NHK「ニュースウオッチ9」で衝撃の“捏造”疑惑が――。5月15日の放送で、新型コロナワクチン接種後に亡くなった方の遺族を、コロナ遺族として紹介する映像が流されたのだ。さらに、単なるミスではなく番組全体で「ワクチン死」を「コロナ死」にすり替えようとしていた疑惑が……。
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【写真を見る】問題となったVTR 「ワクチン」の4文字は見当たらなかった 前代未聞の放送から1週間余り。問題の映像に登場した、新型コロナワクチン被害者遺族の怒りはいまだに収まっていない。

「まさかコロナの遺族として紹介されるとは夢にも思いませんでした。放送を事前に伝えていた知り合いからは放送後にすぐ“あれは何なん?”と電話がありました。“コロナで亡くなったんじゃないよね?”と」コロナワクチン接種後に亡くなった河野明樹子さんの夫 そう語るのは、コロナワクチン接種後に夫が亡くなった河野明樹子さん。「取材の最中からなんとなく違和感はありました。そもそも、亡くした主人のことを話すつもりで来たのに、“(コロナが)5類になってマスクが取れて、街の賑わいを見てどうですか? 遊んでいる子どもを見てどう感じますか?”と聞かれた時点で“ん?”と思いました。どう感じるも何も、私も他の遺族も、家族を亡くしたばかりでそれどころではありませんから」 あまりにもピントのずれた質問ばかりだったため、「しまいには、“けったいな取材やな、はよ終わらんかな”と思っていました。遺族にとってはどうでもいい質問ばかり。夫についての質問が向こうから積極的に飛んでくることもない。終わった後、他の遺族の方と“なんか的外れな感じやったねぇ”と言いながら帰りました」(同)ワクチンという表記はなし 問題の映像は5月15日、NHK「ニュースウオッチ9」の最後に流された。まず「ダイヤモンド・プリンセス号」が映し出され、テロップには〈戻りつつある日常 それぞれの思い〉。さらに、〈私たちの3年あまり〉との文言とともに、ヒゲをたくわえた河野さんの夫の写真。河野さんが「いったいコロナって何だったんだろう」と話す場面で表示されるテロップには、〈夫を亡くした河野明樹子さん〉とあるのみで、“ワクチン”の4文字はない。続いて登場した二人のコロナワクチン被害者遺族のテロップにもやはり、ワクチンという表記はなかった。 緊急事態宣言中で人けのない街の映像が、人が戻ってきた現在の街に切り替わる。そして、〈少しずつ明るい未来へ〉とのテロップが表示されてVTRは締めくくられる。そこに登場する河野さんら三人は、誰がどう見ても「コロナで家族を亡くした遺族」だった。ご主人の形見のグラスを見て「このグラス割ったら大変ですねぇ」「バカにすんのもええ加減にせえよ、という気持ちです。ワクチンを打った身内が突然命を落とし、それについて喋ることがどれだけ辛いことか、あの人たちは分かってないんですよ」 と、河野さん。「ゲームとちゃうねん。ゲームで死んでリセットされるようなのとは話がちゃうねん。生きている人間がある日突然死んで、目の前からおらんくなるんですよ。そのことをまるで分かってない。スタッフの一人が主人の形見のグラスを見て“このグラス割ったら大変ですねぇ”とニヤニヤしながら言ってきた場面もあった。最後の最後までアホな質問して……」 取材相手がコロナワクチン被害者遺族であることは、取材者だけではなく、番組上層部も把握していた。それを示すメールが残されている。それは取材者や編集責任者、チーフプロデューサーを含む関係者間で共有されていた「連絡メール」と呼ばれるもので、その中に〈副反応でなくしたと訴えるが表現は慎重に〉との文章がある。取材対象者がコロナワクチン被害者遺族でなければ〈副反応でなくしたと訴える〉との文言は絶対に入らないはず。さらに、〈表現は慎重に〉という記述にも注目する必要がある。なにしろ、「NHK報道局では、ワクチンのネガティブな情報は一切出さない、という暗黙の了解がある」(NHK関係者) それゆえ、コロナワクチン被害者遺族を取材してもそのまま放送できない可能性が大。そこで、「ワクチン死」を「コロナ死」にすり替えてしまおう、と密謀をめぐらせたのでは――そんな疑いも捨てきれないのだ。5月25日発売の「週刊新潮」では、報道を巡るNHKの“思惑”について詳報する。「週刊新潮」2023年6月1日号 掲載
