岸田首相襲撃、明治期制定の「爆発物取締罰則」適用が浮上…「殺傷力確認できれば認定可能」

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岸田首相の選挙演説会場に爆発物が投げ込まれた事件で、捜査当局は、木村隆二容疑者(24)の行為について、殺人未遂容疑や爆発物取締罰則違反容疑での刑事責任追及を視野に捜査している。
和歌山地検が威力業務妨害容疑を処分保留としたのは、爆発物の構造や威力などを特定した上で、投げ込んだ行為に関する適用可能な罪名を判断するためとみられる。
威力業務妨害罪の法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金なのに対し、殺人未遂罪は殺人罪と同様で、死刑または無期懲役もしくは5年以上の懲役と規定される。
殺人未遂罪を適用するには、殺意や行為の危険性を立証する必要がある。だが、木村容疑者が黙秘していることに加え、筒が投げ込まれてから爆発するまで51秒と時間があり、ある捜査関係者は「立証のハードルは高い」と語る。
辻本典央・近畿大教授(刑事訴訟法)は「演説を妨害したかっただけという見方もでき、爆発物を投げ入れた行為が殺傷目的と証明することは難しいのではないか」とみる。
これらを踏まえ、浮上しているのが爆発物取締罰則だ。明治期に制定された法令で、治安の妨害や人の身体・財産を害する目的で爆発物を使用すると、死刑または無期もしくは7年以上の懲役・禁錮が科される。
別の捜査関係者は「まずは危険な爆発物を作ったという証拠を得たい」と話す。園田寿・甲南大名誉教授(刑法)は同罰則について「爆発物の殺傷力さえ確認できれば、自作した爆発物を投げ込んだ行為をもって、不特定多数の人を傷付ける意図があったと認定できるのではないか」としている。

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