【宮原 健太】杉田水脈議員、「人権侵犯」問題の直後なのに…自民党が検討している「ありえない人事」

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人権侵犯を認定された国会議員が自民党の役職に復帰してしまうのか。
杉田水脈衆院議員が外交部会の部会長代理に内定したとする、まさかの人事案が永田町で出回っている。
人事案は、自民党で政策に関して部門に分かれて議論する「政務調査会」の各部会の役職を表にしたもの。
内閣改造を受けて、これらの人事も一新されることになるが、「2023/9/26 16:09 現在」「総務会決定まで対外秘」と書かれた案文には、外交部会の部会長代理の欄に「杉田水脈」と記入されている。
〔PHOTO〕Gettyimages
部会長代理とは、その部会をまとめる部会長に次ぐポジションだ。
つまり、自民党内で外交について議論する部署のナンバー2に杉田氏が就く予定ということになる。
杉田氏と言えば、過去に差別的発言を繰り返し、度々問題になってきた。
2016年に国連の会議に出席した際には、アイヌの人々の写真と共に「チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」「同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなる」などとブログやSNSに投稿。
このとき会議に参加していたアイヌの女性が「明らかな侮辱で、人格を否定しておとしめる差別的な内容だ」として、今年3月、札幌法務局に人権救済を求める申し立てをしていた。
これを受けて、札幌法務局は9月7日に「人権侵犯の事実があった」と認定。杉田氏に対して「アイヌ文化を学んで発言に注意するように」と啓発を行ったばかりだ。
その杉田氏が問題の熱も冷めやらぬなか、自民党の政務調査会の役職に復帰するという人事案が出回っているのだから驚きである。
それも人権意識について問われることも多いであろう外交政策を司る外交部会の部会長代理に選ばれる案が出ていることについては、永田町内でも困惑の声が挙がっている。
永田町関係者は「杉田氏はこれまでに外交部会の副部会長を経験しているので、単に経歴だけを見れば順当な人事ではあるが、人権侵犯を認定されたばかりの議員が役職に復帰することについては批判が殺到するのではないか」と首を傾げる。
また、自民党の茂木敏充幹事長は9月26日の記者会見で、杉田氏を次期衆院選で公認するかを問われ「選挙時に適切に判断していきたい」と述べるに留めるなど、自民党内でも扱いが慎重になっているところだ。
こうした中、杉田氏は本当に案文の通り外交部会長代理に就くことになるのか。
しかし、そうなれば人権侵犯を認定された議員を自民党の外交政策の要に起用することとなり、党の人権意識は厳しく問われることになるだろう。
政調人事は29日の総務会までに調整された上で最終決定される見通しだ。

なお、【つづき】「小渕優子が、内閣改造で選対委員長へ…希望した「こども大臣」にはなれない「トホホなワケ」」でも、内閣改造にまつわる情報をお届けしている。

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