前代未聞の放送から1週間余り。問題の映像に登場した、新型コロナワクチン被害者遺族の怒りはいまだに収まっていない。
「まさかコロナの遺族として紹介されるとは夢にも思いませんでした。放送を事前に伝えていた知り合いからは放送後にすぐ“あれは何なん?”と電話がありました。“コロナで亡くなったんじゃないよね?”と」
そう語るのは、コロナワクチン接種後に夫が亡くなった河野明樹子さん。
「取材の最中からなんとなく違和感はありました。そもそも、亡くした主人のことを話すつもりで来たのに、“(コロナが)5類になってマスクが取れて、街の賑わいを見てどうですか? 遊んでいる子どもを見てどう感じますか?”と聞かれた時点で“ん?”と思いました。どう感じるも何も、私も他の遺族も、家族を亡くしたばかりでそれどころではありませんから」
あまりにもピントのずれた質問ばかりだったため、
「しまいには、“けったいな取材やな、はよ終わらんかな”と思っていました。遺族にとってはどうでもいい質問ばかり。夫についての質問が向こうから積極的に飛んでくることもない。終わった後、他の遺族の方と“なんか的外れな感じやったねぇ”と言いながら帰りました」(同)
問題の映像は5月15日、NHK「ニュースウオッチ9」の最後に流された。まず「ダイヤモンド・プリンセス号」が映し出され、テロップには〈戻りつつある日常 それぞれの思い〉。さらに、〈私たちの3年あまり〉との文言とともに、ヒゲをたくわえた河野さんの夫の写真。河野さんが「いったいコロナって何だったんだろう」と話す場面で表示されるテロップには、〈夫を亡くした河野明樹子さん〉とあるのみで、“ワクチン”の4文字はない。続いて登場した二人のコロナワクチン被害者遺族のテロップにもやはり、ワクチンという表記はなかった。
緊急事態宣言中で人けのない街の映像が、人が戻ってきた現在の街に切り替わる。そして、〈少しずつ明るい未来へ〉とのテロップが表示されてVTRは締めくくられる。そこに登場する河野さんら三人は、誰がどう見ても「コロナで家族を亡くした遺族」だった。
「バカにすんのもええ加減にせえよ、という気持ちです。ワクチンを打った身内が突然命を落とし、それについて喋ることがどれだけ辛いことか、あの人たちは分かってないんですよ」
と、河野さん。
「ゲームとちゃうねん。ゲームで死んでリセットされるようなのとは話がちゃうねん。生きている人間がある日突然死んで、目の前からおらんくなるんですよ。そのことをまるで分かってない。スタッフの一人が主人の形見のグラスを見て“このグラス割ったら大変ですねぇ”とニヤニヤしながら言ってきた場面もあった。最後の最後までアホな質問して……」
取材相手がコロナワクチン被害者遺族であることは、取材者だけではなく、番組上層部も把握していた。それを示すメールが残されている。それは取材者や編集責任者、チーフプロデューサーを含む関係者間で共有されていた「連絡メール」と呼ばれるもので、その中に〈副反応でなくしたと訴えるが表現は慎重に〉との文章がある。取材対象者がコロナワクチン被害者遺族でなければ〈副反応でなくしたと訴える〉との文言は絶対に入らないはず。さらに、〈表現は慎重に〉という記述にも注目する必要がある。なにしろ、
「NHK報道局では、ワクチンのネガティブな情報は一切出さない、という暗黙の了解がある」(NHK関係者)
それゆえ、コロナワクチン被害者遺族を取材してもそのまま放送できない可能性が大。そこで、「ワクチン死」を「コロナ死」にすり替えてしまおう、と密謀をめぐらせたのでは――そんな疑いも捨てきれないのだ。5月25日発売の「週刊新潮」では、報道を巡るNHKの“思惑”について詳報する。
「週刊新潮」2023年6月1日号 掲載