女子ボクシング元世界王者が痴漢を「KO」 大阪府警が感謝状

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痴漢を一喝したのは、女子ボクシングの元世界王者だった。
バスの車内で痴漢行為を繰り返していた男に声を掛けて通報し、被害の拡大を防いだとして、大阪府警曽根崎署は24日、大阪市大正区の元プロボクサーでアパレルショップ経営、出花久美子さん(38)に感謝状を贈呈した。
出花さんは現役時代、「池原シーサー久美子」というリングネームで活躍。第5代WBO女子世界ミニフライ級王座を獲得すると4度防衛し、平成28年に引退を表明した。
曽根崎署などによると、昨年12月21日、出花さんは大阪市内を走行するバスの最後部座席に友人と座っていたところ、同じ列に座る男の動きが目に留まった。「ボクシングの経験から人の動きを観察する癖があり、おかしいと感じた」。男は前の座席の女性の髪の毛を触ったり、不自然に女性の座席に腕をもたれかけたりしていたという。
その後、同じ席に座った別の女性にも同様の行為を続けた。出花さんは証拠が必要になると考えてスマートフォンで動画を撮影するとともに、女性に声を掛けて座席を移動させ、身の安全を確保した。
終点のJR大阪駅でバスを降りると出花さんは男を呼び止め、「おっちゃん、触ったらあかんやろ」と一喝。男は「証拠はあるのか。見せてみろ」と開き直ったが、落ち着いて証拠の動画があることを伝えて110番した。
通報を受けて駆け付けた曽根崎署員が男を任意同行。男は70代で、同署は任意で捜査を続けている。
中網健治署長から感謝状を受け取った出花さんは「私も高校生のときに痴漢の被害にあったことがあるが、そのときは怖くて声も出せなかった」と明かし、「声をあげたり防犯ブザーを鳴らすのも勇気がいること。鍛えていたこともあり、今回は勇気を出すことができた。痴漢行為はやめてほしい」と訴えた。中網署長は「積極果敢に府民の安心安全に貢献してくれた」と感謝した。
その後、大阪市北区の地下街で行われた同署の防犯活動にも加わり、ウエットティッシュと女性のための防犯冊子を配布した。(藤木祥平)

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