「なにわの台所」は雰囲気ガラリ“ぼったくり市場”に…築地場外では和牛1串が3000円!【現地ルポ 列島インバウンドバブル】

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【現地ルポ 列島インバウンドバブル】#3
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黒門市場(大阪)/築地場外市場(東京)
◇ ◇ ◇
「Shrimp \3500」「King Crab \4000」「Sea Urchin \3500」──。あちこちの店頭の値札に英語表記と強気の値段が並ぶ。大阪・ミナミの黒門市場。地元庶民が気軽に買い物する「なにわの台所」の雰囲気は一変し、すっかりインバウンド目当ての店だらけである。
「コロナ禍の3年間で老舗を含め30近くの店が畳み、その跡に新規出店が相次いどるけど、どこもかしこも外国人観光客だけを相手する店ばっかりや」(ある店主)
平日の朝9時すぎに足を運ぶと日本人客はほぼいない。すれ違うのはアジア系の観光客が多い。ちょっと前には2万~3万円は当たり前の高値をふっかける店もあり、地元の人は“ぼったくり市場”と呼ぶようになった。今では悪名払拭のためか、1万円以上の品物はまず置いていない。加えて、ズラリと並ぶ1尾3500円の焼きエビや1本4000円のカニ足などを買い求める外国人観光客も見かけないのだ。
1本2500円で近江牛の串刺しを売るおっちゃんに話しかけると、開口一番「大阪には裕福な人が来てないんちゃう?」とこう続けた。
「ここに来る人も大半は何も買わんと、商店街の雰囲気を味わいたいだけ。食品サンプルの値段かてバカにならんし。商売あがったりですわ」
その横でアジア系の若いカップルが1串800円の焼きかまぼこをおいしそうに頬張っていた。
東京・築地の場外市場は「Wagyu」が人気。複数の店が串刺しのステーキを販売している。目当てはインバウンドだけに、外国人の店員もおり、英語でやりとりしていた。1串3000円前後。米国人客に聞くと、「20ドル。安いよ」。
日本人の感覚だと「?」だが、「ウニサーロイン串 6000円」が1番人気という店も。霜降り肉の上にウニを乗せ、その豪華さと特別感が外国人観光客にはたまらないのか。濃い味同士が口の中でケンカしないか心配していると、ベビーカーを引くアジア系の家族連れが「3本」と言って万札2枚を差し出した。締めて1万8000円だ。
外国人観光客が喜びそうな豪華メニューは他にもある。朝から酒が飲める海鮮居酒屋で見つけたのは「オマール海老味噌ラーメン 5500円」。2つに割った焼きエビ1尾がドーンとのっかり、ボリューム満点だ。
「昨年7月のオープン時からのメニューで、インスタで人気が出ました。外国人はエビ好きが多いですよ」(「リトル築地場外」三宅修司社長)
エビは香ばしく、身がプリプリ。エビのだしがしっかり出たスープも◎。エビが半分なら3080円なので、日本人でも試す価値アリ?=つづく
(取材・文=今泉恵孝、小塚かおる/日刊ゲンダイ)

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