悪質ホストをめぐって、若い女性が支払いのため、親のカネに手をつけるケースが相次いでいます。今回、逮捕されたホストのケースでは、女子高校生が祖母の預金を引き出し、総額600万円も使っていました。逮捕直前の映像から見える男の手口とは?
【逮捕直前の写真】歌舞伎町の人気ホスト 恋愛偽る悪質な手口に迫る
ホスト 稲場勇哉容疑者「好みのタイプ、18歳から100歳」
おととい、風営法違反の疑いで逮捕された新宿・歌舞伎町の人気ホスト、稲場勇哉容疑者(22)。
逮捕容疑は去年、女子高校生が20歳未満であることを知りながら、店で酒を提供した疑いなどです。発覚のきっかけは、母親からの相談でした。
女子高校生の母親「16歳の娘がホストと交際し、高額な酒を飲まされているようだ」
警視庁によると、稲場容疑者は新宿のいわゆる「トー横」で女子高校生をナンパ。“恋愛感情”をあおり、店にのめり込ませていったとみられています。
逮捕直前の映像には、初めての女性客に耳元で“甘い言葉”を囁く姿が。
ホスト 稲場勇哉容疑者「2人で会いたい、ゆっくりまた。(一緒に)長くいられる時間の方が俺的にはベスト」「次は2人で会いたい」。客を来店に導く男の手口が見えてきました。
ホスト「朝ドラ出てる?」稲場勇哉容疑者「清楚キャラでしょ」
軽いリップサービス。背後のモニターに目をやると…「歴代最高売上記録1600万over」の文字が映し出されています。稲場容疑者は終電を気にかける素振りを見せつつ、次の来店をねだります。
ホスト 稲場勇哉容疑者「次の日休みとかで朝まで一緒にいられる日、ホテルじゃないよ。お互い、あんまり知らんやん。だから(一緒に)長くいられる時間の方が俺的にはベスト」
警視庁によると、稲場容疑者めあてに女子高校生が使った総額はおよそ600万円。100万円を超える「シャンパンタワー」を注文することもありました。
女子高校生(当時15歳)「『俺が一生一緒にいる。(女子高校生が)18歳になったらホストをやめるから結婚しよう』と言われた」
支払いには母親のクレジットカード、そして祖母の預金が使われていました。
一方で、稲場容疑者は「18歳未満とは知らなかった」と容疑を否認していますが…。
稲場勇哉容疑者(逮捕後の供述)「ナンパを装い声をかけた。彼女のような気分にさせ、店に足を運ばせた」
自ら返済できないほどの大金を使い込んでしまう背景には、いったい何があるのか。社会問題化しているのが、代金のツケ払い=「売掛金」です。
被害者支援に取り組む団体「青母連」。悪質ホストに関する相談は今年すでに180件を超え、その大半を「売掛金」関連が占めるといいます。
都内に住む佐藤さん(仮名)。20代の娘が総額1800万円をホストにつぎ込んだそうです。
佐藤さん(仮名)「(娘が)高額の売掛金を肩代わりしてほしいと泣きながら頼んできた。青天の霹靂のような出来事でした」
きっかけはマッチングアプリ。男性はホストであることを隠して娘に近づき、仲を深めていったのだといいます。ところが、親しくなると。
佐藤さん(仮名)「『実はホストクラブでアルバイトをしているので、1回3000円でいいから来てね』というような誘い方で、ボーイフレンドが入り口だったので、お店に行くハードルは低かったと思う」
溜まりに溜まった「売掛金」は1200万円。佐藤さんは仕事の開業資金を取り崩して返済しました。しかし、その後、娘の将来を思って貯めていた預金600万円を娘は無断で引き出し、そのホストの店で使い切ってしまったというのです。
佐藤さんは怒りを込め、「これは恋愛詐欺だ」と訴えます。
佐藤さん(仮名)「心にちょっと隙間がある、寂しさを持っている若い女性が1回入ってしまうと、もう到底抜けられない世界。今、どう思い返しても防げなかった」