9月に埼玉県で再開されたプール撮影会で、今度は“下乳騒動”が起きている。埼玉県では6月にプール撮影会の中止騒動が起こったが、その後に表現の自由を巡る議論や社会からの反響を受け、撤回。今月、プール撮影会が再び戻ってきたものの、マイクロビキニの定義や適切な露出の程度が議論となっている。【徳重龍徳/グラビア評論家】
【写真10枚】ビキニから胸の下部分が…「ルール違反では?」問題視された水着の例 9月、埼玉県にプール撮影会が戻ってきた。 埼玉県内の県営プールを管理する埼玉県公園緑地協会(以下、公園緑地協会)は6月、プールでの水着撮影会について一部で未成年アイドルの出演や、ルールを守らない成人アイドルの過激な露出があったとして開催中止を要請した。だが、要請が開催直前だったことや、問題を起こしていない団体も中止とされたこと、さらに表現の自由の侵害との声など、SNS上で議論となった。

この反響を受け、埼玉県の大野元裕知事は公共施設での水着撮影会について「表現の自由」内であるとし、中止要請は適切ではないと指導。公園緑地協会は中止要請を撤回し、7月19日には公園緑地協会から年内に予定されている水着撮影会に関する暫定的なルールが発表された。 暫定ルールでは、マイクロビキニなど露出度の高い水着や、ニプレスやインナーショーツが見える水着、さらに下着や貝殻の水着はNGに。ポージングに関しては水着を外したり、ズラすポーズなどがNGとされた。NGの水着やポーズがイラスト付きで公開されたこともあり、このルール発表はSNS上でも注目を浴びた。 この暫定的なルールの下、9月、埼玉県内の3か所の県営プールで、大規模水着撮影会が開催された。プール撮影会には多数のグラビアアイドルやファンが参加し、SNS上にも撮影会で撮影された水着写真が多数アップされた。 気になるのは再開されたプール撮影会で、ルールはきちんと守られたのかだ。中止騒動を受けてルールを制定。今回も公園緑地協会は「問題ない」との見解を示している(主催者の公式SNSより抜粋、加工は編集部)当日は職員が「巡回」 プールを管轄する公園緑地協会に取材すると、担当者は「今のところ、激しい違反はない」と大きな問題はなかったと語った。 9月に再開されたプール撮影会では、公園緑地協会の職員が巡回を行い、違反がないかチェックしている。一部でルール違反なのではと思われる衣装もあったというが「抵触しそうだと思われるものには主催者に伝えて着替えてもらっている」。こうした着替えへの対応は複数の撮影会であったという。 実際にプール撮影会に出演した複数のグラビアアイドルに取材すると、主催者側からもルール違反がないか、過激なポーズは避けるようにとの事前の注意喚起はあったという。撮影会側としてもルールを守ろうという意識はあるようだ。SNSには疑問の声も… 一方でSNSでは、撮影会に参加する一部のグラドルたちの露出度が高く、ルールに抵触しているのではとの声も複数見られた。 問題視された出演者たちの写真は、主催者の公式SNSにもアップされている。確かにビキニから胸の下部、いわゆる下乳がのぞく露出度が高いものだった。ただ下乳がのぞくことは禁止とはルールにはなく、公園緑地協会の担当者も「職員もインターネットを見ているが、レギュレーションに抵触するものは見当たらなかった」と話す。 ここで問題になってくるのが、マイクロビキニの扱いだ。ルールでは「マイクロビキニに分類される水着及びそれと同等の露出となる水着は禁止とします」とあり、問題視する人たちは下乳が出ていることで、これをマイクロビキニと捉えたのだろう。 マイクロビキニとは極小面積のビキニを指すが、具体的に布面積がどのくらいであればマイクロビキニで、どのくらいの大きさからビキニという定義はない。このため担当者も「線引きはなかなか難しい」と話した。明確に「定義」しているイベントも コスプレイヤー・グラビアアイドルの蒼猫いなは19日、X(旧ツイッター)で「プール撮影会はコスホリくらいサイズとか明確にした方がええな」とコスプレイベント「コスホリック」を例に出した。 同イベントのホームページを確認すると、コスプレ参加の衣装について、三角ビキニについての規定サイズ(底辺10センチ、高さ10センチ)やマイクロビキニについても下乳がはみ出るのはOKだが、横乳や下乳が大きく見えるのはNGなど、より細かくルールが提示されている。 ただ公園緑地協会の担当者は「水着のサイズをその都度、われわれが測るわけにもいきませんし、体格の違いもあります。150センチの方と170センチの方では同じ水着でも見え方が違ってきます」と細かいルール設定は難しいとした。 今回、SNS上で撮影会での水着の大きさなどに言及する人たちは、6月の騒動の発端となった共産党埼玉支部のようにプール撮影会の中止を望むわけではない。むしろ再びプール撮影会が中止されないよう、違反があってはいけないと心配する声だった。10月にも埼玉県でプール撮影会が開催されるが、再び中止とならないよう、決められたルールは厳守してほしいところだ。 なお来年度以降のプール撮影会のルールについては、関係者や専門家などのヒアリングを10月中に実施し、決めていく予定だという。徳重龍徳(とくしげ・たつのり)ライター。グラビア評論家。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。現在は退社し雑誌、ウェブで記事を執筆。個人ブログ「OUTCAST」も運営中。Twitter:@tatsunoritokuデイリー新潮編集部
