大谷人気が骨董市にも影響? 外国人マニア殺到 店主も知らない“謎の骨董”徹底追跡

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年2回開催され、200店舗以上が出店する「骨董(こっとう)グランデ」。国内外の骨董品を求めて“外国人マニア”が殺到しました。【画像】大谷人気が骨董市にも影響? 外国人マニア殺到 店主も知らない“謎の骨董”徹底追跡 アメリカから来日した2人は、“ソフビ(ソフトビニール人形)”のコレクターと日本の“軍事マニア”。日本在住30年のアメリカ人は、“日本の野球グッズマニア”。昭和の選手のカードやメンコなどを収集しています。 さらに骨董市でも、大谷翔平選手の人気が思わぬ影響を与えていて、王貞治選手のルーキーカードは、傷がついていなければ「50万円から100万円」になるなど、アメリカのコレクターが日本の野球に興味を持っているといいます。

一方、骨董市には不思議なモノも…。発見したのは、刃と突起が付いた木製の道具。店主も「何に使っていたものか分からない」という“謎の骨董”の正体を徹底追跡すると、意外な答えにたどり着きました。■“ソフビ”“軍事グッズ”求め…アメリカから来日 アフリカのお面や古い握力計測器など、国内外の様々な骨董を扱う「骨董グランデ」。年2回の開催で、今回は200店舗以上が出店しました。 キャリーケースを片手に場内を回るのは、アメリカから来日したベンジャミンさん。購入したのは“ソフビ(ソフトビニール人形)”です。怪獣やヒーローなど、1980年以前のものは価値が高いと言われています。 ベンジャミンさん:「ロボコン、“ソフビ”。今、アメリカでは、日本のヴィンテージの“ソフビ”が人気なんだ」 自宅に同じものがあるというベンジャミンさん。“マニア”ならではのこだわりがありました。 ベンジャミンさん:「前の持ち主の名前が書いてある。一般的には価値が下がるけど、僕は味があって良いと思う」 さらに、一緒に来ていた友人のガンナーさんは、日本の“軍事グッズマニア”だといいます。 ガンナーさん:「日本のことを知ってほしくて、アメリカで軍事フェアを開いたんだ。この日本の軍服を着ているのが僕だよ」 実は、ガンナーさん。アメリカの大学でアジア史を教えているといいます。研究のために戦時中の日本の骨董を集めていました。■日本の“野球グッズマニア” 総額500万円以上 早足で会場を回って何かを探している外国人。足を止めて熱心に見ていたのは、一体?近づいてみると、どうやら古いカードを探しているようです。 骨董店 店主:「(Q.ポストカードですかね)1930年代とか戦後のものもある」 そして、ついにお目当ての物を発見したのか、ショーケースから取り出したのは、スポーツ選手のトレーディングカードです。 アメリカ人男性:「これが?」 骨董店 店主:「大谷君」 アメリカ人男性:「あー」 骨董市でも大谷人気が思わぬ影響を与えていました。 日本在住30年 ジェフリーさん:「アメリカのコレクターが、日本の野球に関する物に興味をもっている」 来日して30年になるジェフリーさんは、日本の“野球グッズマニア”。 ジェフリーさん:「40年以上前のメンコとかブロマイドとか。大谷がすごく人気で影響している」 後日、都内で衣類の販売を行うジェフリーさんのオフィスに行くと、コレクションのメンコに映っているのは、「打撃の神様」の異名をとった川上哲治選手。下敷きには、「世界のホームラン王」の王貞治選手も…。 ジェフリーさん:「(Q.これはなんですか?)中にガムが入っている。長嶋、山本浩二、金田。たぶん(ガムは)食べない方がいいよ」 大谷人気で、日本の野球に興味を持つアメリカ人が増えたため、今では昭和の野球グッズも価値が上がっているといいます。 ジェフリーさん:「王貞治選手のデビューした年のカード。5万円程度。でもちょっと傷があるから、傷がなければ50万から100万円」 切り出す前のシート状のメンコもあり、売られた年代が正確に分かるといいます。 ジェフリーさん:「これは1949年か50年(以降)のモノ。なぜなら「別所」が巨人です。48年だったら彼は南海ホークスでした」 コレクションは、昭和に活躍した野球選手のメンコやカード、雑誌など。