大手通販サイトで販売されている電動アシスト自転車を巡り、補助する力が道路交通法の基準を超えた違法な製品の販売が横行していることが、国民生活センターの調べで分かった。
センターが実際の商品で走行テストをしたところ、時速24キロ以上では補助してはいけない規則なのに補助により44キロまで出た製品もあった。センターは「基準に適合しない自転車の使用は控えて」と呼びかけている。
センターによると、道交法施行規則は、ペダルをこぐ力に対して補助できる比率を定めており、時速10キロ未満ではこぐ力の2倍までで、時速24キロ以上では補助してはいけない。基準を超えた場合は原動機付き自転車(原付きバイク)とみなされる。補助する力が大きすぎると、バランスを崩したりスピードが出すぎたりして事故につながりかねないためだ。
ところが、センターが1~7月、大手通販サイトの売り上げ上位の商品の中で国家公安委員会の型式認定を取得したとの記載がない10製品を購入しテストしたところ、9製品が法律上の補助力の上限値を超えていた。
また、電動アシスト自転車は足でこいで進むものと定められているが、操作によってこがずに進める「スロットル」とみられる部品が、5製品についていた。
センターはテストの動画をYouTube(ユーチューブ)で公開。時速24キロを超えても継続アシストして44キロを記録したケースや、時速30キロの原付きバイクをみるみる追い抜いていく様子が紹介されている。
センターによると、電動アシスト自転車の事故件数は年々増加し、平成24年の1250件から令和3年は3773件と、約10年で3倍増に。また、基準不適合を巡っても京都府警が1月、基準に適合しない製品を適合品と広告表示したとして不正競争防止法違反容疑で事業者を書類送検し、その後事業者は罰金の略式命令を受けている。
基準に適合していない電動アシスト自転車を運転するには、ヘルメットの着用やナンバープレートの取得などが必須で、センターは「法令違反は運転者が罰則の対象になる」と警告。購入時には、自転車安全整備士が点検したことを示す赤色の「TSマーク」や、社団法人自転車協会が自転車の安全性を証明する「BAAマーク」を目安にしてほしいと呼びかけている。