徴用工訴訟 与野党が解決策評価 「ゴールポスト」動く懸念も

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

いわゆる徴用工訴訟問題を巡り韓国政府が6日に解決策を発表したことに対し、与野党からは評価する意見が相次いだ。
ただ、韓国は慰安婦問題などで約束をほごにしてきただけに、今後も「ゴールポスト」が動かされるとの懸念は強い。日韓間に懸案も残る中で韓国に譲歩すれば、岸田文雄首相に対する不満も高まりそうだ。
自民党の茂木敏充幹事長は6日の記者会見で「日韓関係を健全な関係に戻すためのものとして評価し、今回の措置の確実な実施を期待したい」と評価した。公明党の高木陽介政調会長は国会内で記者団に「日韓関係や、米国との連携を密にするうえでプラスになる」と述べた。自民参院中堅は「日本の完勝だ。何も譲っていない」と強調した。
自民の萩生田光一政調会長は国会内で記者団に「尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が国内問題として解決したことは良かった」と評価した一方で、2015年の慰安婦合意について「完全かつ不可逆的(に解決)と決めたが、残念ながら実行できなかった」と指摘。「今度の判断で、日韓関係が信頼を取り戻し、友好国として前進していけるよう期待している」とくぎを刺した。参院幹部は「一歩進んだが、また二歩下がるかもしれない。期待していない」と語った。
反対意見もある。自民の議員グループ「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」代表の青山繁晴参院議員は産経新聞の取材に、韓国側の解決策を日本政府が受け入れれば「韓国の主張が正しいといった印象を世界に広めることになる」と指摘した。
青山氏は慰安婦問題や18年の韓国海軍による自衛隊機への火器管制レーダー照射に触れて「韓国側に裏切られたままだ。北朝鮮やロシア、中国に対し、日本は御しやすい相手だという情報を与えることになる」と強調した。
韓国向け輸出規制強化の解除に向けた協議入りにも異論がある。規制強化について政府は徴用工問題が原因ではなく安全保障の観点からとしているためだ。自民若手は「解除はあり得ない。諸問題が未解決なまま、甘い対応をすべきではない」との認識を示した。
一方、立憲民主党の泉健太代表は国会内で記者団に「韓国側の努力が垣間見える。日本側も原理原則を守った。韓国との関係は大切にしなければならない」と述べた。共産党の小池晃書記局長は会見で「元徴用工は謝罪と賠償を受ける権利がある。日本政府と該当企業は、被害者の名誉と尊厳を回復して公正な解決を図るために努力を尽くすべきだ」と語った。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。