「売り手市場」の2024年新卒社員が、入社式を迎えた。
少子化による人口減少で人手不足が深刻化し、新卒生の争奪戦が激化する中、初任給を上げることで目を引こうとする会社が増えている。
しかし、初任給にばかり気を取られていると、他の既存社員とのアンバランスな問題が発生しかねない。Xにはこんなポストが投稿され、3.7万件ものいいねを獲得している。
同様の内容の投稿はいくつか見られる。入社3年目のあるユーザーは、基本給と勤続給をあわせた自分の給与が21.8万円だったのに対して、今年の新卒入社社員の基本給(初任給)が22.5万円だったことを知り、ショックを受けている。
自分が仕事をサボって後輩に給料を抜かれたのなら仕方ないと認めつつ、「でも毎日こんなに真面目に働いて丸2年もやってきたのにこれはないでしょ」と嘆く。
実際にそんなことがあるのだろうか。あるエンジニアリング会社はプレスリリースで、高専/学士/修士の初任給を月3万2000円から4万2000円増額すると発表している。
その一方で、既存社員の組合員一人あたりの基本賃金を月3万円増額する。
ただしこれだけでは「逆転現象」が起きてしまうので、賞与と基本賃金のバランスを見直し、基本賃金を更に引き上げて調整を行う。
この会社の場合、初任給以外の賃上げや調整を行っているので、2年目や3年目の若手社員の給与が新入社員を下回ることはなさそうだ。
しかし、同様のプレスリリースを出す会社の中には「新卒採用者への初任給引き上げ」にしか触れていないケースがあることも事実だ。
入社3年目の投稿者も「今いる社員は上がらないの?→そうです」と付け加え、既存社員の調整が行われていないことを強調。「やめちゃえ→やめます」と退職を匂わせている。
都内企業の総務部門に勤めるAさんは、一連の投稿を見て「ほとんどの会社では逆転現象が起きないようにしているはずですが」とコメントした。
一方、新興企業では逆転減少が起こる可能性があるという。
特に年功序列を否定する会社では、職務や職位ごとに給与幅の目安を設けつつ、最終的には個別に目標を立て、達成度によって支給額を決めているからだ。
Aさん自身はいわゆる氷河期世代。入社以来、「なんだかんだ理由をつけて、給与がほとんど上がらない」時期が長かったそうだ。そのころを思い出すと、賃上げの声が飛びかう昨今は「ほんと夢のようですよね」と言う。