東京・国立市にあるマンションが、引渡し目前で突然の解体が決定されました。番組の取材で、積水ハウスの幹部が現地の眺望を確認して、解体に舵を切ったことが分かりました。
反対していた住民らも困惑する、突然のマンション建設中止。
「建築業界では異例」とも言える今回の判断。解体が決まった背景には、いったい何があったのでしょうか。
富士山の眺望が臨めることを売り文句に販売されていた、国立市・富士見通り沿いの10階建てマンション。チラシには「美景の国立、本流の邸域。」と書かれています。
当初は11階建ての計画でしたが、「富士山の眺望が悪くなる」などと近隣住民から反対があったことを受けて、10階建てに変更されました。
しかし、それでも一部の住民の生活には影響が…。
マンション建設時に国立市議を務めていた石塚さんの元には、住民からの相談が相次いだといいます。
その後、住民の反対運動は続きましたが、法令の基準などはクリアし、建設が進められたマンション。来月には完成し、入居者への引き渡しも始まる予定でした。
番組が入手した工事の手続き書面を見ても、建設を手掛ける積水ハウスが先月22日、市に対して工事の完了届を提出したことが確認できます。
しかし、その2週間後に引き渡し直前のマンションが解体されることは、通常あり得ることなのでしょうか。
別のマンションの建設計画に携わったことがある一級建築士・内田直之さんは、次のように話します。
工事の完了届を提出してから廃止届が出されるまで2週間、何が起きたのでしょうか。
番組が独自に積水ハウスを取材すると、決断の背景が見えてきました。
マンションを建設・販売する部署では、GOサインが出ていたという今回の計画。ただ、会社の幹部が景観を確認したところ、一転、方針が変わったということです。
積水ハウスは、近隣で日当たりの問題が起きていることを把握。さらに「富士見通り周辺で、富士山の眺望に大きな影響が出る」と判断したことから、建設中止を決めたのだといいます。
すでに解体するための届けは出していて、工事は数カ月以内に始まる見通しだということです。
(「グッド!モーニング」2024年6月11日放送分より)