自宅には、この10倍以上もあり、今までに使った金額は、なんと500万円以上だといいます。 ジェフリーさん:「スポーツは、大事な歴史の証し」 日本の野球選手のグッズを集めるのは、日本を知るためでもありました。■“丸い形の骨董”“分厚い平皿”の正体は? マニアが求める様々な“お宝”。中には何に使われていたか、さっぱり分からない“謎の”骨董もあります。 アンティーク家具などを扱う店で見つけたのは、丸い形の不思議な骨董です。 木製のものや銅製のものも…ひっくり返すと中は空洞。1950年代のものだと言いますが、何に使うものか、皆さん分かりますか? 骨董店 店主:「帽子を作る時の型ですね」 実はこれ、ボーラーハットとよばれる帽子を作るための型。意外な利用法で購入していく人もいました。 骨董店 店主:「飲食店の人がワインクーラーに使おうって買っていきましたよ」 茶碗などを扱う店にあったのは、表面にデザインが施され、分厚い平皿のようなもの。手のひらほどの大きさですが、一体? 骨董店 店主:「瓦ですよ。中国の丸瓦。軒のところに、こう出ている」 瓦の先端部分に飾られる軒丸瓦(のきまるがわら)。皿立てに乗せて、インテリアとして購入する人が多いそうです。■謎の骨董 木に染みついた白い跡がヒントに さらに、木製の道具のようなもの。真ん中には、突起と刃が付いていて、片側の端は、取っ手のように見えます。 骨董店 店主:「(Q.何に使われたものかご存じ?)いや、知らないですよ。分からないから面白いんだよ」 店主も分からない“謎の骨董”の正体とは…。他の出店者に見てもらうと…。 骨董店 店主:「分かんないな…こういうものじゃないですかね?違う?全く分からないです。ごめんなさい」 骨董店 店主:「カンナっぽいですね」 果たして、カンナなのでしょうか? 訪ねたのは、創業77年の大工道具などを扱う店。先代店主に見てもらうと重要なヒントが隠れていました。 スズキ金物店 鈴木俊昭さん:「私もこれを初めて見たけどね。昔の古い道具だろうね。木ヤスリみたいな感じもするけど、(木の部分が)減っていないから…カンナとか大工道具という範疇(はんちゅう)には入らないね」 刃の下の部分が削れていないことから、木よりも柔らかいものを削っていたと推測します。すると、意外な手がかりを発見しました。 鈴木さん:「これが、何かの汁の跡かもしれない。もしかしたら調理用具」 木に染みついた白い跡。食材を削った際ついたのではないかと言います。■調理器具「かて切り」の中でも珍しい“千切り用”? そこで、古民具などを扱う博物館に聞き込みを開始しました。 すると、宮城県の「東北歴史博物館」で有力な情報がありました。 東北歴史博物館 今井雅之さん:「結論から申し上げますと、大根を切る道具かと思います。『かて飯』というふうに言いまして、“命の糧”をつなぐという糧ですね」 白いご飯がぜいたくだった時代、ダイコンやジャガイモなど廉価な食材を混ぜて量を増やし命の糧とした「かて飯」。 それを作る「かて切り」と呼ばれる調理器具だったのです。この器具は、明治から昭和初期に東北を中心に使われていたといいます。 実際に使っている動画を入手すると、ダイコンを押し当てて持ち手部分を降ろすとダイコンが切られていきます。よく見ると、さいの目状になっています。 その仕組みは、2つのパーツから成り立っていました。 最初は、下についた突起で横に切れ目を入れ、上の突起は縦に…最後は刃でダイコンの表面をカットし、さいの目状にしていました。 確かに「かて切り」の上の部分が今回、骨董市で入手したものと似ているのですが、よく見ると、刃の下の木の幅に違いが…実は。 今井さん:「小さいたくさんある刃(突起)が、ダイコンを縦に切ります。上についている刃が直角に落ちるので、細長い千切りができる、非常に珍しい物」 “謎の骨董”の正体は、「かて切り」の中でも珍しいという千切り用。木の幅が広いのは、切る際にダイコンがズレないようにするためでした。 博物館によると、千切り用の「かて切り」が発見されたのは、宮城県では唯一、栗原市だけだということです。 美術的価値はなくても、マニアにとっては垂涎(すいぜん)の“お宝”。その時代を生き抜いた証しでもある骨董に人々は魅せられていました。
年2回開催され、200店舗以上が出店する「骨董(こっとう)グランデ」。国内外の骨董品を求めて“外国人マニア”が殺到しました。
