いま、お米の在庫が過去25年間で最低の水準に。各地のスーパーでは欠品が相次ぐなど、お米が足りない状態となっています。この状況、いつまで続くのでしょうか?
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熊崎風斗キャスター:今、各地のスーパーなどでお米が不足している状況になっています。
まず、米の民間在庫の推移(速報値)を見ていきますと、6月は115万トンです。ここまで少ないのは非常に珍しいということなんです。

月に約30万トンずつ減少していきます。これは6月の水準なので、7月、8月はもっと減っていくということなんです。
ホラン千秋キャスター:グラフを見ると、9月には大体増えてくるということですか?
熊崎キャスター:新米の時期になってくると当然、在庫が増えて、その後、減っていくということです。このグラフの傾向自体は例年通りなんですが、この減り方や量になっているというのが、かなり珍しいということでです。
首都圏だけではなく、米どころ・新潟県でもかなり少ない状況になっているようです。
新潟の卸売店では例年、倉庫に大体240トンほどあるそうなんですが、2024年は10トンのみということなんです。こう見ると、かなり多くのところで米不足になってきているんだなということがわかります。
熊崎キャスター:ではなぜ、こんなに米が少なく、特に2024年はその傾向が顕著なのか見ていきます。
日本米穀商連合会によると、様々な理由がある中で、一つ目の理由は「暑さの影響」です。「2023年に収穫し、保管していた米が思ったほど製品にならない」ということがあるんです。どういうことかというと、猛暑の影響で米の皮が厚く、製品にしようとしても削られる部分が多く、歩留まりに影響しているということです。
二つ目の理由は「米の需要がアップしている」ということ。需要が2023年から11万トンほど増えていて、「“コロナ明け”で消費が伸びた可能性がある」と日本米穀商連合会の相川英一専務は話しています。一般家庭もそうなのかもしれませんが、特にホテルや旅館など米を多く消費するところは旅行客などが多く来ますので、その分、需要が伸びているということです。
さらに追い打ちをかけたのが、「巨大地震注意」の発表、それから台風の接近で水などの備蓄品が欠品し、その流れで「米も備えたい」ということで店頭で見つけて購入する人が増え、商品棚が品薄の傾向になり、いま米が少ない状況になっているということなんです。
井上貴博キャスター:「備えておきたい」ということや、報道で品薄状態を知って、いつもより多く購入することもある。コロナ禍で起きたトイレットペーパー不足やマスク不足に少し近い側面もあるのかなと思いますが、米の作り手不足ということではないわけですよね?
オンライン直売所「食べチョク」代表秋元里奈さん:そうですね。農家ではまだ在庫が全然あるそうです。特に夏の時期は少し消費が落ち込みますが、そんな時期に「不安だからたくさん買おう」というとこで一気に需要が伸びて、店頭から消えているように見えますが、全体量としては一定量ちゃんとあって、今後は新米も出てくるので、急ぎすぎないようにというところは意識したいなと思います。
ホランキャスター:さっきのグラフを見ても、9月から増えてくるのであれば少し待てば良いということですよね。毎日お米がないと困ることでもあると思いますが、そんなに焦らない方がいいということですね。
秋元さん:8月に入ってから私達のサービスでも例年よりも4倍くらい注文が増えているので、多分それが実際のスーパーでも起きていて、結果的に在庫がなくなって、「もうお米なくなっちゃった」と焦って、さらにまた買ってしまうという悪循環に少し入っているのかなと思います。
井上キャスター:調整は難しいと思いますが、もう少し在庫があるんだったら、もう少し早めに店舗に下ろすことは出来ないんですか?
秋元さん:契約の仕方があって、「通年でこの量を買います」という契約をしている店舗にまず優先で出さなければならず、都度で買う店舗は優先度が下がって在庫がかなり切れやすくなるので、仕入れの方法などでも影響していると思います。
熊崎キャスター:今、「令和のコメ騒動」なんて言われ方もしていますが、1993年に「平成のコメ騒動」というのもありました。このときとの違いを見ていきます。
「平成のコメ騒動」では米を買い求める大行列ができ、価格も5キロで4000円を超えるものもありました。そして、日本のお米だけでは成り立たなくなるということで、“海外米”で補てんをするというようなこともありました。「平成のコメ騒動」再来の可能性はあるのか相川専務に伺うと、「『平成のコメ騒動』再来は考えにくい。新米が流通するまで1か月程度の辛抱なのでは」と話しています。
比較すると、「平成のコメ騒動」のときは新米が凶作で“1年分の不足”の懸念がありました。しかし、2024年の状況というのは“ストック分”が不足はしていますが、新米が流通していくことによって解消されるのではないかとみられているということなんです。
今後、新米はどうなっていくのか見ていきます。
8月末に千葉県産から店頭に並びはじめ、9月中旬に新潟県産、9月下旬に秋田県産などが順次並んできます。2024年の暑さの影響で新米はどうなのか相川専務に伺うと、「新潟では去年よりも気温や雨の条件が良く、豊作とまではいかないが、平年並みに収穫できるのではないか」ということでした。
井上キャスター:今はSNSなどの情報が多く、出回るスピードも早いので、情報を早めに取りにいくということ。あとは、あまり不安にならないということなんですかね。
秋元さん:焦って動かず、まず一旦冷静になって「今、この場で本当に買うべきなのか」を考えること。あと1か月待てば新米が出てくるので、新米をちゃんと待って買うという判断も重要かなというふうに思います。
ホランキャスター:SNSなどでは「お米がない」などというつぶやきがあったりしますが、「近くのスーパーは全然ある」というようなつぶやきももあったりするので、さっき秋元さんが話していた仕入れのシステム上の問題で、近くを探してみると在庫があるという場合も中にはあるわけですよね。
秋元さん:全然あると思います。新米も暑さに耐えられる品種に変えていたりするので、しっかり出てくると思います。
==========<プロフィール>秋元里奈さんオンライン直売所「食べチョク」代表、33歳、神奈川の農家に生まれる。