「小林麻耶の衝撃暴露」に「吉野家“生娘シャブ漬け”失言」、ネットを騒がせた2022年「炎上トラブル」を総ざらい

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2022年も終わりを迎えるが、今年もまぁ、世界は珍騒動だらけだった。決して重要ではないものの、「あったあった」と思い返せるようなニュースを振り返る。まずは前編。
【写真】2022年になくなった著名人をしのぶ 松原千明、オリビア・ニュートンジョン、西村賢太、宝田明、古谷一行…【追悼写真特集】スピリチュアル的に まず、しょっぱなに出したいのが【1】小林麻耶である。TBSの看板アナとして、「チューボーですよ!」をはじめとした人気番組に出演し、共演者から絶大なる愛情を受けた彼女だが、フリーになり、TBS系「総力報道!THE NEWS」のメインキャスターになった途端に風向きが悪くなる。場の仕切り力とアナウンス力に疑問符がつき、わずか1年で番組は打ち切りに。

小林麻耶 その後はバラエティタレントとして復活し、さらにはがんを公表した妹・麻央さん(現在の市川團十郎白猿の妻)を献身的に支え、姪と甥を可愛がる様は感動を呼んだ。しかし麻央さんが亡くなり、そして「宇宙ヨガ」を実践する國光吟氏と結婚して以降、スピリチュアル的になっていく。 そこまではまぁ、外野も戸惑う程度だったが、2020年、小林は途端にキャラが変わるのである。暴露系ブロガーの如き状況になり、番組スタッフからいじめられていたことを明かす。2022年に入ると、團十郎白猿を苛烈な言葉で批判し、さらには9000万円を貸したのに返済されないことなどを明かした。そして同様に前夫・船越英一郎について色々と暴露した「先輩」である松居一代にラブコール。「松居一代です。冗談です。松居一代さんに親しみを持っていたので、親しみをこめて冗談を言わせてもらいました」とYouTubeで話した。役所の凡ミス だが、写真週刊誌・FLASHで松居は「ニコニコ笑っているようじゃ、甘すぎますね。私は戦うためにすべてを捨てて、まさに“戦”でしたから」と語るなど、「あなたと私では覚悟が違います」と、“先輩”としての格の違いを見せつけた。 完全に梯子を外されたが、小林は2022年に入ってからツイッターの如き頻度でブログを更新し続け、さらに内容も「神田沙也加さんが降臨した」や小林麻央さんからの手紙を預かっているとし「本日は姉のブログに来て頂きありがとうございます。私の息子と娘は姉の元で育つのが一番です」と書いたりもした。「チューボーですよ!」を見ていた身としては何とも残念な状況だが、2022年前半の芸能界において、小林麻耶は私にとっては最も目立った人物であった。 続いては【2】山口県阿武町で起きた「4630万円誤送金」だが、役所の凡ミスである。コロナ関連の給付金として10万円を463世帯に送ろうとしたところ、1世帯に4630万円送ってしまったのだ。ネットの有名な画像にテレビニュースのテロップで「3.8億人組が3円を奪う」というものがあるが、これに通じる。 4630万円を誤って受け取ったのが「空き家バンク」を利用している無職の移住者で、当初は誤送信されたお金をカジノで全額すったと話し、さらにはイケメンだったことからテレビもネットも大騒ぎ。役所の間抜けさと受け取った男がとんでもないヤツだったことから格好のネタになったが、あのさ、メディアは4630万円よりも、コロナ予備費12兆円のうち、11兆円が使途不明金という方を問題視すべきでは? 防衛費の1兆円増額についても連日ギャーギャー騒いだが、額が違うんだよ、額が。オッサンのスピーチ 続いては【3】吉野家幹部による不謹慎発言連発である。2022年4月、早稲田大学で行われた社会人向けの講座で吉野家常務取締役(当時)の伊東正明氏が吉野家の牛丼販売戦略について「生娘をシャブ漬け戦略」と表現。さらに「田舎から出てきた右も左もわからない若い女の子を牛丼中毒にする」とも述べたのだ。「シャブ」という言葉遣いの反社性に加え、客を薬物中毒者扱いする点、さらには「生娘」というジェンダーの観点、そして「田舎から…」発言は完全にアウトである。 この戦略を丁寧に表現すれば「何度も何度も訪れたくなるような場所を作る」や「様々なおいしいものを知る前に吉野家のおいしさを知っていただき、リピーターになっていただく」ということだろう。当然伊東氏は解任されるが、この件で感じたのは日本のオッサンのスピーチについてだ。 