処理水のトリチウム量は「中国原発の1割」、中国の水産物輸入停止のWTO通知に政府反論書

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東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出を巡り、中国政府が日本産水産物の輸入を全面停止した措置を世界貿易機関(WTO)に通知したことを受け、日本政府は4日、「全く容認できない」として即時撤廃を求める反論書をWTOに提出した。
外務省が4日深夜に発表した。反論書では、中国の禁輸措置に対して、「遺憾の意」を表明。政府として、海洋放出のモニタリング(監視)を実施し、結果を公表するなど「安全性を確保するために万全を期すことに完全にコミット(関与)している」と説明した。
そのうえで、国際原子力機関(IAEA)の継続的な関与のもとで、「モニタリングを重層的に実施している」とも強調した。
反論書では、海水の放射性物質トリチウム(三重水素)濃度は、放出基準(1リットル当たり1500ベクレル未満)より大幅に低く、「現在までに問題が発生していない」と明記した。
さらに、処理水に含まれるトリチウム量よりも、「中国の原子炉を含む世界中の原子力施設の方が、年間でより多くのトリチウムを排出している」と記載。福島第一原発から放出される年間のトリチウム量は、中国の秦山原発から放出されるトリチウム量の約10分の1だと例示して強調した。
WTOの衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)では、「全てのSPS措置は科学的原則に基づいてとることが求められている」とし、中国の措置は「科学的原則に基づくものとはみなせない」と強く批判した。
政府は4日、日中などが参加する地域包括的経済連携(RCEP)協定に基づく討議の要請も行った。同協定では、討議を「実行可能な限り速やかに行う」と規定している。
中国政府は8月31日、WTOに措置を通知し、日本政府は反論の声明を公表していた。

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