埼玉県ふじみ野市で2022年1月、在宅医療に携わる医師らが散弾銃で撃たれ死傷した立てこもり事件で、殺人や銃刀法違反などの罪に問われた無職、渡辺宏被告(67)は26日、さいたま地裁(小池健治裁判長)で開かれた裁判員裁判の初公判で「殺意は全くありません」と起訴内容を一部否認した。医師への殺人罪については「大けがをさせようと右膝あたりを狙ったが、予想外の所に当たってしまった」と述べた。
【写真で振り返る】社会に衝撃を与えた事件 冒頭陳述で検察側は「長年介護した母親の死を不適切な治療のせいだと一方的に思い込み、自殺の道連れにしようと考えた」と指摘。「焼香に来てほしい」と医師ら7人を自宅に呼び出し、母親の心肺蘇生を断られた後、殺意を持って発砲したと説明した。 弁護側は、被告が母親の死を受け止められず、不満があった医療関係者に謝罪してもらおうと呼び出したと主張。発砲は誤射や威嚇射撃で殺意はなかったとし、殺人罪ではなく傷害致死罪にとどまると訴えた。 検察側の証拠調べでは、被告が事件当日に書いたとみられる「母を見殺しにした。医師を断じて許すことはできない」「早く自害してあの世で母に会いたい」などとするメモが読み上げられた。 起訴状などによると、被告は22年1月27日午後9時過ぎ、母親の診療を担当していた医師の鈴木純一さん(当時44歳)らを呼び出し発砲。鈴木さんを殺害し、理学療法士の40代男性に重傷を負わせるなどしたとしている。被告はその後、約11時間立てこもった。 公判は11月28日に結審し、判決は12月12日に言い渡される。【成澤隼人、田原拓郎】
冒頭陳述で検察側は「長年介護した母親の死を不適切な治療のせいだと一方的に思い込み、自殺の道連れにしようと考えた」と指摘。「焼香に来てほしい」と医師ら7人を自宅に呼び出し、母親の心肺蘇生を断られた後、殺意を持って発砲したと説明した。
弁護側は、被告が母親の死を受け止められず、不満があった医療関係者に謝罪してもらおうと呼び出したと主張。発砲は誤射や威嚇射撃で殺意はなかったとし、殺人罪ではなく傷害致死罪にとどまると訴えた。
検察側の証拠調べでは、被告が事件当日に書いたとみられる「母を見殺しにした。医師を断じて許すことはできない」「早く自害してあの世で母に会いたい」などとするメモが読み上げられた。
起訴状などによると、被告は22年1月27日午後9時過ぎ、母親の診療を担当していた医師の鈴木純一さん(当時44歳)らを呼び出し発砲。鈴木さんを殺害し、理学療法士の40代男性に重傷を負わせるなどしたとしている。被告はその後、約11時間立てこもった。
公判は11月28日に結審し、判決は12月12日に言い渡される。【成澤隼人、田原拓郎】