結婚式を直前に控えたカップルを襲った悲劇。式場が突如事業を停止し、支払った前金も戻ってきていないといいます。一体何が?式場の運営会社社長を直撃しました。
「他の結婚式場と比べても料理がおいしくて、あと値段ですよね。50人規模で他の結婚式場より50万円から100万円ぐらい」(新郎) 「たぶん平均よりちょっと安めの設定だった」(新婦) 「あとはプランナーさんが親切な方で」(新郎) 結婚式を18日後に控えた2人の元に、届いた1通の手紙。 内容は、まったく予想もしていないものでした。 「仕事から帰ってきたらポストに封筒が入っていて、開けたら3枚。破産通知のおわびと説明文が書いてあったという状況です。最初は信じられないというか、理解するまでに時間がかかりました。だんだん怒りがわいてきました」(新婦)
予定していた結婚式場が、ただちに事業を停止するというのです。 「異変の予兆」は、全く感じなかったと話します。 「式の準備はすべて終わっていまして、結婚式に備えてウェルカムボードとか、式場に持っていってそこで終わり。そこまで進んでいて、あとは当日によろしくお願いしますという状況だったが、その日に親にすぐ連絡を取って、そのあと招待した友人にも『結婚式場が“破産”したので挙式できません、すみません』という連絡をしました」(新郎)
7月に破産の手続きに入ったのは、名古屋にある「グラヴィス」。 愛知県内で、3つの結婚式場を運営していました。 2人が「前金」として支払っていたのは、10万円。 お金は今も戻ってきていません。 「『事前に予期することが困難なトラブルが発生し、写真・ビデオ撮影・各種演出ができなかった場合、誠意をもってお客様に状況説明し、事前に頂いた料金を速やかに返金させて頂きます』という文面があるが、お金は返ってこない。謝罪も状況説明もないままです」(新婦) 「誠意は感じられないです」(新郎)
婚姻数の減少傾向が続く中、コロナが追い打ちをかけた、ブライダル業界。 帝国データバンクによりますと、「グラヴィス」は、2013年の売り上げ16億円がピークでしたが、2022年は、その3分の1以下まで落ち込み、赤字を計上していました。 「無気力状態なのでちょっと…挙式できたらいいなとは思っていますけど、ちょっといまは…」(新婦) 2人が、同じような状況になったカップルと連絡を取り合った結果、返金されていないのは、数十組いて、中には、100万円を納めた人もいるといいます。 「お気に入りのドレスだったけど、これも着られなくなっちゃった。ブランドなら他でもあるけど、ここは式場のドレスだったから」(新婦)
一方、こちらは別の20代のカップル。 「10万円支払いましたよという証明書。誠意を感じられない」(新婦) 「いまだにあの場所でどうしても挙式したい気持ちはあるが、難しいなら返金を求めたいですし、直接の謝罪を求めたい」(新郎) 2人は「グラヴィス」の式場で10月、結婚式を挙げているはずでした。 「私のおばあちゃん90歳を超えていて、だんだん目も悪くなってきて、体も外を出歩いたりもできない状態。おばあちゃんに花嫁姿を見せてあげられる最後のチャンスが今年いっぱいぐらいだと思った。悲しい気持ちでいっぱいになります」(新婦) 金銭的な被害だけでなく、精神的にも大きなダメージを受けたと訴えます。 「今は結婚式を挙げるのが怖い。また予定するのが怖い。またこうなったらどうしようとか、そういう気持ちに変わっちゃったので。仕事してても『はぁ…そういえば結婚式を挙げられなくなっちゃったんだな』ってちょっと落ち込んだりとか」(新婦)
こうしたカップルたちの声を、会社側はどのように感じているのか。 メ~テレはグラヴィスの社長を直撃しました。 Q.結婚式を挙げられなかったカップルのみなさんに今どんなお気持ちでいらっしゃいますか? 「それはもう本当に申し訳ないっていう一言です。ただ他にどうしようもなかったです」(社長) 一方で、返金には応じられないと主張します。 「法律の制限もあったものですから。本当に申し訳ございませんでした」(社長) コロナが一区切りを迎えても業績が戻らず、事業に見切りをつけるタイミングが遅れたと釈明した社長。 破産法では特定の債権者にのみ返金することは、原則禁止されています。 グラヴィスはすでに破産手続きを進めていて、12月に名古屋地裁で管財人が対象となるカップルたちに、手続きの途中経過を報告する集会が開かれる予定です。 (11月7日 15:40~放送 メ~テレ『ドデスカ!+』より)