ブラックホール自転、証拠とらえた=日中韓の電波望遠鏡で―国立天文台

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国立天文台などの国際研究チームは、日本、中国、韓国の電波望遠鏡などによる観測で、楕円(だえん)銀河M87の中心にある巨大ブラックホールが自転している証拠をとらえたと、27日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
ブラックホールの自転は、アインシュタインの一般相対性理論などから示唆されていたが、観測が難しく明確な証拠は得られていなかった。
M87は地球から約5500万光年離れた銀河。成果は、ブラックホール付近から噴き出す高速のプラズマの流れ「ジェット」の仕組みや、銀河内の星形成過程の解明につながるという。
国立天文台の秦和弘助教、総合研究大学院大(研究当時)の崔玉竹さん、工学院大の紀基樹客員研究員らは2013~22年、日本と韓国、中国の計13台の電波望遠鏡をつなぎ、M87のブラックホール付近から噴き出すジェットを観測。米国の望遠鏡で得られた00年以降のデータも加え、計23年分のジェット画像を分析した。
その結果、ジェットの噴き出す向き(角度)が、11年の周期で変化していることが判明。スーパーコンピューターによるシミュレーションとの比較で、この周期的変化はブラックホールが自転していないと起きないことが分かった。
紀さんは「ジェットは銀河内のガスと衝突し、星の形成に影響する。銀河とブラックホールが互いに影響しながら成長する中で、鍵となるのがブラックホールの自転。その強力な証拠をつかんだ」と話した。
M87を巡っては、国立天文台も参加する国際研究チームが19年、中心部のブラックホールの直接撮影に初めて成功したと発表していた。

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