「毎食ゆで卵3個」の翔平メシはやりすぎ? 健康のためとによかれと思っていた食事法の落とし穴

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日本を沸かせたWBCで大谷翔平選手(28才)にハマった都内在住の主婦・C子さん(47才)は早速、「翔平メシ」を試してみた。
【写真】摂りすぎに注意したほうがいい食べ物の写真「大谷選手がゆで卵を毎食3つ食べていると聞いたので、3月末から真似し始めました。たんぱく質がいっぱい摂れて、ダイエットにもなると思っていたのに、体重にはまったく変化なし。しかも、以前よりも便秘が悪化して、お肌も荒れてしまったような気がします」 たしかに、卵はたんぱく質が豊富で健康にいいが、管理栄養士の望月理恵子さんは「1日3個は食べすぎ」だと指摘する。

「卵には食物繊維とビタミンCが含まれておらず、卵でお腹いっぱいになると食事全体の栄養バランスが偏ってしまう。そもそも体格や運動量によって、必要なたんぱく質やエネルギーの摂取量は変わります。大谷選手のように運動量や消費カロリーの多い人は毎食3個食べても問題ありませんが、一般の人は1日1~2個が適量です」 健康のためよかれと思っていた食事法が、逆に不健康を招いてしまう事例はほかにもたくさんある。 美容と健康の源は「腸活」にあり──そんなスローガンのもと食物繊維が豊富な野菜を積極的に食べている人は多い。特に近頃は、食事の最初に野菜を食べる「ベジファースト」がもてはやされているが、過信は禁物。「食物繊維の多い野菜を先に食べれば、糖質の吸収を穏やかにして血糖値の上昇を抑制したり、油の吸収を抑制する効果があります。しかし同時に、鉄分や亜鉛、カルシウムなど健康な体を作るのに欠かせない成分の吸収も抑制されてしまいます」(望月さん) そのうえ生野菜のサラダは消化吸収に時間がかかり、胃腸が弱っているときには負担になる。野菜不足を解消したいなら、生野菜サラダよりも加熱した温野菜の方が、かさが減って食べられる量が増えるので効果的だ。 きのこ類も食べ方を間違えると、せっかくの食物繊維が台無しになりかねない。管理栄養士の浜本千恵さんが言う。「きのこには水溶性と不溶性の食物繊維が両方とも含まれていますが、ゆでると水溶性の食物繊維やビタミンが流れ出てしまうので、煮汁ごと食べるか、煮汁を捨てないで利用することがおすすめです。 加えて、不溶性食物繊維は、噛み応えがダイエット効果につながります。また、水を含んで膨らむことで整腸効果が増す。細かくすると、ダイエット効果や整腸効果が薄まるので大きいままでの調理をおすすめします」 きのこ類と並ぶ食物繊維の宝庫である海藻類も、「食べすぎると甲状腺機能低下症になる可能性も」(管理栄養士の安中千絵さん)というから気をつけよう。しかも不溶性食物繊維には腸内の水分を吸収する作用もあるため、摂りすぎるとかえって便秘になりやすいので注意が必要だ。 白米よりも食物繊維やビタミンが豊富でへルシーとされる玄米だが、万人に適しているとはいえない。新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんが言う。「玄米は消化に時間がかかるため、胃腸が弱い人には不向きです」 腸活によいとされる納豆にも注意が必要だ。「健康にいいので積極的に食卓にのせてほしいですが、食べすぎはダメ。1日1~2パックまでに抑えましょう」(岡田さん) 納豆にはプリン体が多いため、特に痛風のリスクがある人は要注意だ。さらに食べる時間や調理法によっても効果は大きく増減する。「納豆を食べるなら朝食より夕飯がおすすめ。血流を促す効果のあるナットウキナーゼは食後8時間ほど働きをキープするので、夜食べることで朝方の血栓予防に役立ちます」(望月さん) 安中さんが続ける。「ナットウキナーゼは加熱に弱いので、納豆汁やフライにすると健康効果が減ってしまいます」 キムチもサッと加熱する程度ならいいが、炒めると乳酸菌が死んで効果が激減する。納豆と腸活の主役の座を争うヨーグルトは脂肪が多いため、食べすぎるとカロリーオーバーになり、中性脂肪が増えて食べるほどに生活習慣病のリスクが上がる。※女性セブン2023年5月11・18日号
