日本で脳死からの臓器提供が可能になって26年になる2023年、臓器提供者が1,000人を超えた。
さらなる普及に向け、何が必要なのか、心臓移植を望んでいた小学生を取材した。
2022年10月、「イット!」が取材した小学生・五十嵐好乃ちゃん(当時10)。
当時、好乃ちゃんは、元気になったら何がしたいか尋ねると「友達と遊んだり授業を受けたいです」と答えた。
重い心臓病を発症した好乃ちゃんにとって心臓移植は、たった一つの生きる望みだった。
2023年に入り、好乃ちゃんは国内での心臓移植に成功。元気な姿を見せてくれた。
心臓移植に成功した五十嵐好乃ちゃん(11)「(どう? おうちは)まあいいところ、かな」
補助人工心臓という機械の助けを借りながら、命をつないできた好乃ちゃん。
生野陽子キャスター(2022年10月取材)「どんなことが大変?」五十嵐好乃ちゃん(当時10)「(患部を)毎日消毒する時。しみたり痛かったりします」
その後、アメリカでの心臓移植に向け、2022年11月に募金活動がスタート。
2022年の記者会見で好乃ちゃんは「みなさんお願いします。助けてください」と訴えていた。
あふれる涙を拭う父親・好秀さん。
募金は目標額を達成したが、好乃ちゃんの体調悪化で渡航移植を断念。
国内での臓器提供にいちるの望みを託す中、およそ3年半の闘病生活にピリオドを打つ知らせが…。
心臓移植に成功した好乃ちゃん「(ドナーが現れた時の気持ちは?)たくさん泣いたのは覚えている」、「(どんな気持ちでたくさん泣いちゃったのかな?)うれしい気持ちかな」
移植手術直後の好乃ちゃん。新しい心臓が命をつなぎ、これまで命をつないでいた補助人工心臓が外された。
心臓移植に成功した好乃ちゃん「(移植後は)すごく心臓があたたかくて、拍動がすごくて、元気な心臓だなと思いました」、「(それを感じたときはどう思いましたか?)これが心臓なんだなって、久しぶりに思いました」
元の生活に戻るため、リハビリを開始した好乃ちゃん。すぐに歩行器なしで歩けるようになり、階段の上り下りも1人でできるようになった。
母親・瑞美さん「本当に(心臓を)提供してくださった方、尊いご決断をしてくださったご家族には本当に感謝しております」
臓器移植法が施行されて26年になる10月、1,000例目を達成した国内の臓器移植。
2023年は過去最高のペースでドナーの数が増え、15歳未満のドナーも過去最高を更新している。
それでも欧米などと比べると、依然として少ないのが現状だ。
厚労省の移植医療に関する審議会委員 日本体育大学大学院・横田裕行教授「臓器提供ができる施設を増やしていくことも大きなポイント」
両親と一緒にいられることがうれしいという好乃ちゃん。今の目標は、これまで支えてくれた両親と小学校の卒業式に出席することだという。