アメリカから来日した2人は、“ソフビ(ソフトビニール人形)”のコレクターと日本の“軍事マニア”。日本在住30年のアメリカ人は、“日本の野球グッズマニア”。昭和の選手のカードやメンコなどを収集しています。
さらに骨董市でも、大谷翔平選手の人気が思わぬ影響を与えていて、王貞治選手のルーキーカードは、傷がついていなければ「50万円から100万円」になるなど、アメリカのコレクターが日本の野球に興味を持っているといいます。
一方、骨董市には不思議なモノも…。発見したのは、刃と突起が付いた木製の道具。店主も「何に使っていたものか分からない」という“謎の骨董”の正体を徹底追跡すると、意外な答えにたどり着きました。
アフリカのお面や古い握力計測器など、国内外の様々な骨董を扱う「骨董グランデ」。年2回の開催で、今回は200店舗以上が出店しました。
キャリーケースを片手に場内を回るのは、アメリカから来日したベンジャミンさん。購入したのは“ソフビ(ソフトビニール人形)”です。怪獣やヒーローなど、1980年以前のものは価値が高いと言われています。
ベンジャミンさん:「ロボコン、“ソフビ”。今、アメリカでは、日本のヴィンテージの“ソフビ”が人気なんだ」
自宅に同じものがあるというベンジャミンさん。“マニア”ならではのこだわりがありました。
ベンジャミンさん:「前の持ち主の名前が書いてある。一般的には価値が下がるけど、僕は味があって良いと思う」
さらに、一緒に来ていた友人のガンナーさんは、日本の“軍事グッズマニア”だといいます。
ガンナーさん:「日本のことを知ってほしくて、アメリカで軍事フェアを開いたんだ。この日本の軍服を着ているのが僕だよ」
実は、ガンナーさん。アメリカの大学でアジア史を教えているといいます。研究のために戦時中の日本の骨董を集めていました。
早足で会場を回って何かを探している外国人。足を止めて熱心に見ていたのは、一体?近づいてみると、どうやら古いカードを探しているようです。
骨董店 店主:「(Q.ポストカードですかね)1930年代とか戦後のものもある」
そして、ついにお目当ての物を発見したのか、ショーケースから取り出したのは、スポーツ選手のトレーディングカードです。
アメリカ人男性:「これが?」 骨董店 店主:「大谷君」 アメリカ人男性:「あー」
骨董市でも大谷人気が思わぬ影響を与えていました。
日本在住30年 ジェフリーさん:「アメリカのコレクターが、日本の野球に関する物に興味をもっている」
来日して30年になるジェフリーさんは、日本の“野球グッズマニア”。
ジェフリーさん:「40年以上前のメンコとかブロマイドとか。大谷がすごく人気で影響している」
後日、都内で衣類の販売を行うジェフリーさんのオフィスに行くと、コレクションのメンコに映っているのは、「打撃の神様」の異名をとった川上哲治選手。下敷きには、「世界のホームラン王」の王貞治選手も…。
ジェフリーさん:「(Q.これはなんですか?)中にガムが入っている。長嶋、山本浩二、金田。たぶん(ガムは)食べない方がいいよ」
大谷人気で、日本の野球に興味を持つアメリカ人が増えたため、今では昭和の野球グッズも価値が上がっているといいます。
ジェフリーさん:「王貞治選手のデビューした年のカード。5万円程度。でもちょっと傷があるから、傷がなければ50万から100万円」
切り出す前のシート状のメンコもあり、売られた年代が正確に分かるといいます。
ジェフリーさん:「これは1949年か50年(以降)のモノ。なぜなら「別所」が巨人です。48年だったら彼は南海ホークスでした」
コレクションは、昭和に活躍した野球選手のメンコやカード、雑誌など。自宅には、この10倍以上もあり、今までに使った金額は、なんと500万円以上だといいます。
ジェフリーさん:「スポーツは、大事な歴史の証し」
日本の野球選手のグッズを集めるのは、日本を知るためでもありました。
マニアが求める様々な“お宝”。中には何に使われていたか、さっぱり分からない“謎の”骨董もあります。
アンティーク家具などを扱う店で見つけたのは、丸い形の不思議な骨董です。
木製のものや銅製のものも…ひっくり返すと中は空洞。1950年代のものだと言いますが、何に使うものか、皆さん分かりますか?
