非課税の収入が1000万円以上…!新幹線も乗り放題…!改めて知っておきたい、ヤバすぎる「議員特権」を全公開

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自民党の裏金問題を契機に、“政治とカネ”に対する国民の不信感は高まっている。岸田首相が今後打ち出すであろう支持率稼ぎの政策に騙されぬよう、把握しておきたい「議員特権」を総ざらいする。
世間を大きくにぎわせた自民党の政治資金パーティ問題だったが、東京地検特捜部による捜査は事実上の終結。議員3名を含む10名に刑事処分が下されたものの、安倍派幹部らの立件は見送りという尻すぼみの結末となった。
「岸田文雄首相は自民党所属の全議員に対し裏金受領についてのアンケート調査を実施し、『早々に結果を取りまとめる』としていますが、そんなもので裏金の実態が解明できるわけがありません。旧統一教会問題のときと同じように、その場しのぎをしてウヤムヤにするといういつものやり方ですよ」(自民党・ベテラン政策秘書)
裏金問題によって「政治とカネ」に対する国民の怒りは高まっており、SNS上には「まずは自分たちの身を切れ」といった声も飛び交っている。それもそのはずで、国会議員には「特権」としか言えないさまざまな優遇が存在する。
本誌は今回、そんな「議員特権」を徹底調査。およそ一般感覚からかけ離れた、知られざる実態を明らかにした。
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まずは、議員の「歳費」(給与)と「期末手当」(ボーナス)。’23年の額は歳費が月129万4000円で、年2回の期末手当が約640万円、年間で約2200万円に及ぶ。
これに加え、「調査研究広報滞在費(旧文通費)」が月100万円も支給される。非課税なうえ、領収書も使途報告も必要ないため、「第2の財布」とも呼ばれる。
月100万円の「旧文通費」を個人の口座に入れ、“私的”としか思えない使い方をしている議員も少なくないという。自民党中堅女性議員の秘書が声を潜めて明かす。
「私がついている女性議員は、党内で配るためのバレンタインチョコを旧文通費で購入していました。会計担当者だった私にカネを渡し、買いに行かされたのでよく覚えています。官僚や事務所スタッフとの飲み食いに使っているならまだマシで、クラブ通いや自分の洋服代、家族の食事代に使っている議員までいますよ」
さらに、「立法事務費」もある。会派に対し支給され、議員一人あたりの金額は月65万円。やはりこちらも、非課税で使途報告の義務はない。
元国会議員秘書で政治評論家の尾藤克之氏が言う。
「議員収入年間3000万円超は先進国のなかでも高い額です。しかも、非課税で使途報告の必要がない収入が1000万円以上あるのは日本だけ。イギリスやアメリカの議員は、1円単位まで使途明細書の提出を求められています」
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表に出てきにくい「特権」はまだまだある。
たとえば、議員は3人まで公設秘書を雇うことが認められているが、その人件費も国から支給されている。金額は年間約2500万円だ。
移動についてもほぼカネはかからない。「国会議員鉄道乗車証」、いわゆる「JR無料パス」は、特権の最たる例とも言われる。
「JR無料パスは名刺大のカードで、歳費法にもとづいて国会議員に与えられます。駅の有人改札でパスを示せば、無料で全国のJR路線に乗れる。特急券も無料なので、新幹線を使う際はグリーン車で移動できます」(全国紙政治部記者)
チェックがゆるいため、この「JR無料パス」は不正の温床にもなっている。’22年には、元参議院議員の男が落選して12年経っていたにもかかわらずパスを利用し、詐欺罪で逮捕。しかしそれでも、対策は昨年3月に決まったパスの「デザイン変更」のみだ。

国会議員はこの「JR無料パス」の代わりに、月4往復相当分の「航空券引換証」を受け取ることもできる。これらの特権のためにJRや航空会社に支払われる税金は、年間で約14億円にも及ぶ。
また、海外視察についても、年間約5億3000万円が国から支給されている。
「名のある議員が海外や地方に行く際、空港では必ずJALやANAのスタッフが玄関口まで出迎えに来てくれます。そして、荷物を運んでVIPラウンジに案内してくれるのです。ちなみに、『航空券引換証』で乗った場合もマイルが貯められます」(前出・ベテラン政策秘書)
後編記事『相続税もかからない…!診療代もタダ…!いくら何でもズルすぎる「議員特権」一覧』へ続く。
「週刊現代」2023年2月17日号より

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