オッサンは「鉄板」とも言える冗談ネタを持っていてそれに対し、愛想笑いで「ドッ!」となることからすっかり気持ちよくなりTPOもわきまえず使ったのでは、ということだ。失言癖のある森喜朗氏などはそうだろう。サービス精神があるのに加え、周りが仕方なく笑ってくれるから「ウケている」と勘違いしてしまうのである。この講義で伊東氏は男性客について「家に居場所のない人が何度も来店する」といった趣旨の発言もし、それに対して笑い声がおきていたとの証言があり、これも問題視された。 吉野家はもう一つやらかしていた。採用説明会の応募者を本人に確認することなく外国人と判断し、出席を拒否した件である。これは5月に明らかになったが、そうなった背景は2021年のこと。就労ビザを取れなかった外国籍の内定者がいたため、そのような運用にしたという。吉野家はこの運用を改めることはない、苦情はない、と説明したが「開き直った」とまた叩かれた。大人っぷり【4】。そして野球界でもインパクト大の騒動が発生。春先に1994年の槙原寛己氏以来の完全試合を達成したロッテの佐々木朗希が、白井一行球審のボールの判定に苦笑い。これに対して「この小僧が、生意気なんだわ、てめぇ!」と思ったのかどうかは分からないが、白井球審は憤怒の表情を浮かべマウンドへ向かう一触即発か! という状況で割って入ったのがキャッチャーの松川虎生。なんと、18歳(当時)のルーキーである! 当時白井球審は44歳、佐々木と松川は合わせて38歳。この時、松川の「大人っぷり」が際立つ結果となった。 白井氏に対しては「名審判」という評価はあるが、「キレやすい」などと言われることもある。そして今回と並んで有名なバトルは、阪神の二軍の試合で阪神の攻撃の際、明らかなボール球をストライクと判定。打者は苦笑い。抗議のためベンチから飛び出した阪神・平田勝男二軍監督から「クソボールやないか! あんな」と激高され、さらに「何やそのふてくされた態度は!」とキレられた。この動画は大人気であり、白井球審の「ストライク!」のド派手なアクションと大声は野球ファンの間では名物となっている。 もう一つのスポーツの話題は、東京マラソンで先導の白バイが道を間違えた件。10km過ぎで先導する白バイが道を間違え、10秒程度のロスが出たことだ。同大会には、2時間1分39秒という当時の世界記録を保持するエリウド・キプチョゲ(ケニア)が出場しており、記録更新が期待されていた。杜撰すぎて キプチョゲは2時間2分40秒で優勝したものの、この凡ミスがなければ、記録更新になったかもしれない。何しろ、10秒のロスとはいえ、精神の動揺はあるし、リズムが崩されたことだろう。ネットでは白バイの先導が果たして必要かどうかの意見も出た。その先導が完璧ならばあった方が選手はやりやすいかもしれないが、時々こうしたおっちょこちょい先導者がいた場合は目も当てられない。 こんな騒動はあったものの、キプッチョゲは9月のベルリンマラソンを2時間1分09秒で優勝し、自身の持つ世界記録を更新した。あぁ~、よかった。東京マラソンが悪者にならないで済んだ。【5】は、【2】の4630万円誤送金事件と同様に、私の大好物である「無能な労働者が馬鹿なことをした」、尼崎市の全市民46万人分の個人情報の入ったUSBメモリーを紛失した件だ。データの管理を東京のビプロジー社に委託。同社はこれを再々委託先に預けた。相当ピンハネをしていたのだろう。神戸新聞の電子版によると、なかなかに杜撰過ぎて「無能」の極みである。〈USBを紛失したのは再々委託先の男性従業員。6月21日、市役所内のサーバーから個人データを無断でUSBにコピーし、ビ社の拠点へ持ち出して作業した。同日夜からビ社社員ら3人と飲酒し、翌22日未明、酔ってUSBの入ったかばんを紛失。紛失判明から約56時間後、警察官がかばんを発見した。〉(神戸新聞NEXT 11月28日付) 見つかってよかったものの、ビプロジー社は再委託を禁止されていたというのにそれを破り、隠蔽工作をしていたという。無能サラリーマンの「怒られたくない!」というセコい気持ちが出まくるこの珍騒動、日本なんてこんなもんである。 同様の凡ミスとしては、横須賀市の市立中学の教諭がいる。新型コロナ感染対策になると考え、2021年6月23日から同9月3日までプールの水を流し続け、市に348万円の損失を与えたのだ。校長・教頭・当該教師でこのカネは半額支払ったという。これは2022年4月に神奈川新聞に報じられた。この教師のコロナへの恐怖感は凄まじく、他の教師が止めても再び栓を開けたほどである。 後編に続きます。中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。デイリー新潮編集部