骨董店 店主:「帽子を作る時の型ですね」
実はこれ、ボーラーハットとよばれる帽子を作るための型。意外な利用法で購入していく人もいました。
骨董店 店主:「飲食店の人がワインクーラーに使おうって買っていきましたよ」
茶碗などを扱う店にあったのは、表面にデザインが施され、分厚い平皿のようなもの。手のひらほどの大きさですが、一体?
骨董店 店主:「瓦ですよ。中国の丸瓦。軒のところに、こう出ている」
瓦の先端部分に飾られる軒丸瓦(のきまるがわら)。皿立てに乗せて、インテリアとして購入する人が多いそうです。
さらに、木製の道具のようなもの。真ん中には、突起と刃が付いていて、片側の端は、取っ手のように見えます。
骨董店 店主:「(Q.何に使われたものかご存じ?)いや、知らないですよ。分からないから面白いんだよ」
店主も分からない“謎の骨董”の正体とは…。他の出店者に見てもらうと…。
骨董店 店主:「分かんないな…こういうものじゃないですかね?違う?全く分からないです。ごめんなさい」
骨董店 店主:「カンナっぽいですね」
果たして、カンナなのでしょうか?
訪ねたのは、創業77年の大工道具などを扱う店。先代店主に見てもらうと重要なヒントが隠れていました。
スズキ金物店 鈴木俊昭さん:「私もこれを初めて見たけどね。昔の古い道具だろうね。木ヤスリみたいな感じもするけど、(木の部分が)減っていないから…カンナとか大工道具という範疇(はんちゅう)には入らないね」
刃の下の部分が削れていないことから、木よりも柔らかいものを削っていたと推測します。すると、意外な手がかりを発見しました。
鈴木さん:「これが、何かの汁の跡かもしれない。もしかしたら調理用具」
木に染みついた白い跡。食材を削った際ついたのではないかと言います。
そこで、古民具などを扱う博物館に聞き込みを開始しました。
すると、宮城県の「東北歴史博物館」で有力な情報がありました。
東北歴史博物館 今井雅之さん:「結論から申し上げますと、大根を切る道具かと思います。『かて飯』というふうに言いまして、“命の糧”をつなぐという糧ですね」
白いご飯がぜいたくだった時代、ダイコンやジャガイモなど廉価な食材を混ぜて量を増やし命の糧とした「かて飯」。
それを作る「かて切り」と呼ばれる調理器具だったのです。この器具は、明治から昭和初期に東北を中心に使われていたといいます。
実際に使っている動画を入手すると、ダイコンを押し当てて持ち手部分を降ろすとダイコンが切られていきます。よく見ると、さいの目状になっています。
その仕組みは、2つのパーツから成り立っていました。
最初は、下についた突起で横に切れ目を入れ、上の突起は縦に…最後は刃でダイコンの表面をカットし、さいの目状にしていました。
確かに「かて切り」の上の部分が今回、骨董市で入手したものと似ているのですが、よく見ると、刃の下の木の幅に違いが…実は。
今井さん:「小さいたくさんある刃(突起)が、ダイコンを縦に切ります。上についている刃が直角に落ちるので、細長い千切りができる、非常に珍しい物」
“謎の骨董”の正体は、「かて切り」の中でも珍しいという千切り用。木の幅が広いのは、切る際にダイコンがズレないようにするためでした。
博物館によると、千切り用の「かて切り」が発見されたのは、宮城県では唯一、栗原市だけだということです。
美術的価値はなくても、マニアにとっては垂涎(すいぜん)の“お宝”。その時代を生き抜いた証しでもある骨董に人々は魅せられていました。

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