愛媛沖の貨物船衝突、航路変更中に衝突か…現場は潮流によって航路が変わる難所

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愛媛県今治市沖で貨物船同士が衝突した事故で、衝突現場は2隻の船が航行方法を切り替える必要がある海域だったことが、今治海上保安部への取材などでわかった。
現場は日本で唯一、潮流によって航路が変わる難所として知られ、両船が航路を変更中に衝突した可能性がある。同保安部は両船の関係者から事情を聞くなどし、業務上過失往来危険容疑で調べている。
衝突したのは、三重県鳥羽市の貨物船「せいりゅう」(716総トン)と、今治市の貨物船「幸栄丸」(499総トン)。海上は右側航行が原則だが、現場の来島(くるしま)海峡は、時間帯によって潮流が変わるため、潮流により航路を変えるルールがある。海峡内の潮流が北向きの「北流」では通常の右側航行だが、南向きの「南流」の場合、左側航行が義務付けられている。
事故当時の海峡内は南流。船の位置や針路情報などを公開しているサイト「マリントラフィック」の記録などによると、海峡の西側出口で右側航行に戻ろうとする幸栄丸と、東進して海峡に入り左側航行に切り替えようとしたせいりゅうが衝突したとみられる。
衝突でせいりゅうは沈没。乗組員5人のうち、船長の北井宗祐さん(63)(三重県志摩市)と1等航海士の渡辺侑樹さん(24)(福岡県福津市)が行方不明となっている。同保安部は4日も2人の捜索を続け、午前7時頃には沈没場所の南西約7キロでせいりゅうのものとみられる救命いかだを発見。夜には海上保安庁の潜水士が水深57メートルの海底でせいりゅうの船体を確認した。

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