日本人に最も多い大腸がん、悪化させる体内物質を特定…京都大などの研究チーム

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日本人のがんで最も多い大腸がんを悪化させている体内物質を動物実験で突き止めたと、京都大などの研究チームが発表した。
免疫細胞が作り出すたんぱく質の一種で、この物質の働きを抑える薬を開発すれば、大腸がんの新たな治療法になることが期待される。論文が国際学術誌に掲載された。
大腸がんは国内では年間約15万人が新たに発症している。内視鏡検査などで早期発見して取り除けば高い確率で治癒するが、大腸がんの約2割は転移しやすいタイプとされ、治療の妨げになっている。
京大の妹尾浩教授(消化器内科)らは、大腸がんを取り巻く組織に「トロンボスポンジン1(THBS1)」というたんぱく質が多いことに着目。遺伝子操作でTHBS1をなくしたマウスに大腸がんの細胞を移植すると、あまり転移せず、悪化が抑えられた。
THBS1を作るのは骨髄でできる免疫細胞の一種で、大腸がんを取り巻く組織から出るケモカインという物質に反応して集まってくるが、がんを攻撃せず、逆に保護する動きをすることも判明。ケモカインの働きを抑える化合物を大腸がんのマウスに投与するとTHBS1が減り、がんの転移は大幅に抑えられた。
西川博嘉・名古屋大教授(免疫学)の話「がんの周囲に集まってくる免疫細胞と、がんの性質との関係の一端が明らかになり、新たな治療法につながる可能性がある」

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