4月1日から新宿・歌舞伎町のホストクラブの多くが、「売り掛け」と呼ばれる“ツケ払い”の完全廃止を始めました。
歌舞伎町の現役ホスト:(営業が)絶対やりづらいですよね…。全額持ってきてもらわないといけないってのは、すごくやりづらいことだと思うので。
歌舞伎町の現役ホスト:お店自体がヒマになることが多いので、このお店って人気がないのかな?とか思われやすくなるので、そういう面に関しては、やりづらくなったと思います。
歌舞伎町のホストたちからは、「営業がやりづらくなった」という声も上がる中、見えてきたのは夜の街に起きていた変化でした。
売り掛けの完全廃止が始まる前から、前入金率70%(※1月時点)のルールを守って営業していたホストクラブ「club THE STINGER TOKYO」。
「めざまし8」が1月に行った取材では、店内は高額なシャンパンタワーや、シャンパンコールであふれていました。
女性客:伽羅さんに初めて会ったのは去年の11月で、実はまだ2カ月しかたっていない事に驚いています。
出会って2カ月のホストのために、230万円を超える大金を事前に準備したという女性客。その一方で、売り掛けができなくなり、高額なシャンパンなどをためらうようになったと話す女性客もいました。
女性客:私は売り掛けずっとしていたから。そういうシャンパンとか卸すのが、ちょっとだけ前よりは…。
ホスト:ちゅうちょするようになった?
女性客:なった。なんかあらかじめ(入金が必要)みたいな感じだから、担当(ホスト)との信頼関係が重要になった。
2月に改めて取材をすると、姫野愛逶取締役社長から明かされたのは意外な言葉でした。
姫野愛逶 取締役社長:3月一杯でお店を閉めさせてもらって、完全に東京というか歌舞伎町から撤退することになって。本当に色々考えた結論で。正直、色んな今回取り締まりも含め、売り掛けの件も含め、かなり悪質なホストたちも増えて…全員が全員のわけじゃないんですよ、本当にちゃんとまじめにやっている所も知っていますし。ただ、やっぱりどうしてもそこを一緒くたにされて、自分たちもどうしてもひとくくりの中の、良いイメージを持たれないホストの一部という印象を変えきれなかった部分があってですね。このままずっとズルズルこの状態で、この先、歌舞伎町がどうなっていくかが分からない中で、自分自身で色々考えた結果、今回、撤退しようって。
「売り掛け」問題を受けて、歌舞伎町から撤退する店もある中、「青少年を守る父母の連絡協議会」の玄秀盛代表によると、ホストクラブを訪れる女性客にも変化が出てきているといいます。
「青少年を守る父母の連絡協議会」玄秀盛代表:“立ちんぼ”がどんどん増えています。10人20人とどんどん日増しに増えているし、それに伴って男性の買春ですよね。それがもう20~30人をゆうに超えています。
売掛金の廃止が決まって以降、「路上売春」いわゆる“立ちんぼ”をする女性たちが急増しているというのです。
3月、めざまし8は週3回行っている青少年を守る父母の連絡協議会の見回りに同行させてもらいました。
歌舞伎町の一角にある大久保公園周辺には、ひとつの通りに見えるだけでも、10人近くの女性の姿が。2023年10月に取材した際は、2~3人だったことと比べると、明らかに増えているのがわかります。
警察が定期的に見回りに現れますが、女性たちはいったんいなくなり、警察の姿が見えなくなるとすぐ戻ってくる、を繰り返していました。
その中の一人に、青少年を守る父母の連絡協議会のスタッフが声をかけます。
――週に何回くらい?立っているんですか?女性:私、東京に住んでなくて…。(Q.他府県?)宮城なんです。4日の日に来ていて、明日までいて。
――稼いだお金は何に使っているのですか?女性:そのお金で自分の好きなものとか、あとホストとかに飲みに行く分のお金を使えたらな、みたいな感じで立っているだけで。
女性のように、最近は地方から歌舞伎町に“立ちんぼ”に来るというケースも増えているといいます。
「青少年を守る父母の連絡協議会」玄秀盛代表:大阪から5人組とか、大阪からの“立ちんぼ”がよく。自分たちはアウトリーチしながら調べていますけども。しゃべってみたら関西弁やと。10日で100万程握って帰ります。そういう子らが大阪に帰って(他の子に)言っているものだから、大阪からどんどんバスタ(夜行バス)を利用して来ます。
地方でホストにハマった女性らが、お金を稼ぐことができる場所として、大久保公園周辺に集まっているといいます。
「売り掛け」廃止で揺れ動く歌舞伎町。完全廃止の導入で、今後どのように変わっていくのでしょうか。(「めざまし8」4月10日放送より)