インターネット上の匿名掲示板で中傷され精神的苦痛を受けたとして、重度の障害がある兵藤一晶さん(48)=前橋市=が投稿者の東京都の男性に約195万円の損害賠償を求めた訴訟で、前橋地裁(神野律子裁判長)は8日、男性に約96万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
【写真まとめ】「なんで勝てなかった」 中傷SNSに桐生祥秀は… 判決によると、2022年4月、兵藤さんが前橋市に24時間体制の介護サービス提供を求めて起こした行政訴訟について報じられると、男性はネットの匿名掲示板「5ちゃんねる」に「殺処分でいいやん」と投稿した。

神野裁判長はこの投稿について「原告の生命を著しく軽視するものであり、極めて不当な表現方法で人格を否定した」と指摘。兵藤さんの名誉感情を侵害する不法行為で精神的苦痛は大きく、男性が答弁書で侮辱的な表現を用いたことからも「原告の苦痛は何ら軽減していない」とした。一方で「投稿によって原告の社会から受ける客観的な評価が低下するとは認めがたい」として、名誉毀損(きそん)には当たらないと判断した。 原告側の下山順弁護士は判決後、前橋市内で記者会見し「たった1件、短文の投稿だが慰謝料60万円が認められた。障害者に対するヘイトスピーチは許されず、厳しく責任を問われることを明確にした」と判決を評価した。名誉毀損が認められなかった点については「この投稿は優生思想を助長し、障害者が生きづらくなる。社会的影響も考慮してほしかったが残念だ」と述べた。下山弁護士によると、男性が書き込んだ5ちゃんねるのスレッドには700件を超える投稿があり、ほとんどが差別的な投稿だったという。 ネット上の中傷を巡って、兵藤さんは愛知県の男性にも訴訟を起こしている。【日向梓】
判決によると、2022年4月、兵藤さんが前橋市に24時間体制の介護サービス提供を求めて起こした行政訴訟について報じられると、男性はネットの匿名掲示板「5ちゃんねる」に「殺処分でいいやん」と投稿した。
神野裁判長はこの投稿について「原告の生命を著しく軽視するものであり、極めて不当な表現方法で人格を否定した」と指摘。兵藤さんの名誉感情を侵害する不法行為で精神的苦痛は大きく、男性が答弁書で侮辱的な表現を用いたことからも「原告の苦痛は何ら軽減していない」とした。一方で「投稿によって原告の社会から受ける客観的な評価が低下するとは認めがたい」として、名誉毀損(きそん)には当たらないと判断した。
原告側の下山順弁護士は判決後、前橋市内で記者会見し「たった1件、短文の投稿だが慰謝料60万円が認められた。障害者に対するヘイトスピーチは許されず、厳しく責任を問われることを明確にした」と判決を評価した。名誉毀損が認められなかった点については「この投稿は優生思想を助長し、障害者が生きづらくなる。社会的影響も考慮してほしかったが残念だ」と述べた。下山弁護士によると、男性が書き込んだ5ちゃんねるのスレッドには700件を超える投稿があり、ほとんどが差別的な投稿だったという。
ネット上の中傷を巡って、兵藤さんは愛知県の男性にも訴訟を起こしている。【日向梓】