など細かいルールがたくさんあって、不自由に感じることもありました。
2LDK以上のファミリー向けの部屋がメインなので、経営者の家族や、40代50代以上の富裕層など住民は落ち着いた雰囲気の人ばかり。タワマンはスタートアップ系の経営者、低層マンションはすでに実績のある会社経営者が多かったですね。住民同士の関わりもあまりなく、プライバシーも守られていたので、世帯数の割に有名人が多く住んでいたのは低層マンションの方でした」
港区タワマンのようなギラギラとした上昇志向を持つ若者は、福田さんの住む低層マンションには少なかったという。
「もちろん場所にもよりますが、家賃250万円以上のハイエンドかつ広い部屋を借りようとすると、タワマンより低層マンションのほうが選択肢は多い。そういう意味で、お金持ちはタワマンより低層マンションを選ぶ……というのは一理あるのかなと思います」
一方、20代から30代にかけてタワマンと低層マンションを渡り歩いた福田さんは、現在はどちらにも住んでいない。
「ここ数年はほとんど海外で過ごしているので、マンションは解約しました。日本にいる間はホテル暮らしで十分だなと。実際、部屋を借りていないと身軽に動けてモチベーションも上がります。持ち物はスーツケース1つあれば十分なので、理想の生活が送れていますね」
もはや住む場所にはこだわらないようだ。
(清談社)

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