地震により、避難生活を送る中、新型コロナウイルスに感染し命を落とした女性がいます。限られた環境での感染症対策の現状と、課題とは。
比古咲きみ子さん「またあなたたち来てください。俺、ちびちゃんに会いたい」
今年のお正月に、ひ孫たちに会えるのを楽しみにしていた、石川県珠洲市の比古咲きみ子さん(87)。地震後の避難生活で新型コロナに感染し、その後、亡くなりました。
きみ子さんの長男 比古咲孝さん「最強ばあちゃんやって、家族全員がノロウイルスにかかってもかからない、そんなばあちゃんだった」
地震発生直後、きみ子さんは着の身着のままで孝さん家族と共に近くの小学校へ避難。1週間ほど避難所での生活を送った後、持病の治療のため今月9日、金沢の病院を受診し、新型コロナへの感染が判明しました。
きみ子さんの長男 比古咲孝さん「検査してコロナだったけど、本人ケロッとしてるよ。俺が近づこうとしたら『コロナだからあっち行け』って。それが最後だった…。そんなだった」
発熱が続き、1週間後、陰性の確認がされないまま、亡くなりました。珠洲市によりますと、元日の地震の後、珠洲市でコロナに感染して死亡が確認されたのは今回が初めてとみられます。
きみ子さんの長男 比古咲孝さん「ほかの避難所から見たらキレイだった」
きみ子さんが避難していた小学校では、消毒や換気・マスク着用などの感染症対策がとられていたといいますが…
きみ子さんの長男 比古咲孝さん「集団でこれだけいれば、いずれなるだろうと、弱い人が」
こちらは穴水町の避難所。入り口にはインフルエンザと新型コロナの感染者が出たとの貼り紙が。
地震発生から1か月近くがたった今、避難所では感染症のまん延が懸念されています。
看護師 小沼一希さん「半個室のような形で隔離部屋は作って、発熱者とかせきなどの症状がある方をゾーニング、部屋を分けて対応しています」
非接触型の体温計を設置し、換気や手指消毒を徹底していますが、避難者同士の間に仕切り板はなく、雑魚寝が続いている状況です。こうした避難所は今も少なくありません。
避難者「大変だけど、どこにも行くところもないし、しかたないです」
先が見えない避難生活。限られた状況の中で、どう感染拡大を防ぐのか。難しい課題が突きつけられています。