政府は、インターネット通販で購入した海外製品の事故が増加しているとして2025年にも規制強化に乗り出す。
製品を販売する海外事業者に安全管理やトラブル対応を担う国内の責任者の設置を義務づけ、国の安全基準を満たさない製品の出品削除も要請できるようにする。今国会で関連法の改正を目指す。
現行の消費生活用製品安全法など製品安全4法では、電化製品やガス機器など493品目で安全基準が定められており、海外製品の場合は輸入事業者と販売者に対して順守を求めてきた。しかし、近年はアマゾンなど、ネット通販の店舗を集めた「オンラインモール」を介して消費者に直接販売することで、国の安全基準に反した製品が出回っている。
このため、政府は製品安全4法を改正し、海外事業者に対して日本国内の責任者となる「国内管理人」を置くよう求める。支店や輸入事業者を想定しており、トラブルが起きた際の責任を明確化する狙いがある。
法令違反があれば、経済産業省が国内管理人を通じ、製品のリコール(回収・無償交換)の要請などを行う。従わなければ、事業者や国内管理人の氏名などを公表する。消費者に危険が及ぶ恐れがあり、出品者が必要な対応をしない場合、オンラインモールの運営者に出品の削除を要請できる。
より安全性が求められる子ども向けの製品に関しては、新たに「子供用特定製品」に指定し、製造・輸入業者に、対象年齢や使用上の注意などの表示を義務づける。低年齢用のおもちゃや、ベビーカー、抱っこひもの指定を検討している。
同省によると、重大な製品事故のうち、ネット通販での入手は、19年の10・7%(73件)から、22年には19・4%(103件)に増加した。海外製のモバイルバッテリーによる火災や、強力な磁石を使ったおもちゃ「マグネットセット」の誤飲で子どもの内臓に穴が開いた例もあるという。
ネット上では、国の安全基準を超える出力の「レーザーポインター」も流通しており、光線が目に当たると網膜などを傷つけ失明に至る可能性があることから、懸念が強まっている。そのほか、子どもの誤飲につながるとして欧州連合(EU)や米国などで安全規制の対象となっている海外製の人形などが、国内ではネット販売されているケースもあり、安全性が危惧されている。