法務省が15日、受刑者の呼び捨てを4月から全面的に廃止し、原則として「さん」付けで呼ぶことを発表した。
背景にあるのが2022年に発覚した名古屋刑務所で刑務官による受刑者への暴行、暴言問題だ。第三者委員会によると名古屋刑務所では受刑者を「懲役」「やつら」と呼ぶことが横行し「人権意識が希薄」と指摘された。今後は受刑者にも刑務官を「先生」ではなく「職員さん」「担当さん」と呼ぶように求めるという。
SNS上では「人権は必要」と理解を示す声がある一方で「受刑者の待遇改善や刑務所の環境改善は犯罪の抑止力にならない」「刑務所は二度と入りたくない場所にしなきゃダメだ」といった論争が起こっている。
2007年に銅線を盗んだ窃盗容疑で逮捕され、服役経験のある千葉県八街市議の後藤祐樹氏(37)は呼び捨てで呼ばれていたという。受刑者のさん付けについて「もっと論点にしなければいけないことがあると思います。例えばお風呂が週に2回しか入れないとか。そっちの方がよっぽど人権失われてるじゃないですか。呼び方なんかよりもっと変えなきゃいけないところがある」と指摘する。
また今回の発端となった名古屋刑務所は受刑者たちの間で厳しいことで有名だったという。「刑務官もそうですし、名刑自体がザ・刑務所という感じ。運動とかもスパルタらしいんですよ。名刑から来た受刑者たちはみんな口をそろえて『なかなかヤバかった』って言ってました」(同)
今回、人権問題が争点となっているが後藤氏が問題視するのが再犯率。服役経験を踏まえ「刑務所で知り合った者同士が出所して悪さをすることもあるじゃないですか。雑居房をなくした方がいいと思います」と提案した。
まだまだ議論の余地はありそうだ。