見せパン、見せブラ、ヘソ出し…露出の多いファッション “わいせつ”との法的な線引きはどこ?

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気温が上がるにつれ、街中でキャミソールやショートパンツといった“肌見せ”ファッションを楽しむ女性を多く見掛ける機会が増えます。男性でも女性でも「露出度が高過ぎる服装」の人を見ると目のやり場に困ることがあります。近年では、ミニスカートのインナーとして着用する「見せパン」や、シースルートップスの下に着る「見せブラ」、「ヘソ出し」トップスなどがファッションとして注目を集める一方、過去には駅前で下着を露出した女性が逮捕されたという事例もあります。“ファッション”と“わいせつ”の法的な線引きについて、芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。
Q.露出度の高い格好は、法的にどこまで許されるのでしょうか。
牧野さん「露出が多い服装がどの程度で犯罪になるか、一概に明確な基準はありません。刑法の『公然わいせつ罪』あるいは、『軽犯罪法』の基準に従って判断されることになります。
刑法の『公然わいせつ罪』(1カ月以上6カ月以下の懲役、もしくは1万円以上30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料)は、『公然と徒(いたずら)に性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反すること』が対象です。公然わいせつ罪の典型例としては、一般道路など公共の空間で陰部を露出したりすることなどで、どんな服装であっても、裸同然と見なされない限り、公然わいせつ罪に該当することはまれでしょう。
ただ、『軽犯罪法』の基準は曖昧で規制の範囲が広く、胸の谷間や臀部(でんぶ)、太ももを露出している場合、『軽犯罪法』の『公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方で尻、ももその他体の一部をみだりに露出した者』に該当する可能性があります。「その他身体の一部」には、乳房、へそ、脇腹なども含まれます。この場合には、拘留(1日以上30日未満)または科料(1000円以上1万円未満)に処せられることがあるので要注意です。
Q.水着で街を歩くのは大丈夫なのでしょうか。
牧野さん「『公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方で』行えば軽犯罪法違反となる可能性があります。
例えば、丸の内のオフィス街で水着で歩いていれば『公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方で』軽犯罪法違反となる可能性がありますが、反対に、例えばビーチ沿いの遊歩道で海水浴目的の人が水着で公道を歩く場合には、『公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方』とされずに、許容されることになるでしょう」
Q.過激なコスプレなど、露出度の高い「衣装」はどうなのでしょうか。
牧野さん「街中など一般公衆の目に触れる場所での露出度の高い『衣装』は、軽犯罪法違反となる可能性があります。
ホットパンツやミニスカートで太ももを露出したり、へそ出しのファッションを着て歩くことは、軽犯罪法違反に該当すると思われますが、「公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方で、みだりに」の条件が必要ですので、原宿などのファッションタウンで最新デザインを主張するために着用することは一概に軽犯罪法違反に該当するとは言えないでしょう。

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