列島に大きな爪痕… 台風14号迫るなか飛び出した「在宅避難」という困惑ワード

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

過去最強と警戒された台風14号が18日から日本列島を縦断し、各地に大きな被害をもたらした。警戒レベル5の避難情報「緊急安全確保」や避難指示の対象は各県に及んだ。各自治体から事前に暴風や豪雨対策の呼びかけに当たって、“困惑ワード”が飛び出したことに専門家が改善を訴えた。
「防災用語でマスコミや専門家などが当たり前に『在宅避難』と言っておりますが、避難はその場所から逃避することを意味していて、分かりづらい」と指摘するのは元東京消防庁消防官で、一般社団法人「日本民間防衛連合会」の金子富夫代表理事だ。
在宅避難とは災害発生時に自宅で身の安全が確保される場合は、あえて避難所に避難せずに自宅にとどまることだ。「普通に『自宅待機』もしくは『在宅待機』が正しい。同じようなことに『垂直避難』『水平避難』もわかりにくい用語です」(金子氏)
垂直避難は水害時に浸水の恐れがある場合、避難所までではなく、自宅や近くの建物の高層階などに避難する行動。水平避難は、今いる場所から可能な限り、遠くの安全な場所へ避難することだ。同様な言葉で、立ち退き避難もあり、緊急時に急に避難行動をさまざまに呼びかけられても水平やら垂直やらで、意味が分からず、困惑する人が多く出てくるところだ。
金子氏は「垂直避難は上階避難とか2階避難、水平避難は歩行および車両移動避難など具体的な避難先を明確にすべき。すべて行政機関が自分たちの体裁を優先した用語で、基本的に間違えている。非常時だからこそ一目で、一瞬で分かりやすい日常用語を使うべきなんです」と力説する。
防災関連用語では他にも分かりにくい表現や横文字が多数存在している。注意を呼び掛ける前に整理が必要のようだ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。