園児の3分の1被害 保護者説明会で怒声 埼玉・熊谷保育所虐待

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埼玉県熊谷市向谷の市立吉見保育所で不適切保育が行われていた問題で、同市保育課は22日、大声を上げるなどの心理的虐待が2022年から続いていたと明らかにした。被害園児は少なくとも0~6歳児の19人にのぼり、女性所長、主任保育士のほかに4人の保育士が関わっていた。在籍園児(59人)の3分の1が被害に遭い、恒常的に虐待が続いていた実態が浮き彫りになった。【隈元浩彦】
【写真】2015年に開所した吉見保育所 市保育課は保護者から提供された保育状況の音声データを精査し、所長ら保育士20人、保護者からのヒアリングを進めている。

同課は調査を基に、「全部DNA」「バカ頭」などといった所長、保育士による15の発言を心理的虐待などに当たる不適切発言として公表した。また、23年5月ごろ、所長が2歳の女児に対して内ももを強くたたく身体的虐待があったとした。 被害園児19人のうち、主任保育士が担任を務める0~1歳児クラス(14人)が10人を占めた。同クラスに関わる保育士はほかに5人。そのうち4人が心理的虐待に関与していた。2人は不適切な言葉を発し、もう2人はうなずくなど同調していた。所長、主任保育士に比べ、関与の度合いは低いとしている。 長期間の虐待について、新藤守治・保育課長は「22年秋ごろ、保育士から『所長の指導が厳しい』というパワハラの相談があったが、保育の問題と捉えていなかった」と明かし、「今思えば対応が不十分だった」と話した。所長は20年に吉見保育所に着任。翌年に所長に就いた。 市は、虐待を主導したとみられる所長、主任保育士の2人を24年元日付で異動させ、新たな保育態勢が構築されるまで、応援保育士を配置する方針。全園児を対象に保健師、臨床心理士によるカウンセリングや必要なケアを講じ、保護者の相談にも応じる。一方、虐待に関与した4人の保育士は同保育所で勤務を続けている。 また、再発防止策として市内の全12公立保育所に見守りカメラ(監視カメラ)を設置し、専門家を交えた虐待防止委員会(仮称)を組織する構想を示した。研修などを通じて保育士の意識を高めたいとしている。 虐待が続いた原因について、新藤課長は「0~1歳児クラスの保育室が他の保育室とは隔離され、目が行き届かない構造になっていた」と、建物のレイアウトの問題を第一に挙げ、次いで「保育所内で自由に意見が言えないような、風通しの悪い雰囲気があった」とした。怒声飛び交う説明会 吉見保育所近くの大里コミュニティセンターでは21日夜、市による保護者への説明会が開かれた。不信感を募らせた保護者から怒声が上がるなど、説明会は約3時間に及んだ。 関係者によると、市側からは堀口雅弘・福祉部長のほか、女性所長ら主な保育士も出席した。所長は冒頭「私の配慮不足により、このような事態を招いてしまったこと、皆さまにご迷惑をおかけしましたこと、深くおわび申し上げます」と述べ、主任保育士とともに頭を下げた。 園児ばかりか家族を中傷するような発言や身体的虐待について、所長が「覚えていない」などと答える場面もあり、保護者からは「絶対に許さない」などと怒りの声が続出したという。 また、保護者は「虐待に関与していた保育士がまだいるのに、安心して子どもを預けることができない」「『家庭教育に問題がある』という言葉に家族全員が苦しんだ」などと口々に訴えた。「これだけ大ごとになっているのに、(小林哲也)市長は来ていない。市は真剣に考えているのか」という意見もあり、市側は「市長も大変重く受け止めている」などと釈明に追われた。 保護者は、子どもが通園する48世帯のうち46世帯81人が出席した。市が心理的虐待などに当たるとした不適切発言・あのバカ頭だから。あのお父さんだし。・○○やるよ、これ。これやるよ。・いい加減にしなさい! ○○はいじられる人生なんだからしょうがない。・全部DNA。・家でろくなもの食べてない。・牛舎みたいなにおい・あの肌着のおばさん何だろう。・ダメチン・(うんちが出た報告を受けて)ほら、あーあ。あー。なんで言わないん。・無駄に飲むな薬! 無駄に飲むなよ!・〇〇また食べさせてもらってんのー。あかちゃんね。だめだね。・あーだめー、危ない。出てるじゃん!(子の泣き声)・こんな態度が悪い、威張ってるんだろうね、家でも。・何なん、何様なん?・〇〇(動物)の鳴き声は何なの? 何の動物ですか。聞かれたことに答えられないんじゃ困るよ。勝手なことはしゃべるくせに。
