9月下旬に行われる自民党総裁選。岸田総理は8月14日、総裁選への出馬を見送ることを表明した。これに先立ち、若手・中堅議員たちが「世代交代」を求める動きを見せていた。総裁選出馬が有力視される“2人の40代議員”小泉進次郎氏と小林鷹之氏を軸に、日本のリーダーを決める総裁選の行方を追う。
9月の総裁選を控え、若手議員たちの動きに注目が集まっている。8月8日、福田達夫元総務会長ら安倍派の若手議員、衆院当選4回以下の議員9人が総裁選に向けた対応を協議。世代交代を印象づけるような総裁選にすべきとの考えで一致した。さらに9日発売の月刊誌「文藝春秋」にも、福田達夫元総務会長、小倉将信前こども政策担当大臣、大野敬太郎元内閣府副大臣の連名で寄稿しており、ここでも世代交代の必要性を訴えた。
若手議員たちによる「世代交代」訴えについて、久江雅彦氏(共同通信特別編集委員)は、以下のように分析した。
中北浩爾氏(中央大学教授/政治学者)は、今回の動きは今後の世代交代をかなり推し進めると指摘し、以下のように語った。
今回、総裁選への出馬が有力視されている、2人の40代議員がいる。まずは、小泉純一郎元総理の次男、小泉進次郎元環境大臣、43歳。1981年生まれで、2009年に衆議院初当選。2019年に環境大臣に就任。人気、知名度ともに高い。
そして、もう1人は、小林鷹之元経済安全保障大臣、49歳だ。東京大学法学部から大蔵省、ハーバード大学の大学院などを経て、2012年、衆院議員に初当選。2021年に経済安全保障担当大臣に任命された。
久江雅彦氏(共同通信特別編集委員)は、この2人について、以下の通り、総裁選出馬はほぼ確実と分析する。
2人を後押しする動きは他にもみられる。ジャーナリストの田原総一朗氏によると、森喜朗元総理が「次は絶対に小泉進次郎氏がいい」と発言し、父親の小泉純一郎元総理も「本人がやるとなったらもう反対しない」とGOサインを出したとされている。一方で小林氏についても、甘利前幹事長が「逸材だ」と評価し、二階派のベテラン議員も「思い切って出ればいい」と後押ししているという。
中北浩爾氏(中央大学教授/政治学者)は、以下のように分析する。
小林氏、小泉氏はともに40代。出馬するとなれば、双方ともに党三役の経験はなく、閣僚経験も小泉氏は環境大臣、小林氏は経済安全保障担当大臣のみで、経験不足を問う声もある。
こうした点について、久江雅彦氏(共同通信特別編集委員)は、以下のように指摘した。
仮に小泉氏や小林氏が総理大臣となった場合、今後、アメリカや中国との外交、あるいは、ウクライナ侵攻などへの対応力も問われる。
杉田弘毅氏(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長)は、日本の総理大臣に最も必要な力は、党内をまとめ、政府を動かしていくことだと指摘。各国首脳との関係構築にいては、個人的な力量よりも国としての政策、方針こそが重要だとし、以下のように語った。
<出演者>
久江雅彦(共同通信特別編集委員、杏林大学客員教授。永田町の情報源を駆使した取材・分析に定評。新著に『証言 小選挙区制は日本をどう変えたか』)
中北浩爾(政治学者。中央大学法学部教授。専門は政治学。自民党の歴史などに精通。著者に『自民党-「一強」の実像』『自公政権とは何なのか』など多数)
杉田弘毅(ジャーナリスト。21年度「日本記者クラブ賞」。明治大学で特任教授。共同通信でワシントン支局長、論説委員長などを歴任)
(「BS朝日 日曜スクープ」2024年8月11日放送分より)