働くシニア世代の本音「生涯現役がいい」「年金だけでは足りない」 ドンキの早朝シフトで活躍する72歳、コンピューターで設計する80歳も

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高齢化の進む日本。年金だけでは生活が苦しいという人も多い中、シニアが働くのは珍しくない時代。総務省「国勢調査」より計算すると、2020年の70歳就業率は男性で45.7%、女性で29.4%となっている。多くのシニア世代が「年金だけじゃ足りない」街で“働く理由”を聞くと…。保育士(67):やっぱり仕事しないと(金銭面で)大変です。動けるんだったら働きたい。訪問ヘルパー(73):働ける限り働きたいなと思って。体が許す限りね。

内職(77):ネーム(タグ)付けの内職。Tシャツとかトレーナーとか。自宅で仕事をしているという77歳の女性は、持ち家のマンション暮らし。管理費なども必要で月に約6万円の年金だけでは足りないという。内職(77):ほんのちょっぴりの年金では、毎月のそういうの(管理費など)を払うのに、やっぱり何か(仕事を)していたいと思うよね。毎日どうしよう、どうしようと思いながら暮らしてます。こんなに長生きするつもりじゃなかった(苦笑)交通費誘導をする警備の仕事に就いている75歳の男性はこう話す。警備(交通誘導)(75):きついですね。結局、ずっと10時間以上立ちっぱなしなので…。年金じゃ生活できないので、足りない分を働くしかない。取材班:何歳まで働きたい?警備(交通誘導)(75):一応、80歳ぐらいまで頑張ろうかなと思って。介護の仕事をしているという74歳の女性は。介護職(74):長時間が多いから、泊まり込みとか10時間(勤務)とか大変だけども、しょうがないね。仕事は週5日程度で泊まりの日もある。女性は一戸建ての賃貸で一人暮らしだという。介護職(74):(年金は)月5万円ぐらいかな。それでは家賃も払えないし、一人(暮らし)で子どもたちも遠くにいるしね。やっぱりある程度頑張らないと。年金を月に約8万円もらい、弁当工場で働く65歳の男性にはある後悔が…。弁当工場勤務(65):とりあえずは死ぬまで仕事しなきゃだめかなと。でも若い頃、遊びすぎて貯金しなかった自分も悪いです。今思うと親の言うこと聞いて、勉強いっぱいして公務員になっておけばよかったかなって思いますね。早朝シフトはシニアスタッフが大活躍シニアはどんな場所で、どんな働き方をしているのか?大手ディスカウントストア、MEGAドン・キホーテ三郷店を訪ねた。ここで働いているのが72歳の高橋和歌子さん。高橋和歌子さん(72):はい、できましたよ!じゃあ、ふたする?寿司と弁当を担当している高橋さんは、72歳ながらきびきびした動きで手際よく仕事をこなしていた。取材班:手早いですね。高橋和歌子さん(72):このぐらいスピードアップしないと、間に合わない。高橋さんの仕事ぶりに、ある同僚は「70代とは思えない。バイタリティーのある方ですね」と話し、また別の同僚は「テキパキ動く方だから、いつも元気だなって思っていた。いてもらわないと困りますね」と感心していた。朝7時半から昼12時半までの5時間勤務で、月に15日働いている高橋さん。取材班:朝7時半は早いのかなと。高橋和歌子さん(72):私は4時ごろ起きますから。年のせいかもう寝てられないから、3時とか4時起きはもうざらに。子育て世代では難しい早朝のシフト。早起きが苦にならないシニアスタッフが大活躍していた。この店舗では230人近いスタッフのうち、70代以上が約40人いる。高橋和歌子さん(72):70歳を過ぎても働けるということはうれしい限りですよね。普通はクビになっちゃいますけどね。そんな高橋さんは、持病で働けない夫と二人暮らし。夫・富正さん(77):本人が働きたいうちは働いて。辞めろとは言わない。いつも感謝してますよ。取材班:何歳まで働きたい?高橋和歌子さん(72):75歳くらいまで、元気だったら。(働くと)経済的にも豊かだし、(生活に)メリハリがあるし、(趣味の)ダンスもできるし、孫にも小遣いあげられるし(笑)東京・足立区には社員の約3割が70歳以上の会社も東京都足立区にある会社では、シニアが欠かせない存在となっている。2年前に入社したばかりの金井伸治さん。年齢は80歳。金井伸治さん(80):前は原子力の施設の設計をしていた。