三重県名張市内の飲食店などに「謎めし」なるものが登場し、話題になっている。同市は言わずと知れた推理小説家、江戸川乱歩(1894~1965年)の出身地。市民の間からは「怪人二十面相が、何かたくらんでいるのではないか?」と怪しむ声も上がる。「刑事(デカ)魂」に負けぬ「記者魂」を燃やして、真相を追ってみた。
元アップル社員がレジェンド農家と協業 近鉄名張駅西口を出ると、怪人二十面相のシルエットをあしらい「謎めし 他言無用」と書かれたフラッグを掲げてる店があった。土産物店兼居酒屋「賛急屋」(同市平尾)だ。さっそく店員を捕まえ「謎めしを!」と頼むと、「肉がいいですか、トリがいいですか?」と返された。「肉はなんの肉なのか?」「トリは肉ではないのか?」など、数々の疑問が頭の中で走馬灯のようにぐるぐるしたが、店員の勢いに押され、思わず「肉で」と答えてしまった。

待つこと約10分。黒い器にこんもりと盛られたご飯が、みそ汁とともに提供された。ご飯の器をよく見ると、黒い皿にのせられている。「肉はどこだ?」と戸惑っていると、店員から「器を皿の上でひっくり返してください」とのアドバイス。恐る恐るやってみると、ご飯の底に隠されていた「肉」が、燦然(さんぜん)と現れた。薄くスライスされた「肉」がご飯に覆いかぶさっている。「肉」は「モーッ」と鳴く大型動物で、食欲をそそるレアに仕上げられていた。甘くさっぱりした味付けで、ご飯との相性もバッチリ。驚きとおいしさであっという間に時間が過ぎた。 「謎めし」の正体見たり「●●●●●●●丼」。しかし、「謎めし」のフラッグを掲げる店はほかにもある。しかも「謎めし」の正体は店舗ごとに異なるそうだ。「組織的な企みに間違いない」。取材を続けると、名張商工会議所女性会(谷口美智代会長)が「黒幕」だということが明らかになった。 谷口会長によると、乱歩の作家デビュー100周年の今年、「ミステリアスなまち なばり」をPRするために始めたという。そもそもは、同市丸之内で「小島結納品店」を経営する小島敏孝さん(69)が長年温めてきたアイデア。食材や調理法、由来、見た目などを工夫し、驚きや感動をもたらすメニューを「謎めし」と定義し、名前の通り、提供されるまではいっさいが謎に包まれている……。これに賛同してくれる店を同女性会が募り、6日現在、賛急屋のほか、すみた酒店(同市中町)▽精肉の奥田(同市鴻之台2)▽赤目山水園(同市赤目町)――など5店も名乗りを上げ、それぞれ準備を進めている。 谷口会長は「江戸川乱歩の生誕地という、名張にしかない財産を活用して、名張をPRし、名張の元気につなげたい。協力店を今後増やしていきたい」と意気込んでいる。【山中尚登】
近鉄名張駅西口を出ると、怪人二十面相のシルエットをあしらい「謎めし 他言無用」と書かれたフラッグを掲げてる店があった。土産物店兼居酒屋「賛急屋」(同市平尾)だ。さっそく店員を捕まえ「謎めしを!」と頼むと、「肉がいいですか、トリがいいですか?」と返された。「肉はなんの肉なのか?」「トリは肉ではないのか?」など、数々の疑問が頭の中で走馬灯のようにぐるぐるしたが、店員の勢いに押され、思わず「肉で」と答えてしまった。
待つこと約10分。黒い器にこんもりと盛られたご飯が、みそ汁とともに提供された。ご飯の器をよく見ると、黒い皿にのせられている。「肉はどこだ?」と戸惑っていると、店員から「器を皿の上でひっくり返してください」とのアドバイス。恐る恐るやってみると、ご飯の底に隠されていた「肉」が、燦然(さんぜん)と現れた。薄くスライスされた「肉」がご飯に覆いかぶさっている。「肉」は「モーッ」と鳴く大型動物で、食欲をそそるレアに仕上げられていた。甘くさっぱりした味付けで、ご飯との相性もバッチリ。驚きとおいしさであっという間に時間が過ぎた。
「謎めし」の正体見たり「●●●●●●●丼」。しかし、「謎めし」のフラッグを掲げる店はほかにもある。しかも「謎めし」の正体は店舗ごとに異なるそうだ。「組織的な企みに間違いない」。取材を続けると、名張商工会議所女性会(谷口美智代会長)が「黒幕」だということが明らかになった。
谷口会長によると、乱歩の作家デビュー100周年の今年、「ミステリアスなまち なばり」をPRするために始めたという。そもそもは、同市丸之内で「小島結納品店」を経営する小島敏孝さん(69)が長年温めてきたアイデア。食材や調理法、由来、見た目などを工夫し、驚きや感動をもたらすメニューを「謎めし」と定義し、名前の通り、提供されるまではいっさいが謎に包まれている……。これに賛同してくれる店を同女性会が募り、6日現在、賛急屋のほか、すみた酒店(同市中町)▽精肉の奥田(同市鴻之台2)▽赤目山水園(同市赤目町)――など5店も名乗りを上げ、それぞれ準備を進めている。
谷口会長は「江戸川乱歩の生誕地という、名張にしかない財産を活用して、名張をPRし、名張の元気につなげたい。協力店を今後増やしていきたい」と意気込んでいる。【山中尚登】