先端部が突き出た形状から「軍艦島」と呼ばれる、石川県珠洲(すず)市の県天然記念物・名勝「見附(みつけ)島」の一部が、能登半島地震で崩落した。
変わり果てた姿となった地域のシンボルに、地元住民は「もう軍艦島とは呼べない」と落胆する。
同市観光交流課によると、地震前は高さ約28メートル、周囲約400メートルのひし形だったが、島の南東側が崩れ、半分ほどの大きさになった。
これまでも波や風による浸食や、2022年6月の震度6弱、23年5月の震度6強の地震で崩壊が進んでいた。京都大防災研究所などの調査によると、今回の地震で島のある宝立町地区には高さ約4メートルの津波が押し寄せたとみられる。
近くに住む男性(72)は、小学生の頃に島で海水浴を楽しんだ。「かつての姿はもうない。残念でならない」と嘆いた。能登半島広域観光協会は「観光への影響は小さくないが、一日も早く地域を復興し、客を迎えたい」としている。