市保育課は保護者から提供された保育状況の音声データを精査し、所長ら保育士20人、保護者からのヒアリングを進めている。
同課は調査を基に、「全部DNA」「バカ頭」などといった所長、保育士による15の発言を心理的虐待などに当たる不適切発言として公表した。また、23年5月ごろ、所長が2歳の女児に対して内ももを強くたたく身体的虐待があったとした。
被害園児19人のうち、主任保育士が担任を務める0~1歳児クラス(14人)が10人を占めた。同クラスに関わる保育士はほかに5人。そのうち4人が心理的虐待に関与していた。2人は不適切な言葉を発し、もう2人はうなずくなど同調していた。所長、主任保育士に比べ、関与の度合いは低いとしている。
長期間の虐待について、新藤守治・保育課長は「22年秋ごろ、保育士から『所長の指導が厳しい』というパワハラの相談があったが、保育の問題と捉えていなかった」と明かし、「今思えば対応が不十分だった」と話した。所長は20年に吉見保育所に着任。翌年に所長に就いた。
市は、虐待を主導したとみられる所長、主任保育士の2人を24年元日付で異動させ、新たな保育態勢が構築されるまで、応援保育士を配置する方針。全園児を対象に保健師、臨床心理士によるカウンセリングや必要なケアを講じ、保護者の相談にも応じる。一方、虐待に関与した4人の保育士は同保育所で勤務を続けている。
また、再発防止策として市内の全12公立保育所に見守りカメラ(監視カメラ)を設置し、専門家を交えた虐待防止委員会(仮称)を組織する構想を示した。研修などを通じて保育士の意識を高めたいとしている。
虐待が続いた原因について、新藤課長は「0~1歳児クラスの保育室が他の保育室とは隔離され、目が行き届かない構造になっていた」と、建物のレイアウトの問題を第一に挙げ、次いで「保育所内で自由に意見が言えないような、風通しの悪い雰囲気があった」とした。
怒声飛び交う説明会
吉見保育所近くの大里コミュニティセンターでは21日夜、市による保護者への説明会が開かれた。不信感を募らせた保護者から怒声が上がるなど、説明会は約3時間に及んだ。
関係者によると、市側からは堀口雅弘・福祉部長のほか、女性所長ら主な保育士も出席した。所長は冒頭「私の配慮不足により、このような事態を招いてしまったこと、皆さまにご迷惑をおかけしましたこと、深くおわび申し上げます」と述べ、主任保育士とともに頭を下げた。
園児ばかりか家族を中傷するような発言や身体的虐待について、所長が「覚えていない」などと答える場面もあり、保護者からは「絶対に許さない」などと怒りの声が続出したという。
また、保護者は「虐待に関与していた保育士がまだいるのに、安心して子どもを預けることができない」「『家庭教育に問題がある』という言葉に家族全員が苦しんだ」などと口々に訴えた。「これだけ大ごとになっているのに、(小林哲也)市長は来ていない。市は真剣に考えているのか」という意見もあり、市側は「市長も大変重く受け止めている」などと釈明に追われた。
保護者は、子どもが通園する48世帯のうち46世帯81人が出席した。
市が心理的虐待などに当たるとした不適切発言
・あのバカ頭だから。あのお父さんだし。
・○○やるよ、これ。これやるよ。
・いい加減にしなさい! ○○はいじられる人生なんだからしょうがない。
・全部DNA。
・家でろくなもの食べてない。
・牛舎みたいなにおい
・あの肌着のおばさん何だろう。
・ダメチン
・(うんちが出た報告を受けて)ほら、あーあ。あー。なんで言わないん。
・無駄に飲むな薬! 無駄に飲むなよ!
・〇〇また食べさせてもらってんのー。あかちゃんね。だめだね。
・あーだめー、危ない。出てるじゃん!(子の泣き声)
・こんな態度が悪い、威張ってるんだろうね、家でも。
・何なん、何様なん?
・〇〇(動物)の鳴き声は何なの? 何の動物ですか。聞かれたことに答えられないんじゃ困るよ。勝手なことはしゃべるくせに。

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