カラ出張755回、裏金で妻に高級ブランド品…大企業の詐欺「新幹線の不正換金2400万円」戦慄ルポ

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「全国の店舗改装の打ち合わせを装い、7年間で2400万円ほどの新幹線チケットを現金に換えていました」
男は社内調査で、このような内容の発言をしていたという。
10月5日、警視庁麹町署は詐欺などの疑いで千葉県千葉市に住む職業不詳の武田信晴容疑者(57)を逮捕した。武田容疑者は大手スーパー「イトーヨーカ堂」の元社員。’15年4月からの約7年間で755回にのぼるカラ出張を申請し、2400万円相当の新幹線チケットなどをだまし取っていたという。
「逮捕容疑で武田容疑者は、同社の販売促進部マネージャーだった’22年1月ごろ、会社の申請システムに大阪や青森へ出張するとウソの情報を入力し新幹線の特急券や乗車券24枚(約19万円相当)を入手していたとされます。武田容疑者は、だまし取ったチケットを不正に換金していたようです。
あまりの出張の多さを不審に思った同社は内部調査を実施。『生活費や趣味に使っていた』と不正換金を認めた武田容疑者を’22年5月に懲戒解雇。警視庁麹町署に相談していました。警察の調べに対し武田容疑者は『間違いありません』と犯行を認めています」(全国紙社会部記者)
社員が詐欺事件を起こした大企業は、イトーヨーカ堂だけではない。世間を騒がせた最近のトラブルを以下に紹介したい。
‘22年2月、テレビ朝日の40代の部長(当時、以下年齢や役職は同)Aが大阪府警に逮捕される。中小企業18社がITツールを導入したと国へ偽って申請し、900万円ほどの補助金をだまし取った容疑だ。中小企業のIT化を推進する国の制度を悪用した事件だった。
「この補助金制度は、ITシステムの導入にかかった経費の半分が補助されるというものです。しかしAは経費を支払った形跡がなく、そもそもシステムの導入があったのかも怪しい。虚偽の申請をした中小企業18社は、ほとんどがAが代表を務めていました。不正受給の総額は2億円近くになると思われます」(府警担当記者)
今年6月に、警視庁が組織犯罪処罰法違反(犯罪収益収受)の疑いで逮捕したのは40代の女性Bだ。Bの夫は楽天モバイルの元部長。妻とともに同法違反(犯罪収益隠匿)で逮捕されている。
「Bの夫は、’21年7月ごろから同社に対し携帯電話の基地局建設の業務委託費を水増しして請求。100億円近くをだまし取ったようです。詐欺には複数の下請け会社が関わっていたとされます。その内の1社でBは代表取締役を務めていました。受け取っていた役員報酬は月に約2700万円にのぼるそうです」(前出・社会部記者)
夫妻は莫大な裏金で、豪華な生活を送っていたようだ。2人が暮らしていた都内のタワーマンション最上階からは、1000万円は下らないというルイ・ヴィトンの化粧台など多数の超高級ブランド品が押収された。
「夫妻のSNSのやり取りからも贅沢な暮らしぶりが伝わってきます。〈シャネルを240万で買った〉〈(高級車フェラーリの他に)レクサス、オーダーしました〉などとつづられていたんです」(同前)
大企業は組織が大きいだけに、詐欺トラブルの被害額も莫大になる。裏金で虚飾にまみれた優雅な生活を送っているうちに、容疑者たちは罪悪感が徐々に薄れていったのだろう。事件が発覚するまで、歯止めをかけることができなくなっていたようだ。

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