自衛官3人が銃撃されて死傷し、前日に射撃訓練を再開したばかりだった陸上自衛隊「日野基本射撃場」(岐阜市)が7日、再び訓練を中止する事態となった。
隊員の1人が、報道陣に中指を立てるなど不適切行為をしたことが理由で、地元自治体や近隣住民からは、非難や戸惑いの声が相次いだ。
問題の行為は、訓練再開初日の6日午前7時頃に起きた。隊員たちを乗せた車両が続々と射撃場内に入る中、うち1台のトラック後部座席に乗っていた男性隊員が、入り口でカメラを向ける報道陣に対し、中指を立てるしぐさを見せた。
同射撃場を管理する陸自守山駐屯地(名古屋市)によると、中指を立てたのは、第35普通科連隊に所属する20歳代の男性隊員。6日午前に報道各社からの問い合わせを受けて、上官が事実確認をしたところ、男性隊員は当初、「作業の指示を出していた」と説明したという。
上官は、隊員らに対して「不適切な行為はしないように」と指導したが、この隊員は午後5時頃に同射撃場を出る際にも、車の中から報道陣に向かってピースサインをしていた。
同駐屯地に戻った後、陸自がこの隊員に再び聞き取りをしたところ、隊員は「軽い気持ちでやった」と説明を変え、当初の説明については、報道で出ている画像が「不鮮明だからばれないだろうと思った」と答えたという。
再び訓練が中止された射撃場では7日、付近住民向けの掲示板に前日に出された「射撃実施中」のプレートが、「射撃休止」に変更された。
近くに住む60歳代の無職男性は「訓練を再開するのであれば、実弾を使った訓練よりも、自衛官としての心構えの教育が優先では」と苦言を呈した。付近の会社に勤める20歳代女性は「そういう意識のまま、近くで実弾を使っていることは訓練とはいえ不安」と眉をひそめた。
古田肇知事は事態を受けて、「隊員による不適切な行為があったことは誠に遺憾。経緯を明らかにするとともに、信頼回復を第一に、慎重かつ適切に対処いただきたい」とコメント。岐阜市の柴橋正直市長も「自衛隊には住民の信頼が大切で、丁寧な対応を求めていただけに誠に遺憾」としたうえで「確実な調査と慎重かつ適切な対応を行い、信頼回復に努めてほしい」と求めた。