熟年離婚は年々増加傾向にある。厚生労働省の調査によれば、2020年における熟年離婚の割合は21.5%となり過去最高となっているようだ。一方で、一般社団法人クオーレの調査においては、熟年離婚をして後悔しているケースはわずか8.9%とある。
Photo by iStock
だが、そんなアンケートの結果とは裏腹に熟年離婚を激しく後悔している人もいる。今回は、熟年離婚をして後悔することとなった啓二さん(59歳・男性)の話を紹介する。
今回紹介する元夫婦について、仮名ではあるが元夫を啓二さん、元妻を由香さんとしよう。啓二さんは都内の企業に勤めるサラリーマンだった。勤務先の業績は上場、高学歴なことも相まって社内ではいわゆる重役と言われるようなポジションに位置している。住宅ローンの返済も終え、貯金も十分なうえに退職金も2000万円を超える額での支給が予定されている。
Photo by iStock
満たされたように見える彼の状況だが不満が一つある。それは由香さんの存在だ。由香さんは長年専業主婦をしており、家のことは完ぺきにこなし、夫婦仲も良好。長年の婚姻期間中も大きな夫婦喧嘩もなく平穏な生活が続いている。だが、それこそが啓二さんの不満でもあったようだ。由香さんが家のことをきっちりこなしていた分、日々小言を言われ続けてきた。
「ご飯の準備があるから帰りが遅い日は早めに教えてほしい」「体に悪いから煙草は控えめにしてほしい」「老後に備えて節約しよう」どれも当たり前のことだが、それこそが啓二さんの不満でもあった。
仕事でストレスフルな環境で働き、家でも小言を言われることで、それを煩わしいと感じており、啓二さんは熟年離婚を思い立ってしまったようだ。啓二さんは定年後は第二の人生として気ままに生活したい。
そう考えたところに出てきたのが、熟年離婚という選択だ。一時は映像作品の題材とされていたり、雑誌でも頻繁に取り上げられたことから啓二さんも何となく熟年離婚について知っていたことから、踏み切ったようだ。
離婚はすんなりいくとは限らない。長年連れ添った夫婦がする熟年離婚ならばなおさらだ。離婚を希望する啓二さんとそれを拒否する由香さん。両者とも温厚な性格であるため荒れるようなことはないが、ただただ話は平行線を辿る。
それもそのはず。啓二さんの切り出す離婚には明確な理由がなく、単に小言を言われたくないというだけである。一方で長年家庭を守り続けてきた立場にある由香さんとしては、これからはお互いに譲歩しながら関係を改めて構築していたいと考えている。
話し合いが平行線となる中、疲弊する由香さんを見て、家庭を持つ長男の拓郎さん(30代・仮名)が仲裁に入った。由香さんはそのタイミングで拓郎さんの家に身を寄せることになった。
拓郎さんが間に入り関係性の再構築を勧めるが、啓二さんは自分から話を切り出した手前、意固地になり今更撤回できないようで、なかなか折れない。紆余曲折あり結局は由香さんが折れる形で離婚となった。
何とか離婚するまでこぎつけた啓二さんだが、次にやってくるのが「離婚の条件の話し合い」だ。離婚を同意したとしても、財産分与の条件を決めなければいけない。さらに複雑なのが「年金分割」に関する問題だ。
本来は十分な資産と退職金で悠々自適な老後生活を送りたかった啓二さん。だが、この2つの問題から当初の人生計画は狂っていき、さらには熟年離婚を後悔することになる。夫婦2人の話し合いはいったいどうなっていくのか。
その詳細は『「熟年離婚」でつまずいた「財産」と「年金」の話し合い…《30歳の息子に呆れられた》59歳男性が奥さんに言い放った「衝撃的な一言」』で紹介する。