まず、しょっぱなに出したいのが【1】小林麻耶である。TBSの看板アナとして、「チューボーですよ!」をはじめとした人気番組に出演し、共演者から絶大なる愛情を受けた彼女だが、フリーになり、TBS系「総力報道!THE NEWS」のメインキャスターになった途端に風向きが悪くなる。場の仕切り力とアナウンス力に疑問符がつき、わずか1年で番組は打ち切りに。
その後はバラエティタレントとして復活し、さらにはがんを公表した妹・麻央さん(現在の市川團十郎白猿の妻)を献身的に支え、姪と甥を可愛がる様は感動を呼んだ。しかし麻央さんが亡くなり、そして「宇宙ヨガ」を実践する國光吟氏と結婚して以降、スピリチュアル的になっていく。
そこまではまぁ、外野も戸惑う程度だったが、2020年、小林は途端にキャラが変わるのである。暴露系ブロガーの如き状況になり、番組スタッフからいじめられていたことを明かす。2022年に入ると、團十郎白猿を苛烈な言葉で批判し、さらには9000万円を貸したのに返済されないことなどを明かした。そして同様に前夫・船越英一郎について色々と暴露した「先輩」である松居一代にラブコール。「松居一代です。冗談です。松居一代さんに親しみを持っていたので、親しみをこめて冗談を言わせてもらいました」とYouTubeで話した。
だが、写真週刊誌・FLASHで松居は「ニコニコ笑っているようじゃ、甘すぎますね。私は戦うためにすべてを捨てて、まさに“戦”でしたから」と語るなど、「あなたと私では覚悟が違います」と、“先輩”としての格の違いを見せつけた。
完全に梯子を外されたが、小林は2022年に入ってからツイッターの如き頻度でブログを更新し続け、さらに内容も「神田沙也加さんが降臨した」や小林麻央さんからの手紙を預かっているとし「本日は姉のブログに来て頂きありがとうございます。私の息子と娘は姉の元で育つのが一番です」と書いたりもした。「チューボーですよ!」を見ていた身としては何とも残念な状況だが、2022年前半の芸能界において、小林麻耶は私にとっては最も目立った人物であった。
続いては【2】山口県阿武町で起きた「4630万円誤送金」だが、役所の凡ミスである。コロナ関連の給付金として10万円を463世帯に送ろうとしたところ、1世帯に4630万円送ってしまったのだ。ネットの有名な画像にテレビニュースのテロップで「3.8億人組が3円を奪う」というものがあるが、これに通じる。
4630万円を誤って受け取ったのが「空き家バンク」を利用している無職の移住者で、当初は誤送信されたお金をカジノで全額すったと話し、さらにはイケメンだったことからテレビもネットも大騒ぎ。役所の間抜けさと受け取った男がとんでもないヤツだったことから格好のネタになったが、あのさ、メディアは4630万円よりも、コロナ予備費12兆円のうち、11兆円が使途不明金という方を問題視すべきでは? 防衛費の1兆円増額についても連日ギャーギャー騒いだが、額が違うんだよ、額が。
続いては【3】吉野家幹部による不謹慎発言連発である。2022年4月、早稲田大学で行われた社会人向けの講座で吉野家常務取締役(当時)の伊東正明氏が吉野家の牛丼販売戦略について「生娘をシャブ漬け戦略」と表現。さらに「田舎から出てきた右も左もわからない若い女の子を牛丼中毒にする」とも述べたのだ。「シャブ」という言葉遣いの反社性に加え、客を薬物中毒者扱いする点、さらには「生娘」というジェンダーの観点、そして「田舎から…」発言は完全にアウトである。
この戦略を丁寧に表現すれば「何度も何度も訪れたくなるような場所を作る」や「様々なおいしいものを知る前に吉野家のおいしさを知っていただき、リピーターになっていただく」ということだろう。当然伊東氏は解任されるが、この件で感じたのは日本のオッサンのスピーチについてだ。
オッサンは「鉄板」とも言える冗談ネタを持っていてそれに対し、愛想笑いで「ドッ!」となることからすっかり気持ちよくなりTPOもわきまえず使ったのでは、ということだ。失言癖のある森喜朗氏などはそうだろう。サービス精神があるのに加え、周りが仕方なく笑ってくれるから「ウケている」と勘違いしてしまうのである。この講義で伊東氏は男性客について「家に居場所のない人が何度も来店する」といった趣旨の発言もし、それに対して笑い声がおきていたとの証言があり、これも問題視された。
