北海道旭川市の石狩川に留萌市の女子高校生(17)が突き落とされて溺死した事件で、内田梨瑚容疑者(21)=無職、旭川市=とともに道警に殺人容疑で再逮捕されたA子容疑者(19)=同=の母親が、集英社オンラインの取材に応じた。コンビニエンスストア勤務のシングルマザーは、言葉少なに娘への思いを打ち明けた。
〈画像多数〉トラブルメーカーだったA子の近影とタバコを持ち挑発ポーズをとる内田容疑者。SNSには「可愛すぎて何が悪い」と書きこんでいた
6月13日の午後5時ごろ、コンビニでの仕事を終えて店外に出てきた母親は、茶髪にロングスリーブTシャツとジーパン姿、少しやつれた表情だった。

記者の直撃に「ええ、A子が逮捕されたのは知り合いから聞きました」と時おり声を詰まらせながら話を続けた。
「A子はほとんど家に帰ってこないから、今回の事件についても、知り合いから『A子ちゃん逮捕されたみたいだけど』と聞いただけで『もう何がなんだか……』って気持ちなの。昨日もマスコミに自宅をピンポン押されて本当に迷惑してて。最後にA子と会ったのは、5月の上旬ごろだったと思う。私はふだん夜勤のパートに入ってるから家ではいつも寝てるだけで、その日もふだん通りの会話をしたあとに『それじゃあ仕事行ってくるわ』って言ったら『いってらっしゃーい』みたいな感じで終わったの」
母親が最後に会話を交わしたとき、娘はすでに女子高生を殺害した後だったとみられる。それから何日か経ち、自宅に道警の捜査員が訪れた。「警察の人に『娘さんについて話を聞きたい。ふだんはどんな仕事をされてますか?』と聞かれました。『え、なにがあったんです?』と問いかけても、逮捕されたとかは教えてくれなくて、その後に知り合いから逮捕されたって聞いた感じなのよね。もちろん信じたくないよ。信じたくはないけど、テレビではああやって報道されてるわけだからね。だから私も何とも言えない。A子をかばうつもりは一切ないけど、こんな事件を起こしてしまって本当にまいってるの」
母親から見たA子は、A子が小学校の卒業文集に寄せた文章のように、友達や家族思いの優しい少女でしかなかった。「あんな事件を起こしてしまったけど、小さいころのA子は、お姉ちゃん思いの優しい子だった。毎日のように外でお姉ちゃんとダンスを踊って、『お母さん見てー』と言ってニコニコ笑ってるような子だったの。小学生のころに帽子を振り回してたら、同級生の女の子にたまたま当たってその子の親に謝りに行ったことはあるけど、私から見たらいい子だった」
そんなA子は小学校高学年になると、不登校気味になったという。「ある日いきなり『学校行きたくない』って言い出したから理由を聞くと、どうやら友達との人間関係で悩んでいたらしいの。私も詳しく事情を聞こうとは思わず、『じゃあ休めばいいんじゃない?』って感じで接してた。中学校に上がってもA子は部活にも入らなかったし、そこでも不登校気味だったの」
それでもA子は高校に進学したが、長続きはしなかった。「高校は2年生のころに中退しました。その後は、いろんな仕事を転々としてたらしいけど、私も細かいことは聞かないから、ファーストフード店でバイトしてたことくらいしか知らないの。
高校を辞めたころから、A子はだんだんとヤンチャっぽい子たちとつるむようになった。それこそ家に男の子の友達を連れてくることも多くて、腕に入れ墨を入れた子も見かけたことがある。でも、今回の事件で逮捕された16歳の子とか、内田梨瑚なんて子の名前は聞いたことないね。そもそもずいぶん前から、A子はめったに家に帰ってこなくなったので交友関係とかよく知らないのよ」
困惑しながらも、母親は娘に対する思いをこう振り絞った。「でもね、A子はずっと寂しかったんだと思うよ。あの子が小学生のころに私は旦那と離婚して、仕事ばかりで家にいるときは寝てばかりだった。ここ数年は、夜にほとんどA子と顔をあわせることもなかったから、やっぱり寂しさはずっとあっただろうし、申し訳ない気持ちはあるの。どうしてこんな事件を起こしてしまったかはわからないけど、複雑な思いというか、やっぱり信じられないよね」
娘に対する親の思いの深さが伝わってくる反応だった。しかし、A子と内田容疑者に橋の上から冷たい石狩川に突き落とされた女子高生の遺族に思いを馳せれば、その重みは全く異質のものになる。取り返しのつかない罪を犯した自覚に、21歳と19歳の女2人が打ち震えることがあるのだろうか。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班