運転士の「退職理由」をバス停に掲示の山口・いわくにバス「個人情報漏えい」批判に会社は「運転士も知っています」

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岩国駅て停車中のいわくにハス
《運転士の退職を受けて、急遽ですが、土日祝運行のみ便(平日は運行)を減便、一部時刻を変更します。》
という、『いわくにバス』のバス停に貼り出された告知が11月6日、X(旧Twitter)にアップされ、話題になっている。
いわくにバスは山口県岩国市に本社を置く、路線バス事業が中心の会社。会社発表では、従業員が70人の規模である。
掲示内容がこれだけなら、昨今の運転士不足や乗客の減少などから、減便や路線廃止をするバス会社も多いので、さほど驚かないが、張り出された告知には運転手の退職理由として
《拘束時間が長すぎて自分の時間が取れない。子供にまだまだ金がかかる。》
と、「個人情報」と思われる内容まで書かれてあったのだ。
これにはみな、さすがに驚きを隠せず、SNSには
《バスの運転手、給与安いからなーそうなるよなー》
《理由書く必要あるんだろうか》
《元社員さんは退職理由の公表に同意したのだろうか?》
といった個人情報漏えいを心配する声や
《国も真剣に人件費補助は考えないと地方は消滅するで》
など、行政の支援を求める書き込みもあった。
「バスやタクシーの運転士がなぜ不足しているのかが、如実にわかる話ですね。『求人ボックス・給料ナビ』によると、バス運転士の平均年収は約385万円。月給換算だと32万円だそうです。しかも勤務時間が長く、宿直勤務もあります。NHKは9月20日放送の『首都圏ナビ』で、業界団体の話として、2030年度には3万6000人の運転士が不足するという試算を報じています」(週刊誌記者)
今回、なぜいわくにバスは、この掲示を出したのか。本社に聞いた。
「お客さまや行政から運転士の退社理由を聞かれますので、それに答えないわけにはいかず、理由を書きました。何か、特別な意図があって書いたものではありません。もちろんリアルな理由で、辞めた運転士も掲示を知っています。
全国的に、バス事業者は経営が本当に大変です。ギリギリの状況です。弊社も、社長が運転士として自らハンドルを握っていまして、行政から補助金もいただいていますが、それは赤字補填にまわし、従業員の給料アップにはつながっていないのが実態です」
正直に苦しい状況を語った会社側。この掲示が、市民の足としてのバス事業が、継続していく一助になればいいのだが。

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