吉野家はもう一つやらかしていた。採用説明会の応募者を本人に確認することなく外国人と判断し、出席を拒否した件である。これは5月に明らかになったが、そうなった背景は2021年のこと。就労ビザを取れなかった外国籍の内定者がいたため、そのような運用にしたという。吉野家はこの運用を改めることはない、苦情はない、と説明したが「開き直った」とまた叩かれた。
【4】。そして野球界でもインパクト大の騒動が発生。春先に1994年の槙原寛己氏以来の完全試合を達成したロッテの佐々木朗希が、白井一行球審のボールの判定に苦笑い。これに対して「この小僧が、生意気なんだわ、てめぇ!」と思ったのかどうかは分からないが、白井球審は憤怒の表情を浮かべマウンドへ向かう一触即発か! という状況で割って入ったのがキャッチャーの松川虎生。なんと、18歳(当時)のルーキーである! 当時白井球審は44歳、佐々木と松川は合わせて38歳。この時、松川の「大人っぷり」が際立つ結果となった。
白井氏に対しては「名審判」という評価はあるが、「キレやすい」などと言われることもある。そして今回と並んで有名なバトルは、阪神の二軍の試合で阪神の攻撃の際、明らかなボール球をストライクと判定。打者は苦笑い。抗議のためベンチから飛び出した阪神・平田勝男二軍監督から「クソボールやないか! あんな」と激高され、さらに「何やそのふてくされた態度は!」とキレられた。この動画は大人気であり、白井球審の「ストライク!」のド派手なアクションと大声は野球ファンの間では名物となっている。
もう一つのスポーツの話題は、東京マラソンで先導の白バイが道を間違えた件。10km過ぎで先導する白バイが道を間違え、10秒程度のロスが出たことだ。同大会には、2時間1分39秒という当時の世界記録を保持するエリウド・キプチョゲ(ケニア)が出場しており、記録更新が期待されていた。
キプチョゲは2時間2分40秒で優勝したものの、この凡ミスがなければ、記録更新になったかもしれない。何しろ、10秒のロスとはいえ、精神の動揺はあるし、リズムが崩されたことだろう。ネットでは白バイの先導が果たして必要かどうかの意見も出た。その先導が完璧ならばあった方が選手はやりやすいかもしれないが、時々こうしたおっちょこちょい先導者がいた場合は目も当てられない。
こんな騒動はあったものの、キプッチョゲは9月のベルリンマラソンを2時間1分09秒で優勝し、自身の持つ世界記録を更新した。あぁ~、よかった。東京マラソンが悪者にならないで済んだ。
【5】は、【2】の4630万円誤送金事件と同様に、私の大好物である「無能な労働者が馬鹿なことをした」、尼崎市の全市民46万人分の個人情報の入ったUSBメモリーを紛失した件だ。データの管理を東京のビプロジー社に委託。同社はこれを再々委託先に預けた。相当ピンハネをしていたのだろう。神戸新聞の電子版によると、なかなかに杜撰過ぎて「無能」の極みである。
〈USBを紛失したのは再々委託先の男性従業員。6月21日、市役所内のサーバーから個人データを無断でUSBにコピーし、ビ社の拠点へ持ち出して作業した。同日夜からビ社社員ら3人と飲酒し、翌22日未明、酔ってUSBの入ったかばんを紛失。紛失判明から約56時間後、警察官がかばんを発見した。〉(神戸新聞NEXT 11月28日付)
見つかってよかったものの、ビプロジー社は再委託を禁止されていたというのにそれを破り、隠蔽工作をしていたという。無能サラリーマンの「怒られたくない!」というセコい気持ちが出まくるこの珍騒動、日本なんてこんなもんである。
同様の凡ミスとしては、横須賀市の市立中学の教諭がいる。新型コロナ感染対策になると考え、2021年6月23日から同9月3日までプールの水を流し続け、市に348万円の損失を与えたのだ。校長・教頭・当該教師でこのカネは半額支払ったという。これは2022年4月に神奈川新聞に報じられた。この教師のコロナへの恐怖感は凄まじく、他の教師が止めても再び栓を開けたほどである。
後編に続きます。
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。
デイリー新潮編集部

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