「大谷選手がゆで卵を毎食3つ食べていると聞いたので、3月末から真似し始めました。たんぱく質がいっぱい摂れて、ダイエットにもなると思っていたのに、体重にはまったく変化なし。しかも、以前よりも便秘が悪化して、お肌も荒れてしまったような気がします」
たしかに、卵はたんぱく質が豊富で健康にいいが、管理栄養士の望月理恵子さんは「1日3個は食べすぎ」だと指摘する。
「卵には食物繊維とビタミンCが含まれておらず、卵でお腹いっぱいになると食事全体の栄養バランスが偏ってしまう。そもそも体格や運動量によって、必要なたんぱく質やエネルギーの摂取量は変わります。大谷選手のように運動量や消費カロリーの多い人は毎食3個食べても問題ありませんが、一般の人は1日1~2個が適量です」
健康のためよかれと思っていた食事法が、逆に不健康を招いてしまう事例はほかにもたくさんある。
美容と健康の源は「腸活」にあり──そんなスローガンのもと食物繊維が豊富な野菜を積極的に食べている人は多い。特に近頃は、食事の最初に野菜を食べる「ベジファースト」がもてはやされているが、過信は禁物。
「食物繊維の多い野菜を先に食べれば、糖質の吸収を穏やかにして血糖値の上昇を抑制したり、油の吸収を抑制する効果があります。しかし同時に、鉄分や亜鉛、カルシウムなど健康な体を作るのに欠かせない成分の吸収も抑制されてしまいます」(望月さん)
そのうえ生野菜のサラダは消化吸収に時間がかかり、胃腸が弱っているときには負担になる。野菜不足を解消したいなら、生野菜サラダよりも加熱した温野菜の方が、かさが減って食べられる量が増えるので効果的だ。
きのこ類も食べ方を間違えると、せっかくの食物繊維が台無しになりかねない。管理栄養士の浜本千恵さんが言う。
「きのこには水溶性と不溶性の食物繊維が両方とも含まれていますが、ゆでると水溶性の食物繊維やビタミンが流れ出てしまうので、煮汁ごと食べるか、煮汁を捨てないで利用することがおすすめです。
加えて、不溶性食物繊維は、噛み応えがダイエット効果につながります。また、水を含んで膨らむことで整腸効果が増す。細かくすると、ダイエット効果や整腸効果が薄まるので大きいままでの調理をおすすめします」
きのこ類と並ぶ食物繊維の宝庫である海藻類も、「食べすぎると甲状腺機能低下症になる可能性も」(管理栄養士の安中千絵さん)というから気をつけよう。しかも不溶性食物繊維には腸内の水分を吸収する作用もあるため、摂りすぎるとかえって便秘になりやすいので注意が必要だ。
白米よりも食物繊維やビタミンが豊富でへルシーとされる玄米だが、万人に適しているとはいえない。新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんが言う。
「玄米は消化に時間がかかるため、胃腸が弱い人には不向きです」
腸活によいとされる納豆にも注意が必要だ。
「健康にいいので積極的に食卓にのせてほしいですが、食べすぎはダメ。1日1~2パックまでに抑えましょう」(岡田さん)
納豆にはプリン体が多いため、特に痛風のリスクがある人は要注意だ。さらに食べる時間や調理法によっても効果は大きく増減する。
「納豆を食べるなら朝食より夕飯がおすすめ。血流を促す効果のあるナットウキナーゼは食後8時間ほど働きをキープするので、夜食べることで朝方の血栓予防に役立ちます」(望月さん)
安中さんが続ける。
「ナットウキナーゼは加熱に弱いので、納豆汁やフライにすると健康効果が減ってしまいます」
キムチもサッと加熱する程度ならいいが、炒めると乳酸菌が死んで効果が激減する。納豆と腸活の主役の座を争うヨーグルトは脂肪が多いため、食べすぎるとカロリーオーバーになり、中性脂肪が増えて食べるほどに生活習慣病のリスクが上がる。
※女性セブン2023年5月11・18日号

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