栃木県内にある明治時代から続く老舗旅館Aの混浴施設内で、不適切な利用があったとして同旅館の若旦那が自身のXで「今日の日帰り入浴客は酷すぎる。女性専用と書いてあるのに男女で入浴。明日の日帰り入浴中止します」と投稿したことが話題を呼び、そのまま再開未定の状況となっている。いったい何が起きたのか。
栃木県那須塩原市にある老舗旅館A。旅館のすぐ近くには一級河川が流れており、Aは渓流に手が届きそうな絶景の野天風呂を有した湯処だ。野天風呂には3ヶ所の混浴風呂があり、女性専用風呂も備わっている。だが、とある心ない利用客により日帰り入浴が休止される事態に発展した。

「3月30日、男女5人の日帰り入浴客が、3つある混浴スペースではなく、女性専用風呂を利用していたことが発覚しました。これまでこんなことが起きたことはありません。若旦那は自身のXで『明日の日帰り入浴中止します』と告知し、その後、宿の公式ホームページにて31日より日帰り入浴の営業を休止するとを発表しました。現時点で再開の見込みは立っていません」(Aスタッフ)
Aの野天風呂を利用したことがある温泉ライターが解説する。「Aは国道沿いにポツンと存在する旅館でまさに秘境温泉。野天風呂は約300段の階段を下った渓谷にあり、川を眺めながら浸かる温泉は格別です。宿泊客だけでなく日帰り利用もできたので、秘湯好きのみならずバイカーにも人気の湯処でした」しかし、混浴ということもあって、以前より迷惑な客は存在したという。「この渓流沿いには、Aの他にも何ヶ所か日帰り入浴ができる混浴野天風呂つきの温泉旅館があり、いずれも以前から頻繁に “ワニ”が出没していました。ここでいうワニとは、混浴の温泉に長時間浸かって女性客が来るのをジッと待つ輩のことです。虎視眈々と湯に入り続け、獲物が湯船に入ったら気づかないうちに寄っていくさまから、ワニと呼ばれているのです」(同)今回は男女5人グループが女性専用風呂に入ったというが、この“ワニ”と関係があるのだろうか。
Xに宿泊したことのある自称ワニのゴンゾウさん(51)は言う。「我々のようなワニと“見られたがりの女性”が集う某掲示板があって、そこで露出狂の女性がよく『〇月△日、××の混浴野天風呂に行きます』と投稿をしてくれるんです。ワニはその予告を見て狙い撃ちでその温泉に行くんです。『見られたい人がいるなら見に行こう』という感じです。
日ごろからワニに見られることを楽しむアイコさん(50)もこう話す「ワニがこちらを見てるときの目線がたまらないんです(笑)。掲示板で一緒に混浴温泉に行ってくれるワニを募集することもあります。これまでも栃木だけでなく長野や群馬、福島などさまざまな混浴温泉に行ってきました。ただ、最近は時代の流れか全裸で入れる温泉が減ってきてタオルを巻かないといけないところがほとんどですね。Aの近くの川沿いの野天風呂も20年前までは全裸OKだったのですが……」ただし、ワニにも守るべき一定のルールがあるとゴンゾウさんは強調する。「家族連れや一般の人がいたらワニ行為はストップしています。もちろん女性専用スペースに行くことはありませんし、そこを覗くような行為もしません!ワニにしろ露出狂にしろ、ルールの中で目線の応酬を楽しむもの。相手の男性が自分のパートナーの女性をロックオンしたときのあの目は……なかなかいいものですよ」
そうは言っても、そんな変態たちが出没する時点で、温泉施設としては迷惑この上ないだろう。周辺で飲食店と土産物店を営む男性は肩を落とす。「この川沿いにはA以外にも野天風呂を持つ温泉旅館や日帰り温泉施設がいくつもありました。でも一部の迷惑客が撮影しちゃったり、変なことをする男女のお客さんが多くて。それで日帰り野天風呂だけを開いてたところは閉鎖してしまいました。今回の件でAだけでなく、ほかの宿も日帰り入浴を完全にやめてしまったら残念です」温泉は湯に浸かって心身を癒すもの。決して人の体を見に行く場所ではないのだ。
取材・文/河合桃子集英社オンライン編集部ニュース班