日本赤十字社に内定した天皇皇后両陛下の長女、愛子さま。皇室事情に詳しい関係者の間では「大学院に進学し、海外留学をされるのでは」との見方が有力視されていただけに、今回の発表には驚きの声も聞かれた。
そこには愛子さまの「ある覚悟」が秘められている。前編記事『日本赤十字社に内定のウラで…愛子さまが海外留学で「自由になれる時間」を選ばなかった「理由」』に引き続き、天皇一家を取材してきた皇室ジャーナリストが明かす。
天皇皇后両陛下の長女、愛子様が学習院大学を卒業後、日本赤十字社に嘱託職員として勤務されることが22日、宮内庁より発表された。
皇室事情に詳しい関係者の間では、大学院進学、留学という進路が有力視されていただけに驚きの発表だった。
2023年が初めて出席された一般参賀(Photo by Getty images)
天皇陛下はじめ、多くの皇族方がイギリスなどへの留学を経験されていた。留学は研究を深めたり、その国の文化を学び、海外への知見を広げるだけではなく皇族方にとってはある重要な意味も持つ。
それは日本より自由に過ごせ、自分のことは自分でできる、という貴重な機会にもあるのだ。
「今後はご公務で海外に赴かれることはあっても長期で留学されるのはなかなか難しい。そのため、両陛下としても愛子さまに『普通の生活』を経験してもらおう、とまずはご提案されるものとばかり思っていました」
そう説明するのは長年、天皇ご一家を取材してきた皇室ジャーナリスト。
だが、愛子さまは卒業後の進路に就職、皇室に残られる道を選んだ。そこには「留学をするのは厳しい」というご事情と覚悟があったことを、前出の皇室ジャーナリストは推測している。
「成年皇族が少ない、という問題でしょう。もし、ご自分が大学院に進学されて、留学すればその間、天皇皇后両陛下を支える人やご公務を行える人が限られてしまう。そうしたバランスを考えると、自分がやらなければ皇室が持たないのでは、とお考えになっても不思議ではありません」(前出の皇室ジャーナリスト、以下「」も)
とりわけ愛子さまはここ数年、皇族としての自覚を著しくもたれるようになったという。
「お子さまのころは不登校になったり、何かと不安定な時期もありました。ですが、高校生になったころからかなり変わってこられたんです。
成年皇族としてのお言葉もそうですが、就職先も皇室の深い関わりのある日本赤十字社です。これは皇族として頑張っていく、という愛子さまの自覚と覚悟、そしてご両親へのメッセージの表れでもあると思うんです」
療養中の雅子さまと一番近くで接してこられた愛子さま。
その回復ぶりも、雅子さまを支えられる天皇陛下のこともすぐ間近で見てこられた。いつも頑張っているご両親の姿を目の当たりにして、自分も一緒に皇室を支えたい、と考えられても何ら不思議ではない。
もしかすると愛子さまは将来「天皇」となられることも念頭に入れているのだろうか。前出の皇室ジャーナリストは「それはないと思います」と苦笑いした。
「むしろ、ご結婚されて皇室を出て行かれることを考えておられるのでしょう。その将来を見据えておられるからなるべく早く公務を手伝い、果たしてからご結婚されて皇室をでていくと思います」
佳子さまもいずれは皇室を出る。仲の良い愛子さまもそれを察しているのではないか(Photo by Getty images)
結婚すれば民間人となる。そうなれば進学も留学もいつか叶うことはあるだろう。だが、皇族の責務は今しか果たせない。何をすべきか、愛子さまはそれをしっかりとお考えになられての決断であったのだろう。
一方で比較されるのが秋篠宮家の次女、佳子さまだ。国際基督教大学卒業後しばらくは就職することもなく、ご公務にもそれほど集中されていたわけではない。
「記者から『なにをされているのですか』と質問されて物議を醸しだしたこともありました。『ロイヤルニート』なんて揶揄されたことも」
前出の皇室ジャーナリストは、この時の佳子さまは皇族としての務めを果たすことよりも、皇室を出る準備をしていたのではないか、と推測している。
「ご縁談があったのではないでしょうか。これは私の推測にすぎませんが、ご結婚の話が進んでいたから、留学したり就職してご公務をされることもなかった。佳子さまは昔から皇室を早く出たい、と考えておられるようでしたので」
だが、何らかの理由でその話は破談になった。そこで初めて皇族として公務に勤しんでいこうと心変わりしたのではないかという。
「姉である眞子さまのご結婚の影響もあったでしょうが、ここ数年の佳子さまは皇族としてのご自覚もかなり芽生えていらっしゃっています。それに今年30歳になられます。いつご結婚されてもおかしくはない年齢です。
そうなれば皇室を離れてしまわれます。佳子さまのことを考えても、愛子さまは皇族としてご公務に当たられる道を選ばれたのでしょう」
近い将来、佳子さまのご結婚も決まることだろう。
「将来のことをお二人がどれくらい話していらっしゃるかはわかりません。ですが、愛子さまは何らか察しておられてもおかしくはないでしょう。佳子さまのご結婚も視野にいれ、皇室にいらっしゃる間にご一緒に公務をされて、慣れていこうと考えられているかもしれません。仲のいい従姉となら愛子さまも心強いですからね」
愛子さまにとってご自身より10歳年上の佳子さまは昔から「憧れの存在」だったという。可愛くておしゃれな従姉の佳子さまのことを愛子さまは慕い、髪型やアクセサリーをマネすることもあったという。
そうしたご事情もあり、「皇室としての務め」を優先されたとしても、不思議ではない。
進路も結婚も自由な令和において、こうした愛子さまの選択はいささか窮屈に感じる人もいるかもしれない。だが、むしろこうした伝統、格式があるからこそ、皇室は維持され、人々から敬愛されているのではないだろうか。
「愛子さまは本当に偉いと思います。成長するにつれ皇室に生まれたことをご自覚されてきたのでしょう。それこそが天皇家の教育の賜物ではないでしょうか。のびのびと自由に育てられてきても、根っこの部分ではしっかりと浸透していたのだと思います」
自分の思うまま、好き勝手に生きるのではなく、皇族として、天皇家の娘として何をすべきなのか――。今回の選択は愛子さまにとっては当然の将来だったのかもしれない。
・・・・・
【もっと読む】『眞子さんの「就職先」が見つからない…いま現地で危惧されている「まさかの事態」』