9月、埼玉県にプール撮影会が戻ってきた。
埼玉県内の県営プールを管理する埼玉県公園緑地協会(以下、公園緑地協会)は6月、プールでの水着撮影会について一部で未成年アイドルの出演や、ルールを守らない成人アイドルの過激な露出があったとして開催中止を要請した。だが、要請が開催直前だったことや、問題を起こしていない団体も中止とされたこと、さらに表現の自由の侵害との声など、SNS上で議論となった。
この反響を受け、埼玉県の大野元裕知事は公共施設での水着撮影会について「表現の自由」内であるとし、中止要請は適切ではないと指導。公園緑地協会は中止要請を撤回し、7月19日には公園緑地協会から年内に予定されている水着撮影会に関する暫定的なルールが発表された。
暫定ルールでは、マイクロビキニなど露出度の高い水着や、ニプレスやインナーショーツが見える水着、さらに下着や貝殻の水着はNGに。ポージングに関しては水着を外したり、ズラすポーズなどがNGとされた。NGの水着やポーズがイラスト付きで公開されたこともあり、このルール発表はSNS上でも注目を浴びた。
この暫定的なルールの下、9月、埼玉県内の3か所の県営プールで、大規模水着撮影会が開催された。プール撮影会には多数のグラビアアイドルやファンが参加し、SNS上にも撮影会で撮影された水着写真が多数アップされた。
気になるのは再開されたプール撮影会で、ルールはきちんと守られたのかだ。
プールを管轄する公園緑地協会に取材すると、担当者は「今のところ、激しい違反はない」と大きな問題はなかったと語った。
9月に再開されたプール撮影会では、公園緑地協会の職員が巡回を行い、違反がないかチェックしている。一部でルール違反なのではと思われる衣装もあったというが「抵触しそうだと思われるものには主催者に伝えて着替えてもらっている」。こうした着替えへの対応は複数の撮影会であったという。
実際にプール撮影会に出演した複数のグラビアアイドルに取材すると、主催者側からもルール違反がないか、過激なポーズは避けるようにとの事前の注意喚起はあったという。撮影会側としてもルールを守ろうという意識はあるようだ。
一方でSNSでは、撮影会に参加する一部のグラドルたちの露出度が高く、ルールに抵触しているのではとの声も複数見られた。
問題視された出演者たちの写真は、主催者の公式SNSにもアップされている。確かにビキニから胸の下部、いわゆる下乳がのぞく露出度が高いものだった。ただ下乳がのぞくことは禁止とはルールにはなく、公園緑地協会の担当者も「職員もインターネットを見ているが、レギュレーションに抵触するものは見当たらなかった」と話す。
ここで問題になってくるのが、マイクロビキニの扱いだ。ルールでは「マイクロビキニに分類される水着及びそれと同等の露出となる水着は禁止とします」とあり、問題視する人たちは下乳が出ていることで、これをマイクロビキニと捉えたのだろう。
マイクロビキニとは極小面積のビキニを指すが、具体的に布面積がどのくらいであればマイクロビキニで、どのくらいの大きさからビキニという定義はない。このため担当者も「線引きはなかなか難しい」と話した。
コスプレイヤー・グラビアアイドルの蒼猫いなは19日、X(旧ツイッター)で「プール撮影会はコスホリくらいサイズとか明確にした方がええな」とコスプレイベント「コスホリック」を例に出した。
同イベントのホームページを確認すると、コスプレ参加の衣装について、三角ビキニについての規定サイズ(底辺10センチ、高さ10センチ)やマイクロビキニについても下乳がはみ出るのはOKだが、横乳や下乳が大きく見えるのはNGなど、より細かくルールが提示されている。
ただ公園緑地協会の担当者は「水着のサイズをその都度、われわれが測るわけにもいきませんし、体格の違いもあります。150センチの方と170センチの方では同じ水着でも見え方が違ってきます」と細かいルール設定は難しいとした。
今回、SNS上で撮影会での水着の大きさなどに言及する人たちは、6月の騒動の発端となった共産党埼玉支部のようにプール撮影会の中止を望むわけではない。むしろ再びプール撮影会が中止されないよう、違反があってはいけないと心配する声だった。10月にも埼玉県でプール撮影会が開催されるが、再び中止とならないよう、決められたルールは厳守してほしいところだ。
なお来年度以降のプール撮影会のルールについては、関係者や専門家などのヒアリングを10月中に実施し、決めていく予定だという。
徳重龍徳(とくしげ・たつのり)ライター。グラビア評論家。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。現在は退社し雑誌、ウェブで記事を執筆。個人ブログ「OUTCAST」も運営中。Twitter:@tatsunoritoku
デイリー新潮編集部