ネコにマタタビの葉などを与えると、かんだり頭をこすりつけたりして酔ったような反応を示すが、肝臓、腎臓への毒性や依存性はないことを実験で確認したと、岩手大農学部の宮崎雅雄教授や大学院生上野山怜子さんらが27日発表した。
葉を1週間乾燥させると、ネコの反応が強まることも判明。論文は米科学誌アイサイエンスに掲載される。
マタタビはキウイに近いつる性樹木で、有効成分は「ネペタラクトール」のほか、「マタタビラクトン類」と総称される幾つかの化学物質。ネコの毛に付着すると蚊よけ効果があるほか、幸福感や鎮痛効果をもたらす神経伝達物質「ベータ・エンドルフィン」の血中濃度が上昇することが解明されてきた。
マタタビを9歳未満の13匹に最長3年間与えて血液検査を行ったところ、肝臓や腎臓の障害の指標となる物質の濃度に異常はなかった。葉の抽出物を4時間与える実験では10分程度しか接触せず、依存性は見られなかった。
マタタビの有効成分は実が最も多いが、夏しか収穫できない。5~8月に採取した葉を1週間乾燥させると、有効成分の総量は揮発して大幅に減るが、ネペタラクトールとマタタビラクトン類の割合が半々に変化し、ネコの反応が強まることが分かった。宮崎教授は「葉から有効成分を濃縮する方法を開発し、マタタビスプレーが商品化されることになった」と話している。