この会社が作っているのは、駅の売店などで見かける横に引く特殊なシャッター。金井さんは、設置する場所に合わせたシャッターをコンピューターで設計する仕事をしている。パソコンのマウスの扱いも迷いなし。80歳ながら現役バリバリの仕事ぶり。金井伸治さん(80):(コンピューターは)できることがたくさんあって奥が深いんですよ。毎日が勉強。金井さんの仕事ぶりに同僚は「蓄積されたものが違いますから、非常に安心できますよ」と舌を巻く。金井さんは大手電力のグループ会社を5年前に退職。その後、再び現場で働くことを決意したのだが…。金井伸治さん(80):高齢になってハローワークに行っても、年齢制限で採用してもらえないんですね。そのとき、たまたまテレビで見たのが90歳でも働く人がいるこの会社だった。2018年3月8日放送の情報番組で「仕事をやってないと一日が長いの」と取材に応えていたその人は、平久守さん(当時90)。2022年2月に95歳で亡くなるまで働いて、最後の出社は亡くなる2日前、まさに“生涯現役”だった。“定年がない会社がある”と知った金井さんはこの会社の面接を受けた。金井伸治さん(80):面接を受けたら、即日、社長が「明日から来てください」ってことで。実は、この会社には他にも多くのシニア社員がいた。2022年5月に入社した新入社員の男性は78歳。33人いる社員のうち70歳以上が10人もいる。なぜシニアが多いのか、社長に聞いた。横引シャッター・市川慎次郎社長:この人がほしいと思って採用したら、たまたま年齢がシニアの人だったっていうだけの話です。もったいないじゃないですか。まだまだ働けるのに、年齢で打ち切られて働けないというのはすごくもったいないなと。年寄りは「きょういく」「きょうよう」が必要では、何歳まで働きたいのか?金井伸治さん(80):社長が許してくれるならいつまでも。目指すはやはり“生涯現役”。他の皆さんもこう話す。72歳(取材時):仕事ってやればやるほど健康になると自分、学びましたんでね。73歳(取材時):年寄りは“きょういく”“きょうよう”が必要だって言いますから。“きょう行くところ”と“きょう用事があること”が必要。シニア世代の多くの人たちは、まだまだ働きたいと望んでいるようだ。(「イット!」 1月5日放送)
高齢化の進む日本。年金だけでは生活が苦しいという人も多い中、シニアが働くのは珍しくない時代。
総務省「国勢調査」より計算すると、2020年の70歳就業率は男性で45.7%、女性で29.4%となっている。
街で“働く理由”を聞くと…。
保育士(67):やっぱり仕事しないと(金銭面で)大変です。動けるんだったら働きたい。
訪問ヘルパー(73):働ける限り働きたいなと思って。体が許す限りね。
内職(77):ネーム(タグ)付けの内職。Tシャツとかトレーナーとか。
自宅で仕事をしているという77歳の女性は、持ち家のマンション暮らし。管理費なども必要で月に約6万円の年金だけでは足りないという。
内職(77):ほんのちょっぴりの年金では、毎月のそういうの(管理費など)を払うのに、やっぱり何か(仕事を)していたいと思うよね。毎日どうしよう、どうしようと思いながら暮らしてます。こんなに長生きするつもりじゃなかった(苦笑)
交通費誘導をする警備の仕事に就いている75歳の男性はこう話す。
警備(交通誘導)(75):きついですね。結局、ずっと10時間以上立ちっぱなしなので…。年金じゃ生活できないので、足りない分を働くしかない。
取材班:何歳まで働きたい?
警備(交通誘導)(75):一応、80歳ぐらいまで頑張ろうかなと思って。
介護の仕事をしているという74歳の女性は。
介護職(74):長時間が多いから、泊まり込みとか10時間(勤務)とか大変だけども、しょうがないね。
仕事は週5日程度で泊まりの日もある。女性は一戸建ての賃貸で一人暮らしだという。
介護職(74):(年金は)月5万円ぐらいかな。それでは家賃も払えないし、一人(暮らし)で子どもたちも遠くにいるしね。やっぱりある程度頑張らないと。
年金を月に約8万円もらい、弁当工場で働く65歳の男性にはある後悔が…。
弁当工場勤務(65):とりあえずは死ぬまで仕事しなきゃだめかなと。でも若い頃、遊びすぎて貯金しなかった自分も悪いです。今思うと親の言うこと聞いて、勉強いっぱいして公務員になっておけばよかったかなって思いますね。
シニアはどんな場所で、どんな働き方をしているのか?
