“露天風呂”盗撮団13人目の逮捕 知人女性を狙う「プロジェクト」とは 「撮影罪」新設で取り締まり強化は

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露天風呂を狙った組織的な盗撮事件で、きのう、新たに国家公務員の31歳の男が逮捕された。一連の逮捕者は、これで13人目になる。
逮捕されたのは公安調査庁の職員・津田奨太容疑者(31)。3年前、兵庫県内の温泉施設に、女性を撮影する目的で侵入した疑いが持たれている。
静岡県警によると、津田容疑者は、仲間の男が誘い出して施設に来た女性3人に、休憩スペースで声をかけ、服を着た姿や会話をする様子を、ひそかに撮影したとみられている。女性3人が、露天風呂に入る姿は、盗撮グループのリーダーで逮捕・起訴されている男が、およそ200メートル離れた山の中から撮影していた。
盗撮グループは、知人女性を誘い出し、盗撮する行為を「プロジェクト」と称し、「着衣のある姿」と「着衣のない姿」を見比べることを狙っていたという。
静岡県警の調べに対して津田容疑者は、施設への侵入について「間違いありません」と容疑を認めているという。露天風呂を狙った盗撮事件の一連の逮捕者は、これで13人となった。
公安調査庁は、職員の逮捕を受け「まことに遺憾であり、容疑が事実であれば、厳正に対処します」とコメントしている。
その公安庁を所管する法務省では、現在、盗撮そのものを、”刑法”で取り締まるための議論が進められている。そもそも、刑法には、盗撮行為を取り締まる「盗撮罪」などの規定はない。現在、電車内で女性のスカートの中を盗撮するなどの行為は、主に、各都道府県の迷惑防止条例で禁じられている。
しかし、自治体によって、盗撮行為の定義がバラバラで、取り締まりや対策が不十分だとの指摘が相次いでいた。また、捜査関係者からは、「刑法ではなく、条例違反では、犯罪行為と認識されにくい」との声も聞かれた。
一方で、自治体の条例では取り締まることが難しい”場所”も存在する。それが航空機の中だ。機内で、客室乗務員が盗撮被害に遭うケースは多いという。
ところが、迷惑防止条例違反で立件するには、航空機がどこの自治体の上空を飛んでいる際に、盗撮が行われたのかを特定しなくてはならず、機内での盗撮は事件化が困難とされてきたのだ。
そんな中、スマホの普及により盗撮事件は急激に増えていて、対策の強化が求められていた。
現在、法制審議会では、刑法に「撮影罪」を新設し、正当な理由なく、ひそかに性的部位などを撮影する行為を禁止するべく議論が進められている。
今回、津田容疑者の逮捕容疑は、正当な理由なく温泉施設に立ち入った「建造物侵入」だった。盗撮行為そのものを、正当に処罰するため、早急に、「撮影罪」が導入されることが望まれる。

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