大手ディスカウントストア、MEGAドン・キホーテ三郷店を訪ねた。
ここで働いているのが72歳の高橋和歌子さん。
高橋和歌子さん(72):はい、できましたよ!じゃあ、ふたする?
寿司と弁当を担当している高橋さんは、72歳ながらきびきびした動きで手際よく仕事をこなしていた。
取材班:手早いですね。
高橋和歌子さん(72):このぐらいスピードアップしないと、間に合わない。
高橋さんの仕事ぶりに、ある同僚は「70代とは思えない。バイタリティーのある方ですね」と話し、また別の同僚は「テキパキ動く方だから、いつも元気だなって思っていた。いてもらわないと困りますね」と感心していた。
朝7時半から昼12時半までの5時間勤務で、月に15日働いている高橋さん。
取材班:朝7時半は早いのかなと。
子育て世代では難しい早朝のシフト。早起きが苦にならないシニアスタッフが大活躍していた。
この店舗では230人近いスタッフのうち、70代以上が約40人いる。
高橋和歌子さん(72):70歳を過ぎても働けるということはうれしい限りですよね。普通はクビになっちゃいますけどね。
そんな高橋さんは、持病で働けない夫と二人暮らし。
夫・富正さん(77):本人が働きたいうちは働いて。辞めろとは言わない。いつも感謝してますよ。
取材班:何歳まで働きたい?
高橋和歌子さん(72):75歳くらいまで、元気だったら。(働くと)経済的にも豊かだし、(生活に)メリハリがあるし、(趣味の)ダンスもできるし、孫にも小遣いあげられるし(笑)
東京都足立区にある会社では、シニアが欠かせない存在となっている。
2年前に入社したばかりの金井伸治さん。年齢は80歳。
金井伸治さん(80):前は原子力の施設の設計をしていた。
この会社が作っているのは、駅の売店などで見かける横に引く特殊なシャッター。
金井さんは、設置する場所に合わせたシャッターをコンピューターで設計する仕事をしている。パソコンのマウスの扱いも迷いなし。80歳ながら現役バリバリの仕事ぶり。
金井伸治さん(80):(コンピューターは)できることがたくさんあって奥が深いんですよ。毎日が勉強。
金井さんの仕事ぶりに同僚は「蓄積されたものが違いますから、非常に安心できますよ」と舌を巻く。
金井さんは大手電力のグループ会社を5年前に退職。その後、再び現場で働くことを決意したのだが…。
金井伸治さん(80):高齢になってハローワークに行っても、年齢制限で採用してもらえないんですね。
そのとき、たまたまテレビで見たのが90歳でも働く人がいるこの会社だった。
2018年3月8日放送の情報番組で「仕事をやってないと一日が長いの」と取材に応えていたその人は、平久守さん(当時90)。
2022年2月に95歳で亡くなるまで働いて、最後の出社は亡くなる2日前、まさに“生涯現役”だった。
“定年がない会社がある”と知った金井さんはこの会社の面接を受けた。
金井伸治さん(80):面接を受けたら、即日、社長が「明日から来てください」ってことで。
実は、この会社には他にも多くのシニア社員がいた。
2022年5月に入社した新入社員の男性は78歳。
33人いる社員のうち70歳以上が10人もいる。
なぜシニアが多いのか、社長に聞いた。
横引シャッター・市川慎次郎社長:この人がほしいと思って採用したら、たまたま年齢がシニアの人だったっていうだけの話です。もったいないじゃないですか。まだまだ働けるのに、年齢で打ち切られて働けないというのはすごくもったいないなと。
では、何歳まで働きたいのか?
金井伸治さん(80):社長が許してくれるならいつまでも。
目指すはやはり“生涯現役”。他の皆さんもこう話す。
72歳(取材時):仕事ってやればやるほど健康になると自分、学びましたんでね。
73歳(取材時):年寄りは“きょういく”“きょうよう”が必要だって言いますから。“きょう行くところ”と“きょう用事があること”が必要。
シニア世代の多くの人たちは、まだまだ働きたいと望んでいるようだ。
(「イット!